小池都知事が突然都民ファースト代表を辞任、どんな意味があるのかまとめてみた

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都知事選で大勝利の翌日、小池都知事が突然都民ファーストの会の代表を辞任してしまいました。小池都知事ならと投票した都民にとっては完全に肩透かしとなりました。詳細は以下から。

自民党が議席6割減で史上最低議席という惨敗を喫した7月2日、逆に小池旋風によって大躍進を果たしたのが「都民ファーストの会」でした。しかしその台風の目であり、6月1日に都議選のために代表に就任したばかりの小池百合子都知事がなんとこの大勝利の翌日7月3日に代表を辞任してしまいました。

小池都知事は辞任理由について「二元代表制等々への懸念があることも想定すると、私は知事に専念する」と報道陣に述べています。後任には6月1日まで都民ファースト代表を務めてきた小池都知事の政務担当特別秘書である野田数幹事長が就くことになっています。

◆辞任理由の「二元代表制」って?
二元代表制とは首長と議会議員をともに住民が直接選挙で選ぶという制度のことで、日本の地方自治体ではこの制度が採用されています。これは首相を議員から選ぶ「議院内閣制」の国政とは異なっており、首長は予算や条例などの議案を議会に出したり人事を決めたりする権限を持ち、議会は議案の議決などで首長の行政運営を監視します。

三重県議会のサイトの説明から引用すると

二元代表制の特徴は、首長、議会がともに住民を代表するところにあります。ともに住民を代表する首長と議会が相互の抑制と均衡によってある種の緊張関係を保ちながら、議会が首長と対等の機関として、その地方自治体の運営の基本的な方針を決定(議決)し、その執行を監視し、また積極的な政策提案を通して政策形成の舞台となることこそ、二元代表制の本来の在り方であるといえます。

三重県議会 二元代表制より引用)

ということになります。確かに都議会で過半数を取得した都民ファーストの会の代表が都知事を兼ねるということは、主張と議会が対等の立場で相互チェックを果たすという二元代表制の理念からは疑問符が付けられてもおかしくはありません。

ただし、今回の都議選はそれぞれの都民ファーストの会の候補者というよりは小池都知事への信任として投票した都民が多いことは想像に難くありません。そうした投票者からすれば翌日の突然の辞任は「肩透かし」以外のなにものでもないと感じてもおかしくはありません。

◆それって本当の理由なの?
確かに二元代表制への懸念という理由はもっともではあります。しかし、都民ファーストの会が躍進すれば(大方の報道も躍進を予想していました)、この問題が発生することは火を見るよりも明らかでしたし、実際に他党からは選挙戦中からこの問題を指摘、批判されています。

だったら最初から代表にならなければよかったはずですが、それでも敢えて一度は代表に就任したのは自らの知名度と都知事としてのキャラクターを「エサ」として都民を釣るための確信犯だったことは改めて指摘するまでもありません。

結局小池都知事は「二元代表制への懸念」を全く気にすることなく代表に就任し、前面に自らを押し出して選挙戦を戦い、大勝して「親小池派」の都議会を作り上げた途端に身を翻して辞任するという離れ業をやってのけたことになります。

また、今回の辞任はリスク切り離しの側面もあると言えます。今回都議選で当選した大量の都民ファーストの会の議員達は小池チルドレンと既に呼ばれていますが、これまで〇〇チルドレンと呼ばれた政治家にはろくでもない不祥事ばかりがつきまとっています。

小泉チルドレン橋下チルドレン安倍チルドレンなど、ブームの終焉と共に消え去る一発屋ならまだしも、政治家として以前に大人として信じられないような不祥事を起こした例も先日の「このハゲーーーーーッ!!」の豊田真由子議員を筆頭にずらりと並んでいます。

つまり、都議会で今後小池チルドレンが不祥事を起こしたとしても、小池都知事は既に代表を退いているためネガティブな影響が最小限に食い止められるということになります。

◆都議にとってもいい面の皮、という現実
小池都知事は自分が前面に出て選挙戦を戦うことで自分の影響が過半数を超える都議会を手にした挙句、その都議たちの今後起こりうる不祥事からは距離を置くという、見事なまでの「いいとこ取り」をしたことになります。

都議としては小池都知事の下で頑張りたいと思っていたのかもしれませんが、早速ハシゴを外された格好になってしまいました。付いていこうと思っていた親分がいなくなってしまったのですからいい面の皮です。

小池都知事は「責任を取る必要のない手下」を都議会を掌握するのに十分なだけ手に入れた、というのが今回の都議選の意味するところではないでしょうか?

◆都民ファーストの会は自民党よりも右寄りの極右政党
都民の中には自民党への批判票の受け皿として都民ファーストを選んだ人も少なくないと思われます。しかし、先日BUZZAP!でも報じたように、小池都知事にしても、再び都民ファースト代表となった野田数にしてもある意味自民党よりも極端な右翼思想を持っています。

小池都知事は過去に何度も「戦後教育は自虐的」と発言してきており、改憲を目論む日本会議の議員懇談会副幹事長や副会長も歴任しており、核武装論者でもあります。2011年には「祝日が多すぎるというなら、借り物の憲法記念日5月3日を祝日から外します」とツイートしています。

また、小池都知事は野党時代の2010年12月、差別主義団体・在特会の関連団体である「そよ風」の主宰する「日本と地球の護りかた」という講演会で講演を行っています。この講演は在特会の公式サイトのスケジュール魚拓)にも記載され、在特会が協賛しているもの。

同年3月には以下のように「某国」からの在日外国人に関するツイートをしており、こちらも現在まで残されたまま。

そして再び都民ファースト代表を務めていた野田数政務担当特別秘書は東京維新の会としての都議時代の2012年10月、日本国憲法無効論に基づく大日本帝国憲法復活請願を、紹介議員として東京都議会に提出した極右思想の持ち主です。

この請願は日本国憲法が「我が国の独立が奪われた時期に制定された」として無効を主張するもの。また皇室典範についても「国民を主人とし天皇を家来とする不敬不遜の極み」と批判し、「国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄」するよう決議を求めるという戦前回帰思想であると同時に、国民主権という近代国家の根幹の放棄を求める完全なるトンデモ極右思想のかたまりとしか言えないものでした。

しかし野田数都議(当時)は、石原慎太郎都知事(当時)も「憲法破棄」を唱えているとして、「東京では受け入れられている」と主張。この頃連携を目指していた日本維新の会の橋下徹代表(当時)に「憲法破棄(の立場)は取らない。大日本帝国憲法復活なんてマニアの中だけの話だ」と一蹴され、以降の連携の見直しにまで発展しました。

さらにいえば野田数都議(当時)はこの年に尖閣諸島に上陸した国会議員の「尖閣視察団」に都議としてひとりだけ参加した人物であることも忘れてはなりません。

つまり現在の東京都の状況を見てみると、都知事と都議会の過半数を占める都民ファーストの会の代表は共に現憲法を敵視する戦前回帰の改憲派であり、差別主義や排外主義との繋がりの過去を持っています。

結局都民は自民党を批判しながらも、さらに右寄りの都政を選んでしまった事はしっかりと認識しなければならないでしょう。もちろん、選挙で投票するだけが民主主義ではないことは言うまでもありません。

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