ようやく重い腰を上げた「給付型奨学金」、なんと民間の寄付に期待していた

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Photo by UBC Learning Commons

日本政府は子供のために金を使うのがとことんまで嫌いなようです。詳細は以下から。

子供は国の未来であり、教育は未来の国を支える根幹ですが、日本政府にはそのために税金をつぎ込むのがことのほか嫌なようです。

政府は1月31日に低所得世帯の大学生らを対象にした「給付型奨学金」を創設するため、日本学生支援機構法改正案を閣議決定して国会に提出しました。

この改正案では同機構に給付型奨学金の基金を設けるとしたのですが、財源として国庫からの積立金に加え、驚くべき事に民間からの寄付を財源に運用することが盛り込まれました。

対象者は住民税非課税世帯の新入生のうち、高校側が成績や課外活動での成果を基準に決定するとされ、2017年度には親元を離れて私立に通う学生と児童養護施設出身者の計2800人程度に先行給付される事になります。政府が17年度予算案に財源として計上したのは70億円程度。本格実施される18年度以降は1学年あたり約2万人に月額2~4万円を給付します。

この「給付型奨学金」が本格的に実施されてゆき、4学年でそれぞれ2万人が最大の月額4万円を支給されたと考えると給付額の総額は年間384億円になります。今年は先行給付のため、予算が70億円というのは妥当と言えそうですが、来年以降どの程度を国庫からの積立金で補い、どの程度民間からの寄付を当てにするのかは現時点では不明です。

先日のフィリピンを始め、海外への援助には兆単位の税金を惜しげもなくつぎ込むにも関わらず、「給付型奨学金」のために民間からの寄付を当てにするというのは極めて異常な事態。他国の発展と自国の未来を天秤に掛け、自国の未来を担う若者の育成への出費を渋るというのは日本国民として到底納得できる判断ではありません。

日本政府はこれまでも安倍首相らが発起人となって立ち上げた民間基金の「子どもの未来応援基金」に税金を投入せずに民間の寄付に丸投げし、2ヶ月で300万円しか集めることができずに大きな批判を浴びたという前例があります。

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さらには主にNPO法人や主婦らがボランティアで運営し、地域住民や食品メーカーからの食材で賄われる「子ども食堂」に農林水産省がタダ乗りする形で食育を行おうと画策するなどで、国家が責任を持って行うべき次世代の育成を民間の善意に頼った挙句にいいとこ取りを企むなど、極めて不誠実な態度が目立っていました。

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今回もまた民間からの寄付にすがって財源不足ということになれば、今の政府には「国家百年の計」がないと批判されても致し方ありません。

なお、最後になりますが奨学金というのは英語ではscholarship
となり、返済不要なものを指します。返済の義務のあるものは学資ローン(educational loan)として区別されます。なので「給付型奨学金」という言い方は「頭痛が痛い」的な重言であり、こちらを本来通り単に「奨学金」と呼び、返済義務のあるものは「学資ローン」と明確に分けるべきでしょう。

「給付型奨学金」法案提出…民間の寄付も財源に _ 政治 _ 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

(Photo by UBC Learning Commons

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