生きている木を生きたまま使ったオブジェ「Biotecture」の世界



生きている木を使ったアートと言えば日本では盆栽や造園ですが、こんなオブジェをつくり上げることもできてしまいます。詳細は以下から。

日本には生きている木をどのように伸ばし、整えるかをコントロールすることで美しい庭園を作り上げる造園術や、盆栽という世界に誇るアートが存在しています。

ですが世界には、また少し違った発想で生きている木を使い、オブジェを作り出すアートが存在しています。Biotecture、もしくはGrown Furniture、Tree shapingなどと呼ばれるこれらの作品では、木の幹や枝を接合させたり払ったりすることで形を作り出していきます。


木の枝や幹にはうまく接ぎ木すると接合するという特性があります。京都の下鴨神社にも相生の木という別の木が途中でくっついて1本の幹になっている縁結びのお社がありますが、こうしたことは人工的に起こすことも当然可能。特に同じ木であればよりくっつきやすくなります。


大雑把に言うと、幹や枝の樹皮を剥いでくっつけ、新しい樹皮が生成されるまで1年以上固定しておくことで、その幹や枝はひとつのあたらしい幹や枝を形作るようになります。同様に日本の盆栽のように、幹や枝の伸びる方向を固定する拘束具を用いて変えていくことも可能です。


これらBiotectureの起源と言われるのが北インド、メーガーラヤ州のカシ族。彼らは生きている木の根を用いて橋を作る技術を持っており、現在でもそうした橋の幾つかは残されています。


そしてアメリカ合衆国では19世紀末に生まれたAxel Erlandsonさんが趣味として木々に多くの細工をし、不思議な形の木のオブジェを作り出していました。Erlandsonさんは1947年にカリフォルニア州に「The Tree Circus」と呼ばれる施設をオープン、彼の作り上げた多くの生きている木のオブジェが生きたまま展示されることとなります。


他にはJohn Krubsackさんを始めとした「生きている椅子」のような成長する家具。



「人間の木」を作ったPeter CookさんとBecky Northeyさんのように、自由な発想で生きている木を用いたオブジェが作成されています。



もちろん日本の盆栽もBONSAIとして1970年頃から世界中に広がっていますが、また違ったひとつのアートの形として、こうしたオブジェを楽しむ人が増えていくと面白いことになりそうです。

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