違法薬物のケタミンに「即効性の抗うつ剤」としての絶大な効果が示される

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現在は違法薬物扱いされているケタミンが、うつ病やPTSDに対する即効性のある治療薬として活用できる可能性が示されています。詳細は以下から。

元は麻酔薬として開発されながら、ドラッグとして乱用されたことから違法薬物に指定されているケタミン。ですが、即効性の極めて効果の高い抗うつ剤として大きな注目が集まっています。

そもそもケタミンは呼吸を抑制せず筋肉注射によって投薬が可能なため、安全で使いやすい麻酔薬として世界保健機関によって必須医薬品として認識されており、獣医師や大型動物を用いる研究機関では常備されています。

1962年にアメリカ合衆国の製薬会社パーク・デービス社によって初めて合成されましたが1970年代から乱用が始まりました。90年代のクラブシーンでは「スペシャルK」の名前で一時広く流通しましたが、麻酔薬であることから幻覚と共に強い鎮静作用を発すため、踊るには適さず廃れています。

抗うつ剤としてのケタミンは、効果があらわれるまでに数週間から数ヶ月を要する従来の抗うつ剤である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に比べて即効性と呼べるほどに極めて早く、数十分から数時間で効果をがあらわれます。

また、ケタミン自体が体内から排出された後も長くその効果が続く他、うつ病患者に見られる自殺念慮も即座に無くなるとのこと。なお、抗うつ剤としてのケタミンの摂取量は麻酔に用いられるよりも遥かに低量で効果を発し、医師のコントロール下での投薬であれば体へのダメージや中毒性の心配もないとのこと。

ケタミンは少量の摂取でも幻覚や分裂性の向精神作用が現れますが、鼻腔内投与を行えばそうした効果は最小限に抑えることが可能。現在アメリカ精神医学会(APA)はこうした証拠を元にタスクフォースを立ち上げ、うつ病やPTSD患者への投与の推奨を勘案するまでになっています。

ワシントン・ポスト紙はケタミンをうつ病治療に用いた46歳のビジネスエグゼクティブ、Dennis Hartmanさんの事例を紹介しています。それによるとHartmanさんは深刻なうつ病を患っており、25年に渡る治療の中で18種類の抗うつ剤と精神安定剤を用いてきました。

Hartmanさんはケタミンを用いた治療を人生の最後の治療とすることに決めており、効果がなければ自殺するつもりでした。しかし40分のケタミン投与の後、数時間も経たないうちに彼の自殺念慮は綺麗さっぱり消え失せていたのです。Hartmanさんは以下のようにワシントン・ポスト紙に述べています。

私の人生は最初のケタミン投与前と投与後にはっきりと分けられるだろう。苦痛はさっぱりと消え去って行った。苦痛がないということに戸惑うほどに。

現在の日本では2007年に麻薬指定されたことによりケタミンの取り扱いは極めて難しくなっていますが、社会に蔓延するうつ病に対しての有効打である以上、ダメゼッタイでは済まされない場面と言えそうです。

Onetime party drug hailed as miracle for treating severe depression – The Washington Post

Ketamine Could Be Approved To Treat Depression IFLScience

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