京都の「立誠シネマ」が7月末に閉館、出町柳に移転して新展開へ



京都の繁華街、木屋町の人気ミニシアター「立誠シネマプロジェクト」が閉館する事が分かりました。詳細は以下から。

京都では「京都みなみ会館」「京都シネマ」と並び映画ファンに愛されてきたミニシアター「立誠シネマプロジェクト(以下、立誠シネマ)」が2017年7月30日に閉館となることが告知されました。

立誠シネマの入る元・立誠小学校は1928年(昭和3年)に建設された歴史ある学校。1994年(平成4年)に閉校。以降は「元・立誠小学校」として地元主催の催しをはじめ、演劇、音楽、展覧会やフリーマーケット等のイベントが多く開催されてきました。



1897年(明治30年)には、前年にパリで開催されていた万国博覧会を訪れた実業家の稲畑勝太郎がリュミエール兄弟のシネマトグラフを持ち帰り、京都電燈株式会社の中庭で国内初の試写実験に成功。この事から日本映画原点の地とされています。

そうした中、この元・立誠小学校で2013年4月から始まったのが「立誠シネマプロジェクト」。BUZZAP!でも以前取材したように、京都市の洛中で始めて「この世界の片隅に」を上映した他、多くの厳選された単館系の映画の映画を上演してきた他、映画関連の展示やトークイベントなども積極的に行ってきました。


さらには京都映画人発掘プロジェクト「シネマカレッジ京都」の拠点にもなっており、京都の映画シーンの中でも特別な存在でした。

今回の閉館は京都市の進める元・立誠小学校跡地活用により、ヒューリック株式会社が契約候補事業者として選定され、基本協定書が締結されたことをうけたもの。ヒューリック社によると、この跡地は「ザ・ゲートホテル立誠京都」というホテルを中心に、商業施設、ホール、野外オープンスペース、自治会活動スペースなどの入る複合施設になるとのこと。

これだけだと残念な話…となるところですが、立誠シネマは終わりません。出町柳の出町桝形商店街内に「出町座(仮)」として拠点を移し、「よりグレードアップした形で、様々な人や文化の交流拠点となることを目指します」とのこと。

出町柳は京阪電車の終点駅で、新拠点までは世界遺産の下鴨神社を右に見ながら鴨川デルタを通って徒歩5分。「出町桝形商店街」はアニメファンには「たまこマーケット」シリーズのモデルとして、また森見登美彦原作の「有頂天家族」にも登場するロケーションとしても有名な場所です。


地下1階と2階にそれぞれ50席ほどの映画館が入り、1階は飲食店、書店、映画館ロビー、3階はフリースペース(ギャラリー)&スクール(シネマカレッジ京都)として利用されることが告知されています。

また、立誠シネマは移転に際してクラウドファンディングサイトMotionGalleryにおいて「京都・出町柳エリアの商店街に新しいカルチャー発信地を。映画館×本屋×カフェの融合ビル「出町座(仮)」」として移転と運営の資金を募集しています。


なお、立誠シネマは7月に「立誠シネマ・ラスト興行月間」を行い、以下の作品の上映が行われる予定。

『この世界の片隅に』(2016年/片渕須直監督)7/1(土)〜7/30(日)毎日1回上映。
『この空の花 長岡花火物語』(2012年/大林宣彦監督)7/22(土)〜7/30(日)毎日1回上映。
『チリの闘い』(1975年/パトリシオ・グスマン監督)7/22(土)〜7/30(日)3部作を1日1部ずつ上映。
『ストップ・メイキング・センス』(1984年/ジョナサン・デミ監督)7/29(土)、30(日)2回限定上映。


今後の新展開を楽しみにしつつ、立誠シネマ最後の時間を味わいに行くのもよいかも知れません。

・関連記事
「この世界の片隅に」のBlu-ray&DVDが9月15日発売決定、超豪華な特典DISCやブックレット付き特装限定版も | BUZZAP!(バザップ!)

森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」を「四畳半神話大系」の最強チームがアニメ映画化 | BUZZAP!(バザップ!)

京都の三大古本まつりのひとつ「下鴨納涼古本まつり」を訪れてみました | BUZZAP!(バザップ!)

京都、鴨川の源流域に「もののけ姫」着想の舞台、役小角ゆかりの志明院を訪れました | BUZZAP!(バザップ!)


フォローして最新情報を手に入れよう

カルチャーに関連した楽天商品(PR)