博報堂の「LGBTは儲かる」に非難殺到、当事者無視の謎概念「エグゼクティブ・ゲイ」とは?

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国内2位の大手広告代理店「博報堂」が、LGBT向けビジネスは儲かるということをアピールするために打ち上げた「エグゼクティブ・ゲイ」という概念が、当のLGBTからひんしゅくを買っています。詳細は以下から。

博報堂DYグループのSEEDATA、同グループのLGBT総合研究所と共同で「LGBT消費研究レポート」を販売開始 | 博報堂 HAKUHODO Inc.

まず見てもらいたいのが、6月20日付けで公開された博報堂のプレスリリース。

平たく説明すると、同社系列の「SEEDATA」および「LGBT総合研究所」が、LGBTの消費動向を分析するために、可処分所得が月額20万円以上で交友関係の広い(=情報発信力の高い)「エグゼクティブ・ゲイ」に着目し、ライフスタイルや消費スタイルについてのレポートを作成したので30万円で買ってビジネスの参考にしてね……というものです。

SEEDATAでは従来、LGBTの消費動向を分析するために、LGBTに代表されるセクシャルマイノリティの中でも可処分所得が高く、情報発信力の高いとされるゲイ(エグゼクティブ・ゲイ)に着目、リサーチしたレポートを作成して参りました。LGBTに特化したシンクタンク「LGBT総合研究所」の設立(2016年5月)を契機に、従来のSEEDATAのレポートにLGBT総合研究所のオリジナル分析や資料を追加し、内容を充実させた最新版のレポートです。

SEEDATAでは、可処分所得が月額20万円以上で交友関係の広いゲイの方を対象に、ライフスタイルを徹底分析。誰とも付き合わないゲイや老後の生活を懸念するシニアゲイなど、あまり着目されていない視点のレポート骨子を作成。そこに、LGBT総合研究所の実施した定量調査結果に基づく独自の知見を盛り込みました。LGBTのライフスタイルや消費スタイル、老後の考え方についてのビジネスヒントが詰まったレポートです。

しかし実際にSEEDATAが公開した概要を見ると、エグゼクティブ・ゲイとやらの消費動向をチェックするために行われたリサーチの対象はわずか3人。

インタビュー対象者は博報堂がエグゼクティブ・ゲイの要件として定めた「月額のお小遣いが20万円以上のゲイ」に限定。その中でさらにパートナーの有無で分類したため、回答者は各属性で1人ずつしかいないわけです。

エグゼクティブ・ゲイに続いて、お互いのメリットだけを求め、互いの独立した存在として考える付き合い方を実践する「ベネフィットパートナー」なる謎の概念も登場。「結婚という制度がないゲイの間では、恋愛の様式にも独自の文化があります」として、その付き合い方がさも当然のものとして普及しているかのように解説されています。

このようなガバガバのパッケージングの仕方に、「実態が伴わない空虚な代物」「しかもゲイから金だけむしり取ってコミュニティに一切還元なし、というのも凄い」「耳元でバ~~~~~~カと叫びたい」など、評価はボロカス。

LGBT向けのビジネスは儲かるとでも言いたげな今回のレポートですが、そもそも毎月の可処分所得が20万円を超えるゲイは、ゲイ全体のどれだけの割合を占めているのかなどについても触れられていないだけに、当然の評価かもしれません。

たかさきrep.さん: “博報堂の「エグゼクティブ・ゲイ」のレポートサンプル、イメージどおりの内容だった。ふんわりと商品化されるイメージの。あと自分らとの接点のなさもイメージ通り…。 https://t.co/dc9dQyJQJ7”

可寝たさん: “僅かに生息する「エグゼクティブゲイ」の行動を取材して、うん十万円という値段で誰かに売りつける。これがLGBTビジネス!”

サムソン高橋さん: “耳元で「バ~~~~~~カ」と叫びたい”

そして何より問題なのが、今回取りざたされた「エグゼクティブ・ゲイ」という発想が、25年前に発行された雑誌と全く同じという点。つまり広告代理店のLGBTに対する考え方が、25年前から進歩していないことを露呈してしまったわけです。

石田 仁さん: “「ニューヨークに棲息するエグゼなゲイたち──リッチ、フェイマス、インテリジェントな彼ら」(CREA 1991.02:84) https://t.co/Lvi5PoJ0FX”

サムソン高橋氏の東京レインボープライド2016取材記事が、本来掲載されるはずだった「Letibee Life」から消された際、「LGBTの広告代理店ウォッシュ」というフレーズが登場し、一部で話題となったことは記憶に新しいですが、広告代理店が実態とは異なる形でLGBTの在り方を規定し、そのスタイルを当事者たちに押しつけるのであれば由々しき話です。

レポートの販売以外にも、LGBTセミナーや勉強会を60~80万円で手がけている博報堂。開拓できそうな市場があれば、そこに売り込みをかけていくのが広告代理店の仕事であるとはいえ、もう少し実態に即した形でのアプローチを選んだ方が、不幸になる人が出なくて済むのではないでしょうか。

・6月24日18:00追記
以下のリンクでは「エグゼクティブ・ゲイ」「ベネフィットパートナー」の仕掛け人、SEEDATAのCEO・宮井弘之氏およびCOO・藤井陽平氏のインタビューが掲載されており、このような概念を打ち上げた背景として、以下のような考え方があることなどが明かされています。

LGBTには以前から着目していました。LGBTはセクシャルマイノリティーと言われますが、少数派ということは他の人が持っていない特別な価値観を持っているということだと思います。だからこそ調査して着目すべき点を探索する必要がある、そう考えました。その中でも今回はシンボリックな方々を調べるために、企業の経営者が同性愛者であることを公表しているという行動に着目し、エグゼクティブ・ゲイというトライブを考えました。

【企業内起業ストーリー】SEEDATAの野望 第4回:今、注目を集めるトライブとは? その背景と具体的な活用方法を公開 – Business Nomad Journal | ビジネスノマドジャーナル

世界一周ホモのたび 狂
世界一周ホモのたび 狂
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サムソン高橋 熊田 プウ助
ぶんか社

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