【Boom Festivalレポート】灼熱のBoom Landを支えるビーチに息づくサマー・オブ・ラブのスピリット



灼熱の太陽に照りつけられるBoom Festivalを支えるビーチにはあの頃から脈々と続く愛と平和の系譜がありました。

真夏の南欧、ポルトガルの内陸部。それはまばらな木陰の外に照りつける灼熱の太陽とどこまでも続く青い空の世界です。その陽射しの強烈さは日本の比ではありません。確かに湿気がないため木陰やダンスフロアの屋根の下に入れば涼しいのですが、その一歩外には全てを焼き尽くさんばかりの日光が降り注いでいるのです。

そんなBoom Festivalを楽園たらしめているのが目の前に広がるビーチの存在です。単なる池というレベルではない広大なこの湖の岸辺に沿ってBoom Landは広がっており、ある意味いつでもどこでも思い立ったらビーチで水を浴びることができるのです。




テントサイトのそばでお手軽に、好きな音楽ブースの近くで気持ちのよい音に身を任せながら、もしくは人の少ないBoom Landの果てでゆっくりと。そう、Boom Festivalでは自分の好みのビーチを見つけて時間を過ごすことができるのです。



もちろん何をしていたって構いません。


人の少ないところ、気持ちの良さそうな場所を探して散歩をするのも楽しいものです。ただし、本気で陽射しがすさまじいので帽子や布などで工夫しないと火傷のような日焼けをします。飲みものも必須。





フロアやテントサイトの近くは大賑わいです。音を楽しみながらビーチでゆっくりするのもひとつのスタイル。何を選ぶのも自由です。




誰が作ったのか、ビーチにはこんな感じに石が積まれている場所も。ちなみに賽の河原感はまったくありません。



Boom Festival 2016 The view of Boom Land - YouTube


ウッドストックフェスティバルのDVDを見たことがある人は、多くの参加者が裸になって泳いでいるシーンを覚えているかも知れません。このBoom Festivalにはその頃のスピリットが色濃く残っています。いえ、むしろあの頃と変わりなく息づいていると言った方がよいでしょうか。


このビーチでは全てのBoomerのヌーディティ(裸になる自由)は完全に保障されます。もちろん脱がない自由も同様に完全に保障されます。誰もが好きな格好でビーチを楽しみ、誰もが他人が服を着ているか脱いでいるかなど気にしません。「おっぱいガー!」と騒いでいるのは日本人のおっさんだけでした。文字通りの意味で。こういったところは本当にヨーロッパらしい個人主義の極致なのでしょう。他人が何をしているかなど誰も気を遣いません。好きに泳ぎ、好きに寝そべり、自分たちの楽しみを謳歌します。それは日本にいる時には味わったことのないタイプの自由です。


本当はテントサイトではないのですが、勝手にビーチテントを張っている人も。よく見ると「大麻が欲しい!」と書いてあります。ポルトガルでは大麻をはじめとしたあらゆる麻薬の個人使用は「非犯罪化」されているので、この程度で捕まることはありません。


ビーチからはサンセットを眺めることができます。涼しくなったBoom LandのビーチにBoomerたちが集まり、湖の向こうの丘に沈み行く夕日を眺めます。




Boom Festival 2016 Sunset on the Beach - YouTube


夕日が沈む瞬間には「Thank You!!」「See You Tomorrow!!!」といった歓声が上がり、拍手が湧き起こります。そうしてビーチに集うBoomerはFestivalが進むに連れて増えていきます。このBoom Landで時を過ごしていくうちに、誰もが地球と太陽と月の天体の運行を肌で感じるようになっていくのです。これは実際にそうした環境に身を置いて初めて徐々に獲得していけるものでした。




逆の言い方をすれば、そのためにこそBoom Festivalは1週間という長い期間開催されるのです。せわしない日常から切り離し、音楽とアートに満ち溢れたまったく別の楽園を作り上げ、そこに1週間という期間を掛けてじっくりと私たちを染め上げていくのです。



大袈裟な言い方をすれば、Boom Festivalに参加することによって私たちの人生はBoom Festival前とBoom Festival後に分けられることになります。このような楽園があり得ることに、作り得ることに気付く前と気付いた後とも言えます。



お分かりになりましたでしょうか?Boom Festivalは村上春樹風に表現するのなら「入口の扉」に当たります。単なる音楽やアートの野外フェスではなく、楽園の形をした扉が作られているのです。私たちはそこである種の世界に足を踏み入れ、何かを得たり捨てたりして帰って行きます。そして行く前と帰った後ではすぐには目に見えない何かが確実に変化しているのです。

それが何かを言葉で表すことはしません。行った人が自分で感じ取ればよいものだからです。興味を持った人は2018年のBoom Festivalをぜひとも訪れてみてください。きっと今回私たちが感じたものともまた違う何かを感じることができるでしょう。

次回はいよいよBoom Festivalレポートも最終回となります。オーガナイズのあり方、ショップやフードの充実度、ワークショップやカンファレンスの存在など、文化の屋台骨の分厚さと裾野の広さに迫ってみます。

BOOM FESTIVAL, 1997-2016, Oneness _ Music _ Arts _ Environment _ Culture _ Love

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