少子化前提?財務省の要求する公立小中学校教員4万9000人削減で教職がさらなるブラック化へ

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ただでさえ過重労働が問題になっている教職員を大規模に削減するというとんでもない案が出されています。詳細は以下から。

◆ブラック化が問題視される教職員という仕事
教職員の仕事とは何でしょうか?教室で児童や生徒に授業をするというメインの業務だけだと考えているならば大間違いです。放課後には授業の準備は当然として各種報告書の作成や保護者との連絡、問題が起こればその対策もしなければなりませんし、休日には部活動の試合や大会などが入ることも少なくなく、残業や休日出勤が常態化しているのが現状です。

こうした状況に対し、今年の5月には自民党の議員連盟は教職員が18時までに退校できる体制づくりや、部活動の負担軽減を求める提言の中間取りまとめを当時の馳文科相に提言しており、同時に文科省も教職員の長時間勤務が解消されていないとして、省内チームを設置して部活動の負担軽減などの具体策を検討しています。

教員、6時までに退校を 長時間労働是正、自民議連が文科相に提言 – 産経ニュース

そんな中で財務省はこれとは真逆の方針を提言してきています。それが今後10年間での公立小中学校教員を4万9000人も削減するというもの。理由として挙げているのが少子化の進展。今年度で959万人いる児童生徒が10年後には840万人へとおよそ119万人減る見込みになっていることを根拠としています。

◆教職員削減でさらなるブラック化へ
財務省は現在の教育環境を維持しても公立学校の小中学校では教職員をおよそ4万9000人削減できるとしていますが、この現在の教育環境というものがブラックである以上、それを維持するという発想自体がまずずれています。

児童生徒が減っていったとしても「教室で児童や生徒に授業をする」以外の業務の量が同時に軽減される訳ではないため、教職をブラック化させている問題が自動的に解決されることはありません。

また、「企業や経済団体の社員を講師として招く」「スクールカウンセラーなど外部の人材を活用」とありますが、部活動の顧問などは外部委託が既に始まっていて有効と言えるかもしれませんが、教職員の削減ありきで外部の人材に関する法整備などへの言及はなく、極めてふわふわとした話に留まっています。

もちろん外部の人材を活用するとしても何らかの形の雇用になる以上、金銭の授受が発生することになります。まさかボランティアで募集するつもりはないと考えられますが、現在教職員が負っている数々の仕事を割り振り直すような制度設計を前提にしない限り、単純に現場の教職員が減らされ、さらなるブラック化が進む事になります。

◆少子化に歯止めを掛けようとする政府の方針とも矛盾
また、よく考えればこれは極めて奇妙な話で、政府は現在加速する少子化に歯止めを掛けることを(その手法の有効さは置いておいて)目指しています。しかし、財務省が現在の試算である119万人減を前提に4万9000人の教職員の削減を行うということは、政府の方針にも反して少子化を既定路線として受け入れるということ。ある意味政府の「ハシゴを外す」ことそのものです。

仮に少子化に歯止めが掛かり、子供が増えていくとすれば、その時に大切な義務教育を担うべき教職員が不足してしまうことになります。その時になって慌てて教職員が足りないとなっても、すぐに必要な数の教職員を呼び戻すことも育成することもできません。当然子供の成長を止めることもできません。

教育が国の根幹であることは今更言うまでもありませんが、一度それを壊した後に戻すことは容易ではありませんし時間も掛かります。そして後回しにすれば必ず影響を蒙る世代が発生してしまう性格のものです。

目の前の経費削減に躍起になる余り、「国家百年の計」の屋台骨とも言える教育、しかも義務教育の教職員を削減するのは全くもって先が見えていないと言わざるを得ません。

財務省 公立小中学校の教職員 4万9000人削減案 _ NHKニュース

公立小中教員の定数削減を 財務省、文科省に要求へ:日本経済新聞

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