嫌な予感しかしない「クールジャパン特区」、ブラック労働の温床になる可能性は?

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Photo by Scott Thomas

政府が模索する「クールジャパン特区」ですが、現在のクールジャパンの現場環境を考えると国際的な火種となる可能性もありそうです。詳細は以下から。

◆「クールジャパン特区」とは?
政府が進める地域限定の規制緩和特区のひとつとして現在進められているのが、外国人のファッションやデザイン、アニメーションなどの分野での就労基準を緩める、いわゆる「クールジャパン特区」。

外国人が国内企業で働きやすくすることで、日本文化に親しむ外国人を増やし、関連商品の輸出、訪日外国人の増加を見込むとして3月2日の国家戦略特区諮問会議で規制緩和案を決め、今国会での成立を目指しています。

現在は外国人の就労に必要な在留資格は職種ごとに制限されています。ファッションやアニメ、調理などでは厳しい制限が設けられているため、日本の専門学校を卒業した外国人が国内企業の内定を取っても在留資格が認められないという残念なケースが多々ありました。

今回の規制緩和案で、国内の専門学校を卒業した外国人がこれらの職業に就業することが大幅に認められる見通しですが、果たして世界にクールな日本の文化やコンテンツを発信できるかは疑問符が付きます。

◆完全に「ブラック」なアニメの若手製作者達の賃金と労働環境
理由としては、昨年4月にテレビで特集され、BUZZAP!でも取り上げた「クールジャパン」の代表格とも言えるアニメ制作現場の若手制作者たちの悲惨な状況です。

平均労働時間は11時間と長く、動画を担当する製作者の平均年収は110万円という極めて低い水準。月収では9万円程度、20日働いたと仮定すると時給は415円という、奴隷労働と言わざるを得ない酷いレベルです。もちろん「記録に残らない作業時間を含めればもっと状況は酷い」という指摘が相次いでいたことも忘れてはなりません。そして、こうした問題はアニメに限ったものではなく、クリエイティブな業界では少なからず聞かれる話です。

こうした問題が現場で放置されたまま外国人労働者が就労することになればどんなことになるでしょうか?当然ながらSNSをはじめとした多くの経路から、これまで見えてこなかった「クールジャパン」の極めてブラックな内幕が世界的に明らかになってゆくことになります。

◆国際問題化する可能性も
日本の労働環境について、現在は「ブラック企業」という呼称が定着し、改善を求めた裁判なども少なからず行われるようになっています。ですが、外国人実習生の雇用に関しての過酷な環境や劣悪な条件での使い捨てが現在も行われているのも事実。

既にこの外国人技能実習制度の問題はアメリカ政府からは人身売買であると認識されており、勧告も受けています。

球審P@厄年さんはTwitterを使っています: “これやばいだろ、、”

今回の規制緩和で就労することになる外国人労働者は、もちろんこの外国人実習生とは制度から違います。しかし、政府が旗を振って作り出す国家戦略特区において、最低賃金を下回るような賃金での長時間労働といったブラック労働問題が発生するようであれば、それは単なるひとつのブラック企業の問題として済ませられるものではありません。

「好きなことを仕事にしているんだから少しくらいの苦労は我慢しろ」といった「やりがい搾取」が外国人にも通用すると企業側が考えているのであれば、国をも巻き込んで大きな批判を浴びることは間違いありません。規制緩和案には日本人、外国人を問わず、労働基準法違反への厳しい罰則を是非とも盛り込んでいただきたいところです。

「クールジャパン」特区で外国人働きやすく 政府が規制緩和案 :日本経済新聞

(Photo by Scott Thomas

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