安倍首相の開き直り記者会見、印象操作とデマの数々をまとめてみた

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安倍首相が6月19日に首相官邸で行った記者会見について、「印象操作で建設的な議論ができなかった」と野党に責任をなすりつけて開き直ったことは既にBUZZAP!誌上でもお伝えしましたが、会見内容は全般にわたってデマや嘘が散りばめられていました。文言を元に検証してみます。

デマは安倍首相の十八番であることはこれまでBUZZAP!でも繰り返しお伝えしてきたとおりですが、一見反省の弁とも取れる文言を並べながらのデマ開帳はなかなか見られるものではありません。

森友学園、加計学園問題、共謀罪などで紛糾した今国会で「国民の財産や国民生活に関わるものであるにもかかわらず、国民が納得できる説明を一切しなかった」ことは既に指摘したとおりですが、それらを認めて反省することは期待できなそうです。

首相会見の全文はログミーなどで参照できますので、一部を切り取って批判しているかどうかは各自全文と付き合わせながらご確認ください。

◆加計学園問題
まずは以下の加計学園問題に関する部分から

国家戦略特区をめぐる省庁間のやりとりについて、先週、文部科学省が徹底的な追加調査を行った結果、新しく見つかったものも含め、文書を公開しました。

これを受け、内閣府の調査も行い、関係する文書等を明らかにしました。しかし、最初に調査した段階ではそれらの存在を確認できなかった。二転三転したかたちとなり、長い時間がかかることとなりました。

こうした対応が国民のみなさまの政府への不信を招いたことは、率直に認めなければなりません。

「信なくば立たず」であります。なにか指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく。先週も、調査結果の発表後に、予算委員会の集中審議に出席いたしましたが、4年前の原点にもう一度立ち返り、建設的な議論を行い、結果を出していく。そうした政治が是正するよう、政権与党としての責任を果たしてまいります。

ここでまず問題となるのは、「省庁間のやりとり」に「関係する文書」の存在が確認できたかどうかではありませんし、二転三転したり長い時間が掛かったことも本質ではありません。

その文書に「総理の意向」「官邸の最高レベル」といった文言が明記されており、安倍首相の加計学園問題への関与を示す証拠として提示されているという事実が問題です。一言で言うならば行政府の長が腹心の友が理事長を務める学校法人への利益誘導に国家戦略特区を利用していたのであれば、それは明確に国家の私物化であり、大罪だということです。

内閣府と文科省という担当省庁の間でそうした文書が交わされていた以上、少なくともこの文書の存在を明言した当時の事務方の責任者である前川前事務次官、そして名前の上がっている萩生田副官房長官、藤原審議官の証人喚問も必須でしょう。

安倍首相本人が国会という国権の最高機関の場で加計学園問題について「私はもし働きかけて決めているんであればこれは私責任取りますよ。当たり前じゃないですか」と明言している以上、関与の事実があれば責任を取って辞任するのがまっとうな大人としての筋というものです。

加計学園で安倍晋三が大興奮3_13福島みずほ:参院・予算委員会 – YouTube

◆共謀罪
次に政府が「テロ等準備罪」であると印象操作してきた共謀罪に関する以下の部分を見てみましょう。

今月も、イギリスで、フランスで、そしてイランで、テロ事件が発生しました。テロの恐怖は世界に拡散しています。こうした時代に、東京オリンピック・パラリンピックを3年後に控える我が国にとって、テロ対策の強化は待ったなしであります。

テロを未然に防止するため、国際組織犯罪防止条約を締結し、国際社会と連携を強めていく。今回成立したテロ等準備罪処罰法は、そのために必要なものであります。

次にこの共謀罪に関する部分は100%の大嘘です。BUZZAP!でも「ついに成立した共謀罪、いったいどんな法律なの?」という記事で詳報していますが、共謀罪が「テロ等準備罪処罰法」ではない事は実際に共謀罪の取りまとめを行っている自民党法務部会長の古川俊治議員がテレビ朝日「モーニングショー」で明言しています。

また、今年3月に東京新聞が法案全文を入手したところ、そのどこにも「テロ」の文字はなく、さらには特定秘密保護法で規定されているようなテロの定義すら為されていませんでした。

