本物のプロが同人誌を翻訳してくれる「Doujinshi Translation.jp」登場、海外向け販売で無断転載に歯止めも



同人作家にとって、モチベーションを下げる面倒なものの1つが「同人誌の無断アップロード」ですが、とりわけ厄介なのが「無断転載された同人誌が無断翻訳され、海外で共有される」という事態。

これは海外の人々が「同人誌を手に入れる機会が無い」「英語版がない」といった理由から行うもので、言語の壁で削除依頼もしづらく、当然作家の売り上げにも一切つながらないわけですが、プロが同人誌を翻訳してくれることで簡単に海外版を発売できるようになる画期的なサービスが登場しました。また、無料のお試し版も展開されています。



◆海外の人々が同人誌を無断転載する理由は?
同人誌の翻訳&購入案内サービス「Doujinshi Translation.jp」同人作家専用!プロの翻訳家による翻訳可能!


新たにオープンした「Doujinshi Translation.jp」公式ページによると、同サイトの管理人自らが発売した同人誌が昨年海外で無断転載されたそうです。

そして実際に無断でアップロードされたデータを利用しているユーザーと話してみたところ、海外では日本の同人誌に対する需要があるにもかかわらず、以下のような理由から同人作家が嫌う「無断アップロード」に手を染めざるを得ない、皮肉な実態が明らかになったとのこと。

・日本語から母国語への翻訳を、ネットに無断アップして依頼しなければいけない
・日本の同人誌を手に入れるための手段が少ない


このように海外では「日本の同人誌を楽しむには無断アップロードに頼るしかない」という事情があるわけですが、問題はこれらの行為が同人作家に与える悪影響。

自分の作品が無断転載されること自体が不快であることや言語の壁があるため海外への削除依頼は難しい……という部分がまず考えられますが、さらに同人誌の売り上げ減につながりかねないほか、モチベーションが下がる、イベント会場を訪れた外国人を疑ってしまう……などのマイナスの側面が挙げられています。

◆プロの翻訳家も在籍、国内外の同人作家と買い手が納得する環境作りを目指す
上記のような「言語の壁」を理由とした海外での無断転載が発生する現状を変え、国内外の同人作家と買い手が納得できる環境を構築する一助として立ち上げられたのが「Doujinshi Translation.jp」というわけですが、やはり気になるのがそのスタッフ。

2013年1月13日時点では出版社から正式受注して漫画を翻訳しているプロの翻訳家1名を含む以下の4名が在籍しており、「日本語の細かいニュアンス」「本場の自然な英語」「同人誌(同人漫画)特有の文化や流行」に強いことをアピールしています。

管理人:幼少期をアメリカで過ごした「元」帰国子女な日本人(TOEIC最高900点)。SPAWNフィギュア好き。同人活動中。
プロの翻訳家:1名。大手出版社より、漫画の翻訳を正式受注している。
アマチュア翻訳家:2名。同人誌をプライベートで翻訳している。


◆精度に応じた2つの料金体系を採用、無料体験も
翻訳サービスは専門企業レベルの翻訳が必要なユーザー向けの「プロコース」と、プロ翻訳家監修の下でアマチュア翻訳家が翻訳する、多少ぎこちなくても費用を抑えたいユーザー向けの「ドラフトコース」の2種類がラインナップされており、こちらは漫画の翻訳料金。ドラフトコースにはベータ版として期間限定で割安価格が設定されています。


小説の翻訳料金。日本語の文字数で料金換算を行うため、仮に元の文章が「ありがとう」であれば5文字カウントとなります。


また、サービス本格始動前の肩慣らしとして、毎月2名限定で「お試し翻訳キャンペーン」を実施。これは同人誌の2ページを無料翻訳して「同人誌購入案内ページ」で紹介するというもの。

「同人誌購入案内ページ」は海外ユーザーが無断アップロードを利用せずに済むように、英訳された同人誌をスムーズに購入できるよう作られたページで、以下のような形で本の内容紹介に加えて海外向け販売を代行する「アリスブックス」や海外向けダウンロード販売を行っている「DLsite」などへのリンクが貼られます。

BEAR HUG -honey flavor- | DOUJINSHI LIST | Translated Japanese Doujinshi [Doujinshi Translation.jp]


日本人の間でも同人誌の無断転載などは行われているため、翻訳した海外版を作ったところで、海外での無断転載を根絶するのは難しいと思われますが、今まで購入手段や翻訳版が無いことを理由に共有で済ませていたユーザーに対して、「海外版を売っているのだからそっちを買ってください」というスタンスを示すことに意義はあると思われます。

また、英語を利用する人口が日本の総人口よりも圧倒的に多いことを考えると、売り上げを伸ばすチャンスという考え方もできるようになるため、日常生活の合間に時間を作ってコツコツと描き上げた自分の同人誌が海外で好き勝手に翻訳・共有される様子を見て失望するよりは、海外版の販売に乗り出してみた方が建設的かもしれません。



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