自民党が罰則制定で「偏向教育」排除へ、歓迎した産経新聞は「愛国幼稚園」絶賛でいきなり自己矛盾

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選挙権が与えられる年齢が18歳へと引き下げられることを受け、政府与党が教職員による「偏向教育」への対策に乗り出すこととなりました。しかし教育現場での「偏向」は思った以上に根が深く、必ずしも一方向とは限らないようです。詳細は以下から。

◆「偏向教育」に罰則規定を検討へ
「偏向教育」是正へ法改正検討 選挙権18歳にらみ「主権者教育」を充実 自民党が委員会設置(1/2ページ) – 産経ニュース

産経新聞社の報道によると、選挙権年齢の引き下げを見据え、自民党が3月中に「主権者教育」のあり方を検討する小委員会を党内に設置するそうです。小委員会は党文部科学部会のもとに新設され、社会参加や選挙の意義といった主権者教育を、小学生から段階的に導入する方針とのこと。

また、その前提として、一部の学校にみられる偏った教育現場の見直しも検討。具体的には義務教育での政治的中立の確保に関する臨時措置法について、適用範囲を高校まで広げるほか、教職員の政治活動を制限する教育公務員特例法に罰則規定を盛り込むなどの法改正も取り上げる予定とされています。

今回の取り組みについて、自民党幹部は「教諭の『思想と良心の自由』は大切だが、『教室の中に政治活動を持ち込んではいけない』と明確にうたい、違反者に罰則を科せられるように改正すべきだ」と強調。産経新聞社も「是正(=間違いや不都合な部分を改め正すこと)」と題して3月2日の朝刊一面で報じており、歓迎する意向を示しています。

◆必ずしも一方向とはいえない「偏向教育」、近年は「愛国」もブームに
・日教組の影響力は縮小の一途
政治思想が教育の現場に持ち込まれる……といえば、「平和学習」などの名目で日本の戦争責任を取り上げ、「日本人は加害者である」という考えを必要以上に生徒に植え付けるものが一昔前の主流だったと思われます。

実際筆者の周囲でも731部隊の人体実験などを取り上げた「悪魔の飽食(森村誠一著)」の生体解剖シーンなどを抜粋したものが副教材として中学校の授業で配布されていました。
『悪魔の飽食』ノート

しかし、そのような教育を推進していたとされ、先日安倍総理が国会で突然無関係なヤジを飛ばして叱られたことでも話題となった「日教組(日本教職員組合)」の組織率も1977年以降、37年連続で低下しており、2014年には過去最低の25.3%にまで落ち込み。

「周囲に言われてとりあえず加入した」というケースが相当数あると思われるにもかかわらず、新規加入率に至っては18.6%まで落ち込んでいることを考えると、今後成長する気配も無く、日教組が絡んだ政治思想はかつてほど教育の現場に持ち込まれにくくなっているのが実態です。

・「愛国幼稚園」や「愛国小学校」が登場
そんな中、政治思想に基づいた教育が行われていると話題を集めているのが大阪市淀川区にある「塚本幼稚園幼児教育学園」。

同幼稚園では以下のような「愛国心」を掲げた教育方針の下、毎朝の朝礼で教育勅語を朗唱。2016年には系列小学校「瑞穂の國記念小學院」を開校予定です。

先人から伝承された日本人としての礼節を尊び、それに裏打ちされた愛国心と誇りを育て、すべての子供が持っているたくましい生命力と包容力を指導者が明るい表情と態度と言葉で引き伸ばしていく教育を誠実に心を込めて実践しています。子供と父母共に人間力が高まります。

塚本幼稚園の姉妹園「開成幼稚園」で園児たちが教育勅語や五か条の御誓文を暗唱する光景。どういう教育が行われているのかを把握する手助けになる動画ですが、子どもたちが統率された動きで一心不乱に暗唱する様子は一見の価値があります。

開成幼稚園 教育勅語・愛国行進曲・日の丸行進曲ほか – YouTube

大日本帝国時代に制定された「国民精神強調週間」テーマ曲で、出征兵士を送るために歌われたという説もある「海ゆかば」を歌う園児たち。愛国心と戦前・戦中教育への回帰を結びつける姿勢は疑問ですが、YouTubeでは「これが教育の原点」「涙が出てきました、ありがとう」など絶賛の嵐です。

同幼稚園を推薦する人たち。田母神俊雄氏や竹田恒泰氏といった、保守派と呼ばれる人たちが名を連ねています。

塚本幼稚園-推薦の声

おそらく日教組が進めてきたものとは真反対と思われる塚本幼稚園の教育。しかしながらベクトルが違うとはいえ、どちらの教育も偏りがあることに違いはありません。

◆偏向教育を嫌うはずの産経新聞が愛国幼稚園を絶賛
なお、偏った教育現場を問題視しているはずの産経新聞は同幼稚園を「超ユニークな教育を園児に施している幼稚園」「安倍晋三首相夫人が同園を訪れたとき、園児らのかわいらしくもりりしい姿を見て、感涙にむせんだ」などと大絶賛。

【関西の議論】安倍首相夫人・アッキーも感涙…園児に教育勅語教える”愛国”幼稚園 「卒園後、子供たちが潰される」と小学校も運営へ(1/4ページ) – 産経WEST

さらに同幼稚園では「安倍総理は日本を守ってくれる人」などの教育が行われていることも明らかに。記事では美談のように扱われていますが、教育に政治思想が反映されていることを「偏向」と批判する様子は見受けられず、産経新聞は自己矛盾に陥っているとしか言いようがありません。

昭恵夫人は昨年4月、同園の視察と教職員研修のため訪れたとき、鼓笛隊の規律正しいふるまいに感動の声を上げた。さらに、籠池園長から「安倍首相ってどんな人ですか?」と問いかけられた園児らが「日本を守ってくれる人」と答える姿を見て、涙を浮かべ、言葉を詰まらせながらこう話したという。

 「ありがとう。(安倍首相に)ちゃんと伝えます」

物事が偏っているかどうかの判断は観測者の立ち位置次第で変わってくるため、何をもって「偏向」とするかは難しいところ。

もし教育現場の見直しを進める自民党や、その方針を歓迎した産経新聞が自らの意に沿わないものをすべて「偏っている」と断じて排除するつもりなのであれば、とても恐ろしいことになりかねませんが、中立性などは担保されているのでしょうか。

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