さらに、共謀罪は「国際組織犯罪防止条約を締結し、国際社会と連携を強めていく」と言っていますが、人権状況などを調査・監視する国連特別報告者に公開書簡で「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」と指摘し、さらには「法案の成立を急いでいるため、十分に公の議論がされておらず、人権に有害な影響を及ぼす危険性がある」と懸念を表明されてしまう内容であり、拙速な成立プロセスも問題にされています。

しかし安倍政権はこの懸念に丁寧に答えることはなく、菅官房長官はなぜか「不適切なものであり、強く抗議を行っている」とし、内容についても「プライバシーの権利や表現の自由などを不当に制約する恣意的運用がなされるということはまったく当たらない」と強く抗議しました。

まったくもって「国際組織犯罪防止条約を締結し、国際社会と連携を強めていく」の逆を行く事しかしていないのですが、いったいどんな並行世界の話をしているのでしょうか?

なお、記者会見後の質疑応答の際、安倍首相は毎日新聞記者からの共謀罪の成立過程での審議不十分という指摘と、国民の不安払拭についての説明を求められて

改めてこの機会にもう一度私からはっきりと申し上げておきたいことは、一般の方が処罰の対象となることはない、そしてまた、一般の方が被疑者として捜査の対象となることはないということは、改めてはっきりと国民のみなさまに申し上げておきたいと思います。

と答えています。しかしこの際、安倍首相は「一般の方が処罰の対象となることはぜっ…処罰の対象となることはない」と、「絶対」という単語を言いかけて呑み込んでいます。これはつまり「一般の方が処罰の対象となることは絶対ないとは言っていない」ということ。「これまでと違う新しい判断」によっていくらでも一般の方が処罰の対象となる可能性があると首相自ら明らかにしてしまった形です。

これまで安倍首相を始めとした自民党が繰り返してきたように本当に一般の方が処罰の対象となる可能性が「絶対ない」と考えているならば、ここで敢えて「絶対」という言葉を呑み込んで言い直す必要はどこにもいっさいありません。

ここで改めて思い出されるのは自民党改憲草案です。現行の日本国憲法第36条では、103条の条文の中で唯一「絶対に」という表現が用いられていますが草案の対応する条文ではこれが削られているのです。

日本国憲法第36条の条文は

公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

というもの。ここでだけ敢えて「絶対に」という表現が用いられたのは戦前・戦中の特別高等警察、いわゆる「特高」による過酷な尋問や拷問が多く行われたことに対する反省があります。特高が拷問に至る苛烈な尋問を行うに辺り、極めて恣意的に用いられた法律こそが治安維持法です。草案ではこれは

公務員による拷問及び残虐な刑罰は、禁止する

と書き換えられています。安倍首相が「平成の治安維持法」と呼ばれる共謀罪について語る際、「絶対」という言葉をなぜ呑み込んだのはなぜなのでしょうか?「一般の方が処罰の対象となることは絶対ないとは言っていない」共謀罪が成立し、改憲によって「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対に禁止するとは言っていない」自民党改憲草案が私たちの憲法となった時、共謀罪は「平成の治安維持法」としてその最終的な完成を見ることになるでしょう。

◆経済問題
経済についても印象操作が続きます。それにしてもアベノミクスというご自慢の言葉はいったいどこにいったのでしょうか?

あわせて本年の春闘では、高い水準の賃上げが4年連続で是正していますが、これと相まって働くみなさんの更なる手取りアップを図ります。現在、有効求人倍率はバブル時代をも上回る極めて高い水準にあります。

この春、高校や大学を卒業したみなさんの98パ―セントが無事就職を果たし、社会人人生をスタートさせました。これは調査開始以来もっとも高い水準であります。雇用を増やし、所得を増やす。経済の好循環をさらに力強く回転させていくため、これからも安倍内閣は経済最優先で取り組んでまいります。

こちらの経済問題についても大きな印象操作が行われています。有効求人倍率がバブル期の最高値である1990年7月の1.46倍を超え、1974年2月以来となる43年2ヶ月ぶりの超候水準となったというニュースはBUZZAP!でもお伝えしましたが、ネット上では総ツッコミ状態。

1990年時点での賃金の伸び率は4%前後で、1997年の467万円までは右肩上がりです。しかしそこから賃金は目減りし始め、2016年に実質賃金は6年ぶりに増加したとはいえ、0.4%と極めて微量の増加に留まっているのが現状。

