安易に基地局を増やすだけでは不可能、「つながるau」を実現するための取り組みをKDDIが解説



KDDIが本日、報道関係者向けに「つながるau」を実現するための取り組みを解説しました。

通信品質の改善を絶えず続けており、今後さらにつながりやすくなるだけでなく、既存の3Gネットワークが高速・大容量になるなど、なかなか期待の持てる内容となったほか、「単純に基地局を増やせばいいというものではない」ということが断言されています。

詳細は以下から。



本日行われたレクチャー。まずは3Gエリア・品質向上の取り組みに関する部分です。


解説はKDDI株式会社 技術統括本部 執行役員 西山治男氏。


KDDIの事業ビジョン。同社はユーザーがさまざまなネットワークを駆使して、さまざまなコンテンツをさまざまなデバイスで利用できるようにする、「3M戦略」を採用しています。


そして今回解説が行われるのは、最も大事な部分である3Gネットワーク。


まずは周波数の再編について。総務省は現在、周波数の有効利用などを目的として800MHz帯を再編中。KDDIが採用している旧800MHz帯は国際標準の周波数と上下が入れ替わっているため、グローバル端末を利用できない……という問題点がありましたが、2012年7月からは国際標準と同じ、新800MHz帯へと完全移行します。


これを受けてKDDIは2006年度から新800MHz帯と2GHzの2つの周波数帯を利用した、マルチバンドのエリア構築を開始。きめ細かい最適化を行うことで、干渉が発生して品質が劣化しやすいマルチバンド環境下でも快適に利用できるようにしています。


新800MHz帯の基地局は旧周波数の基地局の約2.6倍まで敷設。なんと東京23区では約4倍に。


スキー場や観光地、高速道路などを含め、エリアカバーを20%向上させています。


続いては「つながるエリア」を作るための解説。


まずはエリア設計。3Dマップを用いたエリアシミュレーションを用いることで、特にビルに電波が遮断されやすい都市部の路地裏などでも繋がるよう、高度なエリア設計を実施。一部で「とにかく基地局を増やせばいい」とでも言わんばかりの風潮がある中、「単純に無線基地局を増やすだけでは、つながりやすいエリアを作る事は不可能」と断言しています。


また、基地局統計情報や実測データなどから各種通信品質データを一元管理することで、ユーザーから通信品質についてクレームを受ける前に品質劣化を検知し、改善に着手する「品質情報解析システム」も導入。


さらに800MHz帯と2GHz帯を併用するマルチバンド環境では、それぞれの周波数特性が異なることによる干渉問題などで電波が通じないエリアが発生しますが、安定した通信品質を提供するべくエリアを調整したほか、基地局間を渡り歩く「ハンドオーバー」時のパラメータ設定などを実施することで、トータルで品質向上に取り組んでいます。


これらの試みの結果、品川・渋谷・東京・新宿などの人口密集地でもつながりやすく、とぎれにくい通信を実現。旧800MHz帯の時と比較して、改善効果が出ていることが分かります。



次に生活動線上での利用について。


自宅、地下鉄、電車・駅、学校・オフィス、飲食店……というように、生活に密着したエリアでより快適に利用できるように通信品質を強化。


ユーザーの不満が多かった地下鉄駅間のエリア化もついにスタートしました。


また、複数の基地局からの電波が入り乱れることから、ハンドオーバーの失敗による切断が発生しやすい電車についても、沿線を意識したエリア構築を行うことで、途切れにくいエリアを実現。


なお、撮影は許可されませんでしたが、KDDIが調査したau(下り最大9.2Mbps)とA社(下り最大75Mbpsの通信サービス利用時)、B社(下り最大21Mbpsの通信サービス利用時)の比較データも提示。Yahoo!JAPANのトップページを開くのにかかるおおよその時間は以下となっており、必ずしもカタログスペックの差が実際のパフォーマンスのさに繋がるわけではないことを示しています。

山手線:auが15~18秒、A社はauの半分、B社はauの4分の3
中央線:auがA社と逼迫し、B社を抜く
京浜東北線:auがA社を抜き、B社に抜かれる


そして通信混雑対策の目玉「EV-DO Advanced」の導入。基地局の混雑度合いを監視し、今まで「最も電波の強い基地局」に集中していた携帯電話の接続を、比較的混雑していない基地局に適宜振り分けることで、繁華街や郊外の団地といった人口密集地でも従来の約1.5倍のデータが収容可能、実効速度も平均2倍になるという同技術ですが、採用したのはKDDIが世界初となります。


最後に自宅の通信品質向上。家庭用小型基地局「auフェムトセル」により電波環境が改善したほか、フェムトセルを接続できる回線が拡大。「auひかり」などのKDDI系のサービスに加えて、関西電力の「eo光」などでも利用できます。


以上がKDDIの3Gネットワークに対する取り組み。続いては「au Wi-Fi SPOT」についての取り組みをお届けします。


・つづき
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