【働き方改悪】残業規制が過労死ライン20時間越えの「月100時間」まで合法化へ

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Photo by Jamal Fanaian

残業を規制するはずが過労死ラインを大幅に超えることまで合法化されてしまいそうです。まさに本末転倒。詳細は以下から。

「過労死の撲滅」を目指して勧められてきた働き方改革実現会議ですが、連合の神津里季生会長は産業界に屈することを選んだようです。

22日の働き方改革実現会議において、企業の残業時間の上限規制で「繁忙期は月100時間まで」とする案を連合が条件付きで受け入れる方針を固めました。月平均60時間、年間720時間の規制案を巡っては労使が合意していましたが、この案の受入によって実質的に骨抜きにされてしまいました。

連合は100時間はあくまで暫定措置とし、受け入れの条件として「上限規制の適用除外業種の撤廃」「過労死防止対策の法制化」「制度の導入後一定の期間を経て繁忙期の残業100時間の見直し」などを政府や経済界に求めるとのことですが、受け入れられる保証はどこにもありません。

そもそも企業の繁忙期がいつで、どれほどの長さまで認められるのかも曖昧なまま。もちろん同じ企業の中でも部署が違えば忙しいタイミングが違うのは常識です。毎月100時間残業させながらずっと繁忙期だったという言い訳もできてしまうため、これが認められるのは致命的。

月100時間の残業というと、月に20日間9時17時を定時として働くと仮定すると毎日22時まで残業するということになります。現在、健康障害の発生と、労働社との間の因果関係を判断するため設けられている「過労死ライン」が80時間とされており、今回の容認はそのラインを20時間も超えるという到底あり得ないもの。「過労死の撲滅」の目標がハリボテでしかなかったことがよく分かります。

もちろん残業の上限がどれだけ低く抑えられようとサービス残業が横行すればあまり意味はありませんが、少なくとも労基署に駆け込むハードルは大きく下がります。今回のように「繁忙期は月100時間まで」とされてしまえば「100時間以内だから」「繁忙期だし…」という言い訳を認めることになってしまいます。

日本人の生産性の低さは世界有数ですが、これ以上長く残業させて生産性が上がるとでも思っているのであれば愚の骨頂。「働き方改革」をする意思のかけらもないことがよく分かります。ネット上では既に#100時間残業OKは働き方改革じゃないというハッシュタグが生まれており、怒りの声が多数噴出しています。

なお、本件について経団連の榊原定征会長は会議後の記者団の質問に「合意形成ができなければ、無制限に残業できる現状が続く」として、政府案の「繁忙期は月100時間まで」を飲まなければ合意を行わず、法案提出が行われないまま現状の働かせ放題の状況を続けることになると明言。これは法案提出を人質にした恫喝と呼ばざるを得ない発言です。

このまま連合が屈してしまえば「繁忙期は月100時間まで」という過労死ラインを超える残業が合法的になってしまうという極めて危険な状態です。


経団連、連合に譲歩迫る=残業上限でトップ会談へ:時事ドットコム

連合、月100時間容認で調整=研究開発は例外受け入れ-残業上限、決着へ道筋:時事ドットコム

繁忙期100時間の残業特例、連合が容認方針:日本経済新聞

(Photo by Jamal Fanaian

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