東京オリンピック暑さ対策が逆効果に、鳴り物入りの「遮熱性舗装」で気温が上昇



このとんでもない猛暑の中で逆効果の暑さ対策を行えば冗談抜きに死人がでますが、来年の東京オリンピックは大丈夫なのでしょうか。詳細は以下から。

連日35度を超える猛暑日が続く日本列島。まさに来年のこの時期に開催される東京オリンピック・パラリンピックではアスリートや観客、ボランティアスタッフらの暑さ対策が必須課題として数年前から議論されてきました。

◆肝いり暑さ対策の「遮熱性舗装」が逆効果との研究報告
こうした対策のひとつとして道路の表面温度を下げるとされる「遮熱性舗装」の整備が進められてきましたが、熱中症の対策に詳しい東京農業大学の樫村修生教授の研究グループの検証によると、逆効果になってしまうケースがあることが判明しました。

晴れた日の日中に「遮熱性舗装」と「通常の舗装」の路面での気温の差を比較する調査を行ったところ、「遮熱性舗装」を施した道路の表面温度は国の調査と同様「通常の舗装」により10度前後低くなりました。

しかし高さ50cmと1m50cm、2mの空間の気温ではいずれも「遮熱性舗装」の平均気温が高くなっていました。特に日射が強かった日には平均の気温が1.5度程高く、最大で3度以上高い時間帯も。


樫村教授は「遮熱性舗装」が太陽光を反射させやすいことから、表面温度は下がるものの反射した熱の影響で、人が立つ高さでは気温が上昇したと指摘します。

また、これに伴い熱中症を予防するための指標となる「暑さ指数」も高くなっており「昼間の日射があるときには逆効果で、オリンピックでは選手や観客などのリスクを高めることが考えられる」としています。


◆国交省は「アスリートの体感」を優先して「効果あり」と判断
東京都や国はこの「遮熱性舗装」をマラソンコースを含んだ100kmを超える道路で整備を進めており、東京オリンピックを巡る巨額の建設工事案件のひとつであることは今さら指摘するまでもありません。

この件を巡り国土交通省は、「遮熱性舗装」と「通常の舗装」の違いをそれぞれの道路上の空間の「暑さ指数」を調査して比較した結果を公表。

その暑さ指数グラフの時点でも時間帯によって「遮熱性舗装」のほうが高くなっていたものの「調査で誤差が出やすく、おおむね1度以内の差で収まっている」との理由から「有意な差とは言えない」と結論付けていました。

さらに「アスリートが実際に走って温度を低く感じたと評価されるなど、さまざまな調査を総合すると、遮熱性舗装には暑さを緩和する効果があると考えている」として有用性を主張しています。


今回の結果では真逆のケースがあり得ることが判明したことになりますが、1年を切った今からどのような対応が行われることになるのでしょうか。

◆文字通り「死のオリンピック」の可能性も
小池都知事らは当初首に濡れタオル打ち水作戦、そしてかぶる傘などで暑さを凌ごうと考えてきましたが、これらは文字通り焼け石に水。


8月1~6日の間に東京23区で40~90代までの男女39人が熱中症で死亡し、8月8日にはオリンピックのメディアの取材拠点となる東京ビッグサイトの仮設・オーバーレイ工事にで50歳の男性作業員が熱中症で死亡する事故が発生するなど、日本の夏の暑さは命に関わる問題です。

東京オリンピック本番では未成年者が応援にかり出される場合もあり、日本の猛暑に慣れていない外国人の観客も多数来日します。

万全の準備で競技に臨むアスリート以上に危険にさらされる人が万単位で東京に押し寄せる事になりますが、交通機関の混雑なども既に予測されており、救急搬送を含む十分な医療体制が敷かれるかにも疑問符が付いています。


今年と同じような暑さが訪れれば、近代オリンピック史上に残る「死のオリンピック」になる可能性は決して低いものではなさそうです。

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