MVNOからの集中砲火にサブブランド(UQ mobile、ワイモバイル)が反論、「不当に速い」という批判について考えてみた

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携帯会社から回線を借りてサービスを提供する「仮想移動体通信事業者(MVNO)」が、大手携帯電話会社のサブブランド(ワイモバイルやUQ mobile)に寄せている批判に対し、ついに公開で反論が行われました。詳細は以下から。

◆「不当に速い」とMVNOがサブブランドを集中砲火
まず見てもらいたいのが、昨年12月25日から総務省が開催している「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の資料。IIJ、楽天、「mineo」を提供するケイ・オプティコムがサブブランドに対して意見を寄せています。

・IIJ
まずはIIJ。サブブランドを用いた既存の利用者の囲い込みを問題視しています。

MNP転出を希望するユーザーに対し、自社のサブブランドを薦めることなども問題視しています。

・楽天
続いては1桁足りない投資額で携帯電話事業への参入を表明した楽天。「接続料金を勘案してもサブブランドの通信速度はMVNOでは提供不可能な水準」としています。

メインブランドとの併設店をいち早く展開している点も問題視。

・ケイ・オプティコム
そして「eo光」でおなじみ、関西電力傘下のケイ・オプティコム。やはり通信速度の差を訴え、「公正競争確保のための対応」を総務省に求めています。

◆ソフトバンク、UQコミュニケーションズが反論
・ソフトバンク
これらの批判に対し、ついに反論を始めたのがソフトバンク。まずワイモバイルによる料金低廉化が総務省におけるタスクフォースでも評価を得てきたことを指摘した上で、ワイモバイルは単なる事業・ブランディング戦略の一部でしかないとしています。

海外でも大手キャリアがサブブランドを提供している事例を挙げた上で……

ワイモバイルは低価格端末を中心に提供し、サポートダイヤル有料化やショップ展開の最適化によって低料金を実現しているとしています。

ネットワークについても、差別的な扱いを行っていないとしています。

・UQコミュニケーションズ
続いてはUQ mobileを提供するUQコミュニケーションズ。WiMAXサービス用の2.5GHz帯を割り当てられる際に課された指針により、同社はKDDI陣営ではあるものの、あくまで独立した企業です。

KDDIのMVNO事業者である一方、WiMAX回線を提供するMNOでもある同社。

IIJ、楽天、ケイ・オプティコムよりも少ないUQ mobileのシェア。UQ mobileに限って言えば、よってたかってMVNO上位陣にサブブランド批判で殴られている側です。

WiMAXサービスで快適な通信速度を追及してきた以上、スマホでも快適な通信速度を出すことが同社のポリシー。ショップ展開などのコストも先行投資であるとしています。

◆「不当に速い」という批判は当たらないのではないか
確かにMVNO各社より不当に安く回線が卸されているなどの事情があるのであれば、問題となりそうな今回の批判。しかし先述したように、UQ mobileを提供するUQコミュニケーションズはKDDIから携帯電話回線を借りる一方で、WiMAX 2+回線をKDDIに貸す立場です。

2014年発売のiPhone 6以降、auスマホのWiMAX 2+回線への依存度は高く、MVNO各社との差別化のために、UQがKDDIから得たWiMAX 2+回線使用料収入の一部を、KDDIから借りる帯域幅の支払いに充てて高速化していると考えれば、特に問題があるようには思えません。

ソフトバンクに吸収されたワイモバイルについても、前身となったイー・モバイルおよびウィルコムは1.8GHz帯や2.5GHz帯を保持していた、自社で回線を持っていた事業者であることを考えると、KDDIやUQコミュニケーションズの関係とほぼ同じです。

このような「自社が手がける格安スマホ事業以外の経営資源を用いて、格安スマホサービスの差別化を図る」ことが許されないのであれば、自社のポイントやサービス、店舗網などを組み合わせた差別化なども当然許されないはずです。

◆サブブランドを締め上げて得をするのは……?
また、KDDIおよびソフトバンク陣営には、それぞれ「サブブランドを使わないといけない事情」があるのも事実。

まずエリアや対応周波数帯、利用できる端末の多さ、利用者数、バックボーンとなる光回線を含めた基地局コストなどを考えていけばいくほど、圧倒的な資本力がある旧電電公社・NTTグループ(NTTドコモ)より好条件でMVNO各社に回線を提供できないという現実があります。

NTTドコモ、auのプラチナバンドLTEは世界でも珍しい周波数帯(Band 19,18)ですが、海外のスマホメーカーが日本市場にスマホを投入する場合、まず7000万以上の契約数を抱えるドコモ回線で使えることを最優先に考えるというケースはいくらでもあるわけです。

もちろんそのような状況だと、MVNOはドコモ回線に一局集中してしまうため、特にau、そしてソフトバンクは自前の回線を使ったサブブランドでMVNOに対抗せざるを得なくなります。

つまり回線を提供する大手各社に明確な差があり、MVNOがドコモ回線に集中する現状で「大手3社 vs MVNO」といった構図で物事を考えること自体がナンセンスです。

さらに楽天、ケイ・オプティコムと並んでサブブランド批判の急先鋒に立っているIIJの主要株主は、批判を受けてUQ mobileやワイモバイルのサービスが劣化した場合に得をするNTT。結果的にMVNO=ドコモ回線を強力にアシストすることになります。

もともとパイが限られている中に700近い事業者が一気に参入して過度の価格競争を引き起こした結果、業界全体が儲からなくなってしまった感の強いMVNO事業。

通信品質よりも価格面でのインパクトを出すことに各社が腐心したことで、キャリアと格安スマホの間にある”準キャリア”を目指すとしていた事業者すら飲まれてしまっている有り様です。

すでに構造自体に問題がある気がしてならない格安スマホ業界ですが、その尻拭いをさせられるのがサブブランドおよびそのユーザーであっていいのでしょうか。

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