携帯電話会社同士の買収・合併を国が本格的に規制する方針、格安MVNOも対象に



気が付けば小規模な事業者が消え、携帯電話会社が3グループに集約されてしまった昨今ですが、これ以上の買収・合併について本格的な規制が導入されることが明らかになりました。

携帯の寡占防止へ規制 総務省検討、M&A事前審査  :日本経済新聞

日本経済新聞社の報道によると、イー・アクセスがソフトバンクの傘下となり、競争が滞った反省を受け、総務省が携帯電話会社同士のM&Aを事前に審査したり差し止めたりできるようにする検討に入ったそうです。

これは通信サービスの向上策を話し合う総務省の有識者検討会で事前審査を求める意見が多いことを受けたもので、株式取得だけでなく、役員の派遣や取引関係を含めて実質的に経営権を握る時などに総務省への事前申請を義務づけ、審査したうえで「競争を妨げる」と判断すれば差し止められるというもの。

具体的な審査対象として報道では「KDDI系やソフトバンク系のデータ通信会社による地域密着型のデータ通信会社の買収」が挙げられているため、総務省は2.5GHz帯を割り当てたものの、ほとんど活用されていない「地域WiMAX」の周波数獲得目的でUQコミュニケーションズやワイヤレスシティプランニングが買収に乗り出すことを警戒しているとみられます。

なお、審査の対象として「格安SIM」で知られる回線を借りてサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)が含まれる可能性もあるとされており、独立系の日本通信などが買収されることなども警戒の対象となっていることが分かります。

ちなみに総務省は携帯電話サービスの競争を促すため、2005年にソフトバンク傘下のBBモバイル、イー・アクセス傘下のイー・モバイル、そしてアイピーモバイルといった新規参入事業者に1.7GHz帯または2GHz帯の周波数割り当てを実施。

しかしソフトバンクはボーダフォン・ジャパンを買収したことを受けて周波数帯を返上、さらにアイピーモバイルが経営破たんしてしまい、唯一サービスインできたイー・アクセスも2013年にソフトバンク傘下に収まったことで、新規参入組はいなくなってしまいました。

このような事態となった背景には、許認可制である上に、基地局整備などの投資が重く、体力のある事業者でないと展開できない……という、携帯電話事業の難しさがあると思われますが、大手3社に集約された結果、料金やサービス内容が横並びになるのはあまり望ましくない話。

今後新規参入が望めないのであれば、せめて多様性を求めたいところですが、にわかに勢いづくMVNOは流れを変えてくれるのでしょうか。

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