過労死ライン越えの「月80時間以上残業可」の労使協定、東証一部上場企業の過半数に及ぶ

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Photo by Canadian Pacific

日本のいわゆる大企業の過半数が従業員に命懸けの勤務を求めていることが判明しました。詳細は以下から。

◆過労死ライン越えの残業の常態化
朝日新聞の調査によると、東証一部上場の225社の55%に当たる125社が2017年7月時点で、国が「過労死ライン」とする月80時間以上まで社員を残業させられる36(さぶろく)協定を結んでいました。

そして驚くべき事に、この125社のうち少なくとも41社が月100時間以上の協定を結んでいたことも判明しています。

もちろんこれだけで、この労使協定を結んでいた全ての従業員がこれだけの時間残業をしたと言うことはできませんが、少なくとも「合法的」に過労死ラインを越えて残業させられる態勢を過半数の東証一部上場企業が取っていたことになります。

もちろん日本社会の違法なサービス残業の蔓延を考えれば、ここに現れた数字は氷山の一角に過ぎません。

また、日経平均株価を構成する折り紙付きの大企業であるこの225社以外の中小零細を含む企業での働き方はこの調査には現れません。しかし「下請けいじめ」という言葉が示すように、こうした大企業の下請けの立場にある企業ではより過酷な状況に置かれていることは想像に難くありません。

いったいどれだけの日本人が過労死ラインを越え、心身の健康を脅かされ、命の危険にさらされながら日々の仕事に従事しているのでしょうか。2015年に起きた電通の新入社員の過労自殺をきっかけとして「過労死の撲滅」を旗印に展開されてきた働き方改革実現会議ですが、歯止めと言うにはまだまだあまりにも危険な労働が山積みになっています。

◆「残業100時間未満」という残業上限規制の妥当性
朝日新聞は政府が2019年に向け、繁忙月でも月100時間未満に残業を抑える罰則付き上限規制を導入する方針であり、「日本を代表する企業の多くが協定の見直しを迫られそうだ」と報じており、あたかも労働環境が改善するかのような書き方をしています。

しかし、上述したように日本政府は月80時間の残業を「過労死ライン」としており、「残業100時間未満」は「企業が忙しければ過労死の危険を冒しても働け」と宣告するもの。100時間の残業は月に20日間9時17時を定時として働くと仮定すると、毎日22時まで残業するということになり、おいそれと認められるような基準ではありません。

この「残業100時間未満」の基準については2017年春に経団連の榊原定征会長の「合意形成ができなければ、無制限に残業できる現状が続く」とういゴリ押しの要求を連合の神津里季生会長が呑んだもの。最終決定を行った安倍首相は「労働基準法70年の中で歴史的な大改革だ」としています。

これはつまり、働き方改革実現会議によって「過労死の撲滅」を訴えながら、結局は経団連の要請に連合も安倍政権も屈してしまい、「過労死ライン」越えの労働の合法化を容認してしまったということ。

通常国会ではもり・かけ問題や南スーダンPKO日誌隠蔽問題などの話題の中に埋もれてしまった形となりましたが、この妥当性については今後も厳しく指摘されてゆくべきものです。

当初の月平均60時間、年間720時間の残業規制案が「過労死の撲滅」という視点からは(残業させる文化自体が生産性を下げているという議論は置いておいて)妥当なラインと言えますが、日本人がそうした環境で仕事ができるのはいつの日のことなのでしょうか?

残業上限、5割超が過労死ライン 朝日主要225社調査:朝日新聞デジタル

(Photo by Canadian Pacific

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