【前編】巨大空間マニア必見!巨岩の立ち並ぶ栃木県の「宇都宮市大谷町」で壮大な地下空間を歩いてきました



巨大建造物、巨大空間マニアにはたまらないスポットです。詳細は以下から。

BUZZAP!編集部では以前埼玉県春日部市の地下巨大空間首都圏外郭放水路を訪れましたが、これに負けない地下巨大空間が栃木県宇都宮市に存在しています。

それが大谷資料館。関東在住者は主に石塀や土蔵などに用いられる「大谷石」という石材の名前を聞いたことがあるかもしれませんが、この大谷石が採石されるのが宇都宮市の大谷なのです。

大谷石は耐火性に優れている上に軽く、柔らかくて加工が容易であることから古くから石材として用いられてきました。奈良時代の741年に建立された下野国分寺・下野国分尼寺の礎石、地覆石、羽目石にも使用されるなど、平安京よりも長い歴史を持っています。

そして近代では、大谷石の採石場の一部は第二次世界大戦中に戦闘機の格納庫としても使用されていました。日本の長い歴史を土の下からじっと眺めてきた存在といってもいいのかもしれません。

BUZZAP!取材班が大谷を訪れたのはお盆休みの時期。通常であれば比較的静かな観光地なのですが、さすがに多くの観光客が訪れていました。まずは市営の大谷駐車場に車を停めて散策してみることにしました。公共交通機関だとJR宇都宮駅西口から関東バス45番で30分程度(450円)で大谷観音前で下車します。週末は往復共に1時間に1~2本程度の運行です。


駐車場の前に大谷石作りの綺麗な公衆トイレ。その奥に見えるのが「天狗投げ石」です。



その向かい側にある昭和のままで時の止まったレストハウスにぐっときます。


お隣の「LAPIS 08」という大谷石を使ったハンドメイドアート(ワークショップなども)のお店とお隣の陶芸ギャラリー「さんて」は営業中。


大谷石の風合いや特色を活かした展示なども行われています。


その道をまっすぐ進むと見えてくるのが平和観音。太平洋戦争の戦没者の供養と世界平和を願って彫刻された高さ27mの観音像で、昭和23年から6年の歳月を掛けて彫刻されたものです。


大谷石の断崖を背にして立つ姿は圧巻です。


歩いている人と比べてみるとその大きさがよく分かります。


周囲の景観も見事です。




こちらが「慰霊之塔」。


この日の夜に「大谷石夢あかり祭」というキャンドルイベントが企画されていて、恐らくはその準備と思われる無数のオブジェ。


ここに夜、キャンドルが灯ったらかなり素敵そうです。


平和観音から見上げるような断崖の間の道を抜けると板東十九番札所の大谷寺に辿り着きます。



ここの本尊は通称「大谷観音」と呼ばれる石造千手観音菩薩立像で、重要文化財に指定された「日本最古の石仏」です。


拝観料は大人400円。本堂内の大谷観音などの石仏は撮影禁止なので要注意です。


こちらが本堂の入口。のしかかるような大谷石の崖に圧倒されます。


上まで見るとさらにこんな感じです。


大谷観音はかつては岩の面に直接彫刻した表面に赤い朱が塗られ、粘土で細かな化粧を施され、更に漆を塗った一番表には金箔が押されて金色に輝いていましたが、火事によりそれらは失われて今は大谷石の造形のみが残されています。むしろ悠久の時の流れを感じさせる厳かさが足されているようにも感じられます。

この大谷観音は810年に弘法大師が刻んだとの伝承も残っていますが、最新の研究結果ではバ―ミヤン石仏との共通点が見られることから、中央アジアの僧侶が日本を訪れて彫刻したのではないかと考えられています。

その筆頭候補として挙げられているのが鑑真の弟子である中央アジア出身でソグド系とされる渡来僧の如宝。如宝は一時期、全国に3つしかなかった正式に僧尼を認める戒壇のひとつであり、「東戒壇」と呼ばれた下野薬師寺に住していたことがあり、この時期に大谷観音を彫刻したのではないかとのこと。弘法大師かと思えば中央アジアから来た鑑真の弟子だったという、どちらにしても極めて壮大なエピソードを持つこの大谷観音は必見です。

栃木県立博物館によるレーザー動画を以下から見ることができます。

千手観音 - YouTube


また、この大谷寺のお堂の下からは約11000年前のものとされる「縄文最古の人骨」が出土しており、同時に出土した土器や石器などとともに宝物館に展示されています。当時の人々は大谷石の断崖の岩陰などを住居としていたと考えられており、この大谷という地の歴史が極めて古いものであることがよく分かります。

大谷寺の敷地内でも切り立った大谷石の景観を楽しむことができます。




さて、ここから散歩しながら800mほど先の「地下空間」を楽しめる大谷資料館へと向かうことにしましょう。大谷寺を出て右手側に進んでいきます。ただし、このエリアは昭和感溢れる商店や廃墟なども点在しているため、急がずぶらぶらしてみるのがオススメ。




道なりに(歩道が狭いので自動車に注意)300mほど歩いて行くと、左手に崖が迫ります。これも見事。



そして右手側には大谷景観公園が見えてきます。この日はさすがに暑くてゆっくりできませんでしたが、季節によってはピクニックにも良さそうです。




公園のすぐ先の右手に向かう橋を渡るとそこはもう大谷資料館の駐車場です。ハイシーズン以外で大谷資料館に直行するならここまで車で来るのもあり。バスなら同じ45番で「資料館入口」で下車すると橋の目の前です。


駐車場の奥まで行くと左手側に大谷資料館入口の看板が。後編ではいよいよこの大谷の巨大地下空間に入ります。


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