再生医療や新薬開発への期待が高まる「iPS細胞」の実物を見てきました



神経、心筋、血液など、さまざまな組織や臓器を構成する細胞に分化できるため、病気の原因解明、新薬の開発、病気やケガで失われた機能を回復させる再生医療への活用が期待される「iPS細胞」。

しかしながら一般人が実物を目の当たりにすることはなかなかできないわけですが、本日から開催されている「未来医XPO'15」では実物の展示に加え、実際に機能している様子を肉眼で見ることができました。詳細は以下から。

◆ヒトiPS細胞
サイエンスアイランド内にある「これがiPS細胞だ」コーナー


実際にすべてのベースとなる「ヒトiPS細胞」を培養し、形成されたコロニーを顕微鏡で見ることができます。




モニターに映し出されたヒトiPS細胞のコロニー


全体を見渡すとこんな感じになります


黒い部分はiPS細胞の大半を占める核。白い部分は死んでコロニーから浮き上がってしまい、ピントが外れた細胞です。


◆神経細胞
続いては上記のヒトiPS細胞から誘導した神経細胞



樹状突起と軸索がみられ、神経細胞同士でつながっていることが分かります。なお、ヒトiPS細胞から誘導した神経細胞については現在、パーキンソン病筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった難治性疾患を治療する研究が進められています。


◆視細胞
さまざまな遺伝子の変異が原因として発生する「網膜色素変性」の患者に対して、移植することで病気の進行を抑えることなどを目指しているiPS細胞由来の視細胞。



特別な機械を用いて着色することで、見やすくなっています。



◆網膜色素上皮細胞
失明に至るにもかかわらず、根治療法が存在しない「加齢黄斑変性症」などの網膜疾患の患者に対し、患者本人のiPS細胞から作成して移植するための網膜色素上皮細胞。2014年には世界初となる移植が実際に行われました。



◆心筋細胞
そして今回の展示の中で、ひときわ興味深かったのが、iPS細胞から誘導した心筋細胞のシート。心臓病などの患者に移植することを目的としたものですが……




動画で見ると動いていることが分かります。


さらに肉眼でも脈打っていることを確認可能。顕微鏡を通してでなく、目で見てその働きを知ることができるというのは、面白い試みだと思われます。


なお、iPS細胞研究の権威、ノーベル賞受賞者の山中伸弥教授が代表を務める京都大学のiPS細胞研究所「CiRA(サイラ)」公式ページではさらに詳細な解説が行われています。

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