彼らも人間だった…楽しげに笑い、くつろぐナチス親衛隊のアウシュヴィッツでの日常風景

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彼ら、彼女らは屈託なく笑うごく「普通」の人々だったのです。この上なくおぞましいことに。詳細は以下から。

ナチス・ドイツで保安警察(ゲシュタポと刑事警察)、秩序警察、親衛隊情報部、強制収容所などを傘下に従え、治安維持と諜報活動を主要な任務としてユダヤ人を絶滅させようとホロコーストを引き起こし、今現在に至るまで犯罪者として追跡されているのがSSの略称で知られる親衛隊です。

では、その親衛隊に所属した人々は地獄の悪鬼だったのでしょうか?いいえ、残念ながら彼ら彼女らも私たちと同じように仲間と笑顔を交わし、休暇を楽しむ「普通」の人間でした。

1944年の5月から12月までアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の長官を務めた親衛隊のKarl-Friedrich Hockerのアルバムには、その期間中の親衛隊の人々の日常風景の写真が収められていました。

収容所の近くにはゾーラヒュッテと呼ばれる保養所が1942年に建設されており、Höckerら親衛隊や「SS補助婦隊」と呼ばれる女性部隊のメンバーらがここで楽しげに休暇を取っている様子が残されています。

こちらがそのゾーラヒュッテ。アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所での激務のストレスをゆっくり解消するための、なんとも気持ちよさそうな保養所です。

親衛隊とSS補助婦隊のメンバーがアコーディオンに合わせて楽しげに笑いながら歌っているところ。

家族でしょうか、女性や子供らとデッキチェアでのんびりとくつろぐ親衛隊メンバー。

アコーディオンの演奏を聴きつつHöcker長官からブルーベリーをもらって美味しそうに食べるSS補助婦隊のメンバー。

親衛隊のメンバーたちもアコーディオンに合わせてみんなで歌います。

のんびりタバコをくゆらせる親衛隊の将校たち。

左から2番目は収容所の囚人たちに繰り返し極めて残忍な人体実験を行って殺害した悪名高い医師ヨーゼフ・メンゲレです。

こちらは左からアンネ・フランクが死んだベルゲン・ベルゼン強制収容所の所長のヨーゼフ・クラーマー、前述のメンゲレ、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の所長を努めるリヒャルト・ベーア、そしてKarl-Friedrich Höcker。一番右の人物は不明。

ゾーラヒュッテからアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所への帰路。すっかりストレスを解消したHöcker長官らの表情は朗らかです。もちろん彼らが楽しいバケーションを満喫しているこの期間中にもユダヤ人を始めとした多くの収容者がガス室に送られ、殺害されていました。

アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所でひなたぼっこをしながら飲み物を楽しむ親衛隊。ドイツ人だけにビールなのでしょうか?

Höcker長官と愛犬のFavorit君。

アウシュヴィッツに新たに開館する病院の除幕式に集合した親衛隊。


クリスマスツリーのキャンドルに火を灯すHöcker長官。イエスがこの光景を見たらどう感じたのでしょうか?

いかがでしょうか。ナチスの親衛隊といえども仕事の外では楽しげに笑い、休暇を満喫する「普通」の人間だったことがお分かりいただけたでしょうか?

この事から私たちが学ぶべきは、平和な時代であればどこにでもいる普通の人間であっても、おぞましい社会に巻き込まれた時、誰であれとても人間とは思えないおぞましい所業に手を染めることがあり得るということ。戦時下のほのぼのとした日常の背後に何が存在していたかについては、よくよく考える必要がありそうです。

これらの写真は、後にドイツの哲学者ハンナ・アーレントが親衛隊のアドルフ・アイヒマンの裁判を傍聴して震撼した、紋切り型の決まり文句や官僚用語に塗れた「悪の凡庸さ」の現れそのものとも言えます。

視点・論点 「ハンナ・アーレントと_悪の凡庸さ_」 _ 視点・論点 _ NHK 解説委員室 _ 解説アーカイブス

アーレントが「悪の凡庸さ」を説明する「底知れない程度の低さ、どぶからうまれでた何か、およそ深さなどまったくない何か」という言葉で連想するものは何でしょうか?それはあなたの見ている前で既に具現化し、世界を覆い尽くそうとしているのかも知れません。

vintage everyday_ Laughing at Auschwitz ? Rare and Leisure Photographs of the Concentration Camp’s SS Officers on Vacation That Shock Germans

イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告
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