中国脅威論は何だったのか?「戦争法案」の初適用が南スーダンPKOでの中国軍らへの駆けつけ警護という皮肉

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Photo by UNAMID

先週可決した「戦争法案」。成立に向けて盛んに中国脅威論が囁かれてきましたが、初適用では中国軍を含むPKF(国連平和維持軍)への駆けつけ警護となりそうです。

9月19日に可決された「戦争法案」。11の法案をふたつにまとめて審議された「戦争法案」の中で、今回適用されることになるのは改正PKO協力法です。

改正PKO協力法では自衛隊の武器使用権限が強化され、今回想定される「駆け付け警護」や一定地域の治安維持を担う「安全確保活動」が新たに認められることとなっています。

南スーダンは現在自衛隊が唯一参加しているPKOで、道路補修などの施設整備に従事しています。2016年2月に現在の部隊が交代することになりますが、来年春に施行される改正PKO協力法に基き、現地の国連スタッフらが武装集団に襲われた場合に自衛隊が助けにいく「駆けつけ警護」への参加が検討されることとなっています。

もちろん武装集団との戦闘が発生に伴い、自衛隊に死傷者が出る可能性も相手を殺傷する可能性もあるのがこの駆けつけ警護。現地では武装集団が1万3000人もの少年兵を利用しているとされています。

また、この際に「駆けつけ警護」を行う対象となるPKF(国連平和維持軍)ですが、以下史料の26ページ目から始まるUNMISS(国際連合南スーダン派遣団)の国別の人数構成を見てみると、中国軍が1000人以上参加していることが見て取れます。

UN Mission’s Contributions by Country(pdf)

そして中国は南北スーダンにまたがる石油資源に対して大きな利権を持ち、南スーダンの武器弾薬の提供を行っていることが知られている他、国際刑事裁判所に戦争犯罪で国際手配されているスーダンのバシル大統領を抗日戦争勝利記念行事に招待するなど非常に緊密な関係を保っています。

安倍首相が「戦争法案」の参議院での審議の中で散々に煽った中国脅威論。しかし法案が可決して最初に適用される任務が周辺国の脅威とは関係のないアフリカでのPKO活動であり、しかも中国の石油利権を支えるために中国軍の駆けつけ警護をして1万人以上の少年兵を抱える武装勢力と戦うことになるのはあまりにも皮肉。

もちろん集団的自衛権と国連の平和維持活動を同一視することはできません。ですが、そうであればこそ11本の安全保障に関する重要な法案をたった2つにまとめ、あれだけの審議時間で押し切った政府の姿勢は拙速だったということになりそうです。

南スーダンPKO、「駆け付け警護」追加検討 政治 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

(Photo by UNAMID

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