重さの単位「キログラム」が来年公式に再定義へ



なじみ深いキログラムの定義が来年129年ぶりに変更されることになりました。詳細は以下から。

私たちが体重計に乗り、一喜一憂する重さの単位、それがキログラムです。長さや時間の単位と違い、この世界標準の重さの単位の定義は「国際キログラム原器 (IPK) の質量」という人工物に基づいています。

今現在世界中で用いられているキログラムを定義する国際キログラム原器は1889年に作られたもの。直径・高さともに約39mmの円柱形をしており、成分はプラチナが90%、イリジウムが10%の合金製です。

この国際キログラム原器は129年の長きに渡り、フランス・パリ郊外セーヴルの国際度量衡局(BIPM)に、2重の気密容器で真空中に保護された状態で保管されています。


国際キログラム原器には当時40個の複製がつくられ、日本には6番目の物が1890年に到着し、「日本国キログラム原器」としてキログラムの基準に定められています。なお、日本国キログラム原器は国際キログラム原器に比べて0.176mg重いことが判明しています。

このようにあくまで人工物を基準にするキログラムは普遍的な物理量に基づく定義に比べて誤差が存在しており、それ以外でも国際キログラム原器の質量は表面吸着などの影響により年々増加するなど、決して普遍的な量とは言えない面があります。

そこで2011年、国際度量衡総会において、キログラム原器による基準を廃止してプランク定数によって再定義することが決定されたのです。ドイツのイルメナウ工科大学は「プランク・バランス」という、より繊細な尺度を作りだし、年内にはそのプロトタイプを公開するとのこと。

新たなキログラムの定義は第26回国際度量衡総会で正式に認められ、2018年11月に新しい定義によるキログラムが公のものとなります。

もちろん、この再定義によって私たちの体重が重くなったり軽くなることはなく、レシピの調味料の加減が変わることもありません。ですが、日常生活では分からないような極めて微細な違いが精密な化学実験の精度を上げていくことにはなりそうです。

Scientists To Unveil New Scales For Redefined Kilogram Later This Year _ IFLScience

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