再生可能エネルギーの展望を描いたドキュメンタリー「第4の革命」レビュー

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福島第一原発事故を受けて原発や再生可能エネルギーを扱ったドキュメンタリー映画が注目を集めています。「ミツバチの羽音と地球の回転」や「100,000万年後の安全」などが話題になっていますが、今回は再生可能エネルギーに特化した「第4の革命」を鑑賞してきたのでレビューします。


第4の革命  エネルギー・デモクラシー 100%再生可能エネルギーシフトは可能!ドイツを変えたドキュメンタリー映画

この映画は2010年にドイツで公開されたドキュメンタリー作品で、ドイツ連邦議会議員でヨーロッパ太陽エネルギー協会(EUROSOLAR)会長であるヘルマン・シェーア氏(故人)をはじめとして、現在世界中で行われている再生可能エネルギーの開発と普及に取り組む人々を次々と紹介していきます。

映画「第4の革命 - エネルギー・デモクラシー」予告編 - YouTube


紹介されるのは、デンマークで50,000人の生活に必要な電力を全て風力でまかなっているフォルケセンターというコミュニティや、マリの農村部にソーラーで電気を賄おうとするNGO、それに中国の太陽光発電システム会社など多岐に渡ります。

そして、再生可能エネルギーへの移行というのは単に発電方法が変わるというだけのことではなく、産業や社会の構造が大きく変化するのだということが示されます。

石油、石炭、天然ガスなど化石燃料を用いた火力発電、そして原子力発電でも、それぞれに地下資源を必要とし、非常に巨大なプラントによる一極集中的な発電が用いられています。そこには巨大な資本が介在し、世界規模の大きなビジネスが動いています。それは時に産油国のように豊かな国を生み出し、他方では発電のための地下資源の輸入が国の財政を圧迫することもあります。

それに対し、再生可能エネルギーは太陽光、風など、基本的に地球上のどこでも無料で使用できる資源を利用します。そして、先に紹介したフォルケセンターのように、それぞれの街や自治体などの小さな単位で自分たちの使う電気を発電し、供給するという分散的なスタイルをとります。

そこに地下資源の売買や輸送は発生せず、集約的な巨大発電所や送電設備が必要とならないため、現在のエネルギー産業が不要となってくるとシェーア氏は述べます。そしてそのことは世界的な産業構造を全部ひっくり返すような大変革ともたらすと。もちろんそうなれば、既存の巨大なビジネスが失われ、関連する国や企業は現行の方針を大きく転換しなければなりません。

「再生可能エネルギーだけでは十分に安定した電力を供給できない」、「再生可能エネルギーへの移行には時間がかかり、それまでの暫定的なエネルギーが必要だ」といった意見は、既得権益を守ろうとしている集団の再生可能エネルギー封じ込めの動きだとシェーア氏は説明します。

ただ、現在の日本の状況では原発や電気の供給の問題が現実的な急務であるため、映画の内容は日本人から見るとやや理想論に過ぎるきらいはあります。

数々の再生可能エネルギーへの取り組みやアイディア、実践している人々は登場します。しかし、それらが実際はどこまで有効で、どの程度の費用と時間と労力で新しい電力システムを作り上げられるのか、という説明とデータが不十分であるように感じます。

また、論点が産業や社会の構造の変化だけではなく、化石燃料の使用による地球温暖化であったり、発展途上国でのエネルギー供給と自立の問題などにも及ぶため、せっかくのテーマの焦点が若干ぼやけ気味ではあります。

それでもなお、ここで挙げられている再生可能エネルギーの普及の現状と未来への展望を知ることで、今後の自分たちの生活や社会を考えていくための入り口とするには適している作品と言えるでしょう。

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