結局この有効求人倍率の増加は経済が好調になっている訳ではなく、少子高齢化による労働人口の減少による人手不足に伴うものと考えるべきもの。15~64歳の生産年齢人口が2013年10月時点で7,901万人と32年ぶりに8,000万人を下回っており、今後も減少傾向が続くことが予測されています。

佐川急便やヤマト運輸の基本料金値上げや週休3日制、ファミリーレストランなどの深夜営業中止などの人手不足も好景気によって起こっているのではなく、あくまで生産年齢人口の減少が主原因。

たとえば既婚者の小遣いの平均値は前年比4421円減の2万5082円で2007年の調査開始以来過去最低になっており、余暇や趣味、嗜好品や外食などに使えるお金が減少傾向にある以上、市場の冷え込みが改善される見込みは薄いと言わざるを得ないでしょう。

◆再び加計学園問題
安倍首相は再び加計学園問題に舞い戻り、せっせとこの問題が岩盤規制改革であるとの印象操作に努めます。

国会終盤では、国家戦略特区における獣医学部新設について行政が歪められたかどうかをめぐり大きな議論となりました。獣医学部はこの50年以上新設がまったく認められてきませんでした。

しかしいま、鳥インフルエンザ、口蹄疫など動物から動物、さらには動物から人に伝染るかもしれない伝染病が大きな問題となっています。専門家の育成、公務員獣医師の確保は近々の課題であります。そうした時代のニーズに答える規制改革は、行政を歪めるのではなく、歪んだ行政を正すものです。

岩盤規制改革を、全体としてスピード感を持って進めることは、まさに総理大臣としての私の意志であります。当然、その決定プロセスは適正でなければなりません。ですから国家戦略トップは、民間メンバーが入って諮問会議や専門家を交えたワーキンググループにおいて議論を交え、決定されていきます。

議事はすべて公開しています。むしろ、そうした透明で公明・公正なプロセスこそが、内向きの議論を排除し、既得権でがんじがらめになった岩盤規制を打ち破る、大きな力となる。これが、国家戦略トップであります。

半世紀ぶりの獣医学部新設についての審議に携わった民間議員のみなさんは、プロセスに1点の曇りもない、と断言されております。まさに、岩盤規制改革の突破口です。

この部分は実に噴飯物で、実際は岩盤規制改革の名目の下に安倍政権とズブズブの関係にある加計学園しか挙手できない条件で獣医学部新設を無理矢理に行政を歪めて進めていることが問題とされているのです。

既得権のから利益を取り上げ、国家という装置を私物化してお友達に渡すのならば、岩盤規制改革とはまさに名ばかりの印象操作に過ぎません。

また、仮に「専門家の育成、公務員獣医師の確保は近々の課題」であったとしても加計学園がそれを担うだけの教育機関かという問題は全く別物です。実際に加計学園の系列校である千葉科学大学を構成する薬学部・危機管理学部・看護学部すべてにおいて偏差値35~40に留まっており、薬剤師国家試験合格実績から見た薬剤師教育の状況も惨憺たるものです。本当にこんな学校法人のつくる獣医学部が「鳥インフルエンザ、口蹄疫など動物から動物、さらには動物から人に伝染るかもしれない伝染病」に対して有効なのか、疑念しか湧きません。

◆森友学園の家宅捜索とクローズアップ現代のスクープ
なお、この記者会見の直後に森友学園の運営する塚本幼稚園に家宅捜索が入り、籠池理事長が捜索後の朝に取材に応じて本筋の立件になれば、安倍総理夫妻を捜査対象にせざるを得ないと、ある意味宣戦布告とも取れる言葉を口にしています。

また、昨夜はNHKの社会部が主導したクローズアップ現代が加計学園の獣医学部新設を巡って萩生田官房副長官が文科省局長と面会した際の発言をまとめたとされる文書が文科省から発見されたとするスクープを放送しました。

昨夜の記者会見で全てに幕を引きたかった安倍首相の思惑は残念ながら脆くも崩れ去ったということになりそうです。ここから先は国民がこの国会で起こったことを忘れず、次の投票行動にどのように反映させてゆくかに掛かっていると言えます。

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