英EU離脱国民投票のやり直し求める署名が390万筆を突破、離脱派幹部が公約を「嘘だった」と認め怒りと後悔が広がる


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イギリス人たちは離脱派の嘘に踊らされたことに気づき、後悔の渦が広がっているようです。詳細は以下から。

◆イギリス国内で広がる後悔
6月25日にBUZZAP!では「こんなはずじゃ…EU離脱の決まったイギリスで「国民投票やり直し」署名殺到で誓願サイトがダウン、イギリス崩壊の懸念も」とした記事を掲載し、その中で英下院の設けた国会論戦のテーマを募るための電子署名サイトで「国民投票のやり直しを求める誓願」に署名が殺到し、一時サーバーがダウンしたことをお伝えしました。

25日の時点で、離脱が判明してから1日程度であるにも関わらず57万筆まで署名が集まっていたのですが、27日18時30分現在ではなんと390万筆を突破、400万筆に届く勢い。同様に、ロンドン独立を目指す署名も17万票まで伸びています。スコットランドや北アイルランドの独立も懸念される中、このままEU離脱となればイギリスの空中分解の可能性は現実的なものとなってきそう。

◆離脱派が塗り重ねた「うそ」の公約
この原因としては、離脱に投票した少なからぬ人数が「本当にイギリスが離脱するなんて思わなかった」とインタビューに回答しているように、自分の1票が国の行く末をとんでもない方向にねじ曲げてしまったという後悔もひとつにありそうですが、それに輪をかけたのが離脱派による公約違反。

離脱派は投票前のキャンペーンで、イギリスのEUへの拠出金が週当たり3億5000万ポンド(約480億円)にも上っているとして、離脱すればこの週3億5000万ポンドを財政難にあえぐ国営の国民保健サービス(NHS)に出資できることを大々的に宣伝していました。

英国独立党(UKIP)のファラージ党首は24日の時点であっさりと「離脱派のキャンペーンで起きた間違いのひとつだ」としてこの公約が全くの嘘だったことを明らかにし、残留派の「EUからの補助金などを差し引くと拠出金は週1億数千万ポンドだ」という主張が正しかったことを認めてしまいました。

同様に離脱派の保守党のダンカンスミス元党首はこの公約について「自分は言ったことはない」と逃亡。NHSだけでなく、教育予算や研究助成金に上乗せできるとした主張は「あくまでも可能性の話」として事実上公約を反故にしています。

離脱派のもう一つの大きな目玉公約だったEU加盟国からの移民制限ですが、こちらも離脱派のダニエル・ハナン欧州議会議員はテレビ番組で「移民がゼロになるわけではなく、少しだけ管理できるようになる」と大幅にトーンダウン。「人の移動の自由」を阻害した場合、EUとの貿易協定を結ぶ場合に大きく不利になる可能性があるためとみられています。

離脱派のアイコン的存在で前ロンドン市長のボリス・ジョンソン下院議員は保守系のデイリー・テレグラフ紙に寄稿し、「自由な貿易も、単一市場へのアクセスも続く」「移民政策の主導権を取り戻せる」と述べていましたが、この期に及んで信頼されるかは極めて怪しいところ。

英国のEU離脱国民投票を意味する「Brexit(英国の離脱)」にちなんで「Regrexit(離脱を後悔)」「Bregret(英国は後悔)」といった造語も広まっています。日本であれば公約違反も「新しい判断」であるとすれば多くの国民は納得してくれますが、イギリスではさすがにそうはいかないようです。

◆鬱憤が移民へのヘイトクライムに
こうした状況の中で危険が増しているのが移民へのヘイトスピーチやヘイトクライム。ロンドンにあるポーランド社会文化協会の入り口のガラスに差別的な文言がスプレーで落書きされていた他、ケンブリッジでもポーランドからの移民に対する差別的なことばが書かれたカードが、複数の住宅の郵便受けに入れられていたことが明らかになっています。

キャメロン首相は「ここ数日の人種差別やヘイトクライムは決して許容できないと、はっきりさせなければならない」と議会で明言していますが、離脱派が「英国人の生活を圧迫する移民」との印象を作り続けてきたことから、現在の怒りや鬱憤が今後も移民に対して向けられる可能性も十分にあり得ます。

威勢のいい言葉に飛びついてEU離脱という突拍子もない決断を下し、その直後に公約も全部嘘だったと明かされたイギリス人。体よく騙されたと言わざるを得ない状況ですが、今後いったいどのような解決に向かうのでしょうか。

EU離脱、バラ色のはずが…旗振り役が「公約」を反故:朝日新聞デジタル

英EU離脱:公約「うそ」認める幹部 「投票後悔」の声も - 毎日新聞

英、深まる混乱 新首相選び対立 財務相声明、肩すかし キャメロン首相、再投票を否定 :日本経済新聞

英首相 移民への差別的言動「決して許容できず」 NHKニュース

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