【サムソン高橋特別寄稿】ミッツ・マングローブら女装軍団やイケメンノンケの東京力車も、東京レインボープライド2016写真日記 その2



ゴールデンウィークに催されたLGBTの祭典、「東京レインボープライド」初日・フェスタのステージも大詰め。

♪ル~ルル ルルル

と、どこかで聞いた旋律とともに登場したのが、黒柳徹子のコスプレをした前半の司会者エスムラルダ嬢。となると当然のごとく、『徹子の部屋』を模したコーナーである。

黒柳徹子ルックのホラー系女装・エスムラルダ嬢。これもいまいちホラー感が表現しきれてなくてカメラマンとして未熟な自分にいらだちを感じる


◆現役俥夫のイケメンノンケ、ゲイに対する本音は?
お相手は東京力車。浅草の人力車の現役俥夫の中から選りすぐられたイケメンで作ったユニットで、去年歌手としてメジャーデビューも果たしている。

フケデブ専ホモというゆがんだ性癖の私の目から見ても憎たらしいくらいにイケメンノンケ青年特有の魅力が無自覚にあふれ出している逸材だ。元ゲイビデオ制作者としては「モデルにきたら、最初はオナニーで、次は絡みのタチ、ウケ、乱交に……五回は撮れるな」と皮算用してしまうレベル

東京力車。私もこのレベルのイケメンだったらこんなにハッテン狂いになってませんでした


しかしそうなるとふと思ってしまうのが「こいつらは自分がゲイに受けがいいことを自覚してるノンケってこと?それってどうなの?そもそもうちらをどう思ってんのよ?金づる?」みたいな意地悪なこと。

ステージで歌だけ歌えば多少モヤモヤしながらも「あーんやっぱりノンケって股間濡れちゃう!」てだけできれいさっぱり忘れてしまうとこだが、ここで感心したのが運営の企画。

出演者の中では数少ない、アライ(LGBTの支援者)というわけでもないノンケに「LGBTのイベントに出演していることをどう思うか」「LGBTについてどう思うか」を問うてみるというコーナーをちゃんと作ったのだ。

和やかかつ鋭いトークタイム


また人選も的確で、高い知性を持ちながらもルックスに反して穏やかで真面目なエスムラルダ嬢を相手にしたことでとげとげしくなることもなく、「最初はちょっと引きましたけど、今では偏見は無いですね」と、多少よそいきではあるがノンケの本音をうかがい知ることができたのである。

ノンケの破顔一笑はゲイにとってのキラーチューン


ずれたカツラと半目効果でやっとエスムラルダ嬢本来のホラー色をとらえることができました!


東京力車の歌はそうとう上手い


◆宴もたけなわ、押し寄せる女装
プライドパレードで改めて思わされたのが、ゲイにとっての女装の存在だ。昔は、いや今でも「ああいうのがゲイだと一緒に思われたくない」なんてことを言われたりもするが、女装のいないLGBTイベントを想像してみよう。世界から色が失われたような気分ではないだろうか

また、今回を含め、今まで会った女装の人はたいてい優しくて、頭がいい。それは、彼らの女装へのモチベーションに、憧れや自由とともに「挫折」「コンプレックス」というのが大きくあるからではないかと思うのだが、どうだろう。そんな風に年に一度女装について思いを巡らせたころ、トドメで始まったのがフェスタ最後のステージ、「ドリームガールズ2016」。日本を代表する女装が集うドラァグショーだ。

冒頭はミッツ・マングローブによる自曲の歌謡ショウ。これがなかなかすばらしかった。今まで「つまらない」「鼻が変」とか陰で言っててすまなかった。わかりづらい例えで申し訳ないが、橋本治に中尾ミエが憑依したようだった。

夜のヒットスタジオに出てきそうな貫禄のミッツ・マングローブ嬢


今やマツコに次ぐ全国民誰もが知る女装タレントで、スケジュールもタイトなはずである(エンディングにはいなかった)。それでもここに登場したのは、過去にも参加してきたこのイベントへの彼女の思い入れを物語っているだろう。LGBTのことを「ローション・グッショリ・バックに・包まれての略です」と表現しながら、彼女は軽やかに、そしてどこか寂しそうにステージを去っていった。

本日のベストショット。ミッツ・マングローブという存在のどこか寂しい感じを良く表現できていると思う


そして現役最古ドラァグのシモーヌ深雪(西日本の人間としては人生で最初に知ったドラァグクイーンが彼女)から次々と始まるドラァグショウ。それはまるできらびやかな台風のようで、「勘弁して! もう女装はウンザリだから!」といい加減おなかいっぱいになったころで東京レインボープライド初日のフェスタは大盛り上がりの大団円を迎えたのであった。

お色直ししたGyuqo嬢、カルピスの昔の黒人ロゴにそっくりです。40代以上にしかわかんないと思うけど。ここから女装のオンパレードなんで免疫のない方は胃薬をご用意ください


大阪が誇る現役最古DQ(ドラァグ・クイーン)シモーヌ深雪。ご本人が深雪と書いて「みゆき」と読むことを知らなかったために「ふかゆき」という読みになったというのは関西人なら知っておかなければならない基礎知識



宝塚でいけそうなバビ江ノビッチ嬢



最高にフォトジェニックなDQダンサー・ジェリカ・ミズラヒ嬢



岩崎宏美の曲で踊り狂うのはコロッケ以外には彼女にしか許されない。エンジェル・ジャスコ嬢


ダイアナ・エクストラバガンザ嬢のステージは女の一生が凝縮されたような濃厚さで胃もたれ必至。それにしても女装の名前ってクリエイティヴにもほどがある


「ドラァグには80㎏以上無いと資格がないの?」という流れで肉乃小路ニクヨ嬢登場。腕毛がリアル



誰が誰だかこんがらがってしまいやすい太めDQ図鑑としてご活用ください


この御三方を一緒に写しただけで森羅万象を一枚の写真に収めたような気がする


このイベントにおいての存在感をまだ今ひとつつかみかねるにんに君(青森県上北郡七戸町のゆるキャラ)


パレード実行委員代表の山縣真矢氏と杉山文野氏のごあいさつ。文野イケメンだな


やっと人影が少なくなったブース


帰り道の夜の渋谷で咲く薔薇に、さきほどの女装の姿を思う


いよいよ明日はレインボープライドのメインイベント、パレードである。(文/写真 サムソン高橋)

・サムソン高橋(@samsontakahashi)
ゲイ雑誌「SAMSON」編集部出身のゲイライター。ゲイ雑誌「G-men」などで世界のハッテン場を探訪したコラム「ALWAYS UNPROUD」などを連載後、同じくSAMSON出身でG-menでも連載していた漫画家・熊田プウ助と「世界一周ホモのたび」シリーズ(ぶんか社)などを刊行中。

世界一周ホモのたび 狂
サムソン高橋 熊田 プウ助
ぶんか社

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