イタリア国民投票で改憲反対派が勝利、「5つ星運動」の台頭でユーロ離脱の可能性も

このエントリーをはてなブックマークに追加


Photo by Liwax

イタリアがユーロから離脱する可能性が現実的になってきました。詳細は以下から。

イタリアで行われた憲法改正の是非を問う国民投票で、反対派が賛成派を大きく上回り、レンツィ首相が「敗北の全ての責任は私にある。私の政権はきょう終わる」として辞意を表明しました。

◆改憲が国民の主権を奪うとの反発
この国民投票は議会上院の定数を315人から100人に削減し、選挙ではなく地方議会の代表などで構成すること、さらに内閣信任・不信任の権限も削除するなど大幅に権力を削減し、実質的な一院制を目指す憲法改正への是非を問うたもの。

レンツィ首相は上下院が同じ権限を持ち、両院のどちらかで与党が過半数を割れば首相が退陣を迫られるという仕組みがイタリアで多くの短期政権を生み「大事なことを素早く決められない」として、いわゆる「決められる政治」への改革を狙っていました。

しかし野党はこぞって国民の主権を奪って自らの権力を安定化させようとしていると激しく批判。改革の方向性以上に実質的にはレンツィ政権への信任投票の様相を呈していました。

イタリア内務省の発表によると、日本時間の午前9時半現在で反対が59.6%、賛成が40.4%と圧倒的に反対派が上回り、レンツィ首相の辞任表明へと繋がっています。

◆なぜユーロ離脱が関係するの?
では、いったいなぜこの改憲に関する国民投票でユーロ離脱が浮上してくるのでしょうか?理由としては反対に回った3つの野党の全てがユーロ離脱を目指していることがまず第一に挙げられます。

その3つの野党とは、ベルルスコーニ元首相の率いる「フォルツァ・イタリア(「頑張れイタリア!」の意味)」、移民排斥を訴える極右政党の「北部同盟」、そして最も巨大なのが人気コメディアンのベッペ・グリッロによって設立されたポピュリズム政党の「5つ星運動」です。

この中で最も注目されているのが今年6月にはレンツィ首相の民主党よりも高い支持率を叩き出し、反政党政治反派閥政治を掲げて大衆の不満を吸い上げるポピュリズムの手法を全面的に取り入れている「5つ星運動」。

日本では今年6月に誕生した37歳の「美人過ぎる」女性ローマ市長ビルジニア・ラッジ氏の所属政党であると言えば最も分かりやすいでしょうか。

「5つ星運動」は元来汚職の総合商社として名高いイタリアの政治腐敗への不信や欧州連合からの離脱に重きを置き、雇用不安や増税を背負わされた国民の中流層・下流層からの強い支持を集めています。

2009年に設立されて以降、立候補者をインターネット投票で選抜するなどインターネットを重視し、パルマ、ミーラ、コマッキオなどの自治体で首長ポストを獲得。今年は先述のローマ市長やトリノ市長のポストも獲得するなど、広範な支持を得ています。

「5つ星運動」はユーロ離脱、EU離脱の国民投票の実施も掲げており、今回のレンツィ首相の敗北に伴って総選挙が前倒しとなることから躍進は間違いなしと考えられています。

その場合に「5つ星運動」が政権を取れば公約のユーロ離脱の国民投票が行われる公算は極めて高く、「フォルツァ・イタリア」、「北部同盟」が同調した場合にはイタリアのユーロ離脱が行われ、単一通貨であったユーロが崩壊することとなります。

また、EU離脱が現実となればイギリスの離脱に続いてEUには大きな打撃となり、実質的にEUが崩壊に向かうことにも繋がります。

ユーロやEUからの離脱が実際にイタリアの経済に好影響を与えるかについては否定的な見方が多く、「5つ星運動」の政権担当能力に対しても大きな疑問符が付けられています。実際にローマ市長の周辺でも汚職問題での辞任者が出た他、市政運営でも能力を疑われており、「5つ星運動」が実際に政権を握った場合に何が起こるのかは極めて不透明。

現時点ではイギリスの離脱派やアメリカ合衆国のトランプ支持者によるような排外主義的な主張は「5つ星運動」には特別見られません。しかしポピュリズムが国民の不満を敏感に吸い上げる時、また政権運営が不調となり自らが不満の対象となった時、どのような方向に向かうかについては注意が必要です。

イタリア国民投票 レンツィ首相が敗北認め辞任の意向 _ NHKニュース

[FT]イタリア国民投票にかかるユーロの未来  :日本経済新聞

イタリア「五つ星運動」、政権に就く用意あると表明 _ ロイター

(Photo by Liwax

最後はなぜかうまくいくイタリア人
宮嶋 勲
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 9,530

・関連記事
オーストリア大統領選で「緑の党」元党首が極右候補を破り、EU初の極右政権誕生が阻止される | BUZZAP!(バザップ!)

トランプ勝利からたったの1日、米国内ではマイノリティへのヘイトクライムが吹き荒れる事態に | BUZZAP!(バザップ!)

英EU離脱国民投票のやり直し求める署名が390万筆を突破、離脱派幹部が公約を「嘘だった」と認め怒りと後悔が広がる | BUZZAP!(バザップ!)

マクドナルド社と伊フィレンツェが全面対決へ、世界遺産の歴史地区への出店拒否を巡り | BUZZAP!(バザップ!)

「EU離脱を記念し、イギリスを取り戻すため放送終了時に国歌を流すべき」と保守政治家に要求されたBBCの返礼が最高にパンク | BUZZAP!(バザップ!)

このエントリーをはてなブックマークに追加