全額自己負担で費用10倍に、介護保険の福祉用具レンタルの切り捨て方針に「むしろ社会保障費増大に繋がる」と大きな批判

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介護保険の福祉用具レンタルが切り捨てられようとしていますが、間違いなく政府の想定を超えた地獄が訪れます。詳細は以下から。

8月3日に東京新聞が掲載し、大きな反響を得ているのが「介護保険の福祉用具レンタル 全額自己負担方針に悲鳴」という記事。政府は現在「骨太の方針」の中で要介護度が軽い人へのサービス見直しを検討しています。

財務省はこの福祉用具レンタルに加えて訪問介護の生活援助、バリアフリー化の住宅改修を介護保険の給付から外して原則自己負担にすることを提唱しており、2017年の法改正を経て2018年4月から介護保険制度と介護報酬改定に合わせた実施を目指しています。

東京新聞がこの記事で大きく取り上げているのがその中の福祉用具レンタルなのですが、その理由としては社会保障費の削減という目的とこの方針の大きな矛盾があります。

厚労省の統計による2016年2月に介護保険で福祉用具をレンタルした184万人のうち、政府が要介護度が軽いと見做す要支援1,2と要介護1,2に該当するのは114万人で6割を占めています。これら該当者への福祉用具レンタルに使われた給付費は95億円で、介護保険全体の1.4%に過ぎません。つまり、ここを全額自己負担にしても100億円の削減にもなりません。

一方、福祉用具レンタルの全額自己負担化は利用者にとっては致命的です。これまで1割負担だったレンタル費が全額自己負担になれば、介護に掛かるお金は10倍になります。レンタルできる器具はトイレやベッドに設置できる手すり、歩行器、車いす、電動ベッドなど11種。

例えば1ヶ月500円でレンタルできていた車椅子は月5000円になり、複数の器具をレンタルしていた場合、は負担が極めて大きくなり、当事者と介護者の生活を激しく圧迫します。東京新聞は以下のような事例を紹介しています。

ヘルニア手術の後遺症で、50年前に下半身まひになった盛岡市の吉田義夫さん(85)は、車いすや段差解消用のリフトを器用に扱い、1人で散歩や買い物に行くのが楽しみ。4年前に腸の手術をした後は要介護5だったが、現在は2。ケアマネジャーの資格を持つ長女幸子さん(52)は「月約5500円の用具レンタル代が10倍になったら、負担はとても無理。といって用具がなければ、私が仕事を辞めて面倒を見なければならなくなる」と頭を抱える。

東京新聞_介護保険の福祉用具レンタル 全額自己負担方針に悲鳴_暮らし(TOKYO Web)

この事例はある種典型的でありながら極めて示唆に富んでいます。つまり、病気などの在宅リハビリに福祉用具レンタルが大きく役立っており、重度の要介護者の要介護度を下げ、または軽度に維持させる働きがあるということ。

低価格でレンタルができなくなった場合、用具のレンタルを諦めざるを得なくなる場合が十分にあり得ますが、その場合は介護する家族らの負担が極めて大きくなると共に、当事者が寝たきりになる可能性が増加、認知症が進む事も考えられます。つまり、この方針はかえって重度の要介護者を増やすこととなり、かえって社会保障費を増大させることに繋がります。

レンタルを諦めて家族がつきっきりになる必要が出てくる可能性も十分に考えられますが、それは安倍政権の目指す「介護離職ゼロ」とは真逆の結果を生み出します。本来は働けるはずの人が自分で介護をしなければならなくなるために離職を余儀なくされるとしたら日本経済にとって大きな損失となりますが、この方針ではシステム的にそうした離職者を大量に出すことになります。

もちろんお金の問題に限らず、介護者が多くの負担を背負って疲弊し続けることで、これまでも起こってきた悲惨な介護疲れによる殺人なども増加することは火を見るよりも明らかです。

福祉用具レンタル事業者らでつくる日本福祉用具供給協会の小野木孝二理事長は「用具が使えなくなると、家族の介護負担が増すか本人の行動が抑制され心身状態が悪化する恐れがある。そうなると訪問介護の費用も人材も余計に必要になる。福祉用具貸与は費用対効果が大きいサービスだ」としていますが、95億円の削減のために犠牲とするものはあまりにも巨大です。

当然ネット上ではこの方針には大きな批判が寄せられています。実際に介護を経験し、このサービスを利用した方からの切実な声も多数上がっています。


目先の小さな費用削減に捕らわれて、より社会保障費が増大するのであれば天下の愚策と言う他ありません。「一億総活躍社会」を提唱するのであれば、こうした方針は即刻撤回すべきです。

他国への円借款やリニアモーターカー、東京オリンピックに兆単位の大金をつぎ込んでいる場合では断じてありません。

東京新聞_介護保険の福祉用具レンタル 全額自己負担方針に悲鳴_暮らし(TOKYO Web)

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