スペインの片田舎の小さな町は如何にしてマリファナ栽培に土地を貸し出すことになったか?

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by k'ento

先日スペインのとある寂れた町が大麻栽培のために土地を貸すことにした、というニュースが報じられました。日本では考えられない話ですが、いったいどんな事情でこうしたことが起きたのでしょうか?

Spanish town of Rasquera leases land for marijuana plantation World news guardian.co.uk

この決定をしたはスペインのカタルーニャ州都、バルセロナから南西に140kmに位置するラスケラという町。2010年の統計では人口が966人となっており、かなり小さな自治体です。

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この町の、町役場所有の7000ヘクタール(サッカー場10面分程度)の土地をバルセロナ近郊の会員5000人を抱える大麻愛好家クラブ「バルセロナ大麻個人使用協会(ABCDA)」に対し、喫煙用マリファナ栽培目的でリースすることを決議しました。その金額はなんと130万ユーロ(約1億4千万円)と、小さな町にしては非常に大きな収入になります。

こうしたことが起こる前提として、スペインでは大麻に関する法律が非常に曖昧なことが挙げられます。弁護士のオリオル・カザルス氏によれば「これはデリケートな問題ですが、自分が使用するためにマリファナを栽培するのは違法とは言えません。」とのこと。この町で栽培される大麻は完全にABCDAの会員向けのものとなり、売買目的ではないため問題はないという見解です。


このような法律事情を背景にしつつも、大きな問題はやはりお金と仕事です。ギリシャのデフォルトの問題ばかり大きくクローズアップされがちですが、スペインの経済も健全性とは程遠く、地方の小さな町には死活問題。ワークシェアも日本より進んでいるとはいえ、問題は山積みなのが現状です。

ラスケラ町のベルナット・ペリサ町長によると「この計画は町に40人分の仕事をもたらし、現在抱えている130万ユーロ(約1億4千万円)の負債も支払えるようになるでしょう」とのこと。この計画が実行されれば毎年65万ユーロ(約7千万円)が町の収入になります。

また、「実はこの計画に関していくつかのプロジェクトがあります。まず、大麻の種子をグロウ・ショップと呼ばれる個人大麻栽培者向けに大麻種子を販売する業者に供給すること。さらに7000人の会員を持つ大麻愛好家クラブとも交渉する予定があり、がん患者に大麻を用いて代替医療を行うクリニックも我々のプロジェクトを調査しています。」とペリサ町長は説明しています。これによってオリーブとアーモンドと山羊の牧畜で成り立っていた伝統的な町がヨーロッパ最大の合法的な大麻供給地へと変貌する可能性が出てきました。

ペリサ町長が地元警察を取り仕切るカタルーニャ州政府にこのプロジェクトについて通知したところ、弁護士の助言を求めるよう返答があり、ペリサ氏は「この件については我々の主権を認めてほしい」と要求しました。

これに対して、「こんなことしたらカタルーニャ中の笑い者になってしまう」「孫たちが地獄に落ちるようなはめになる」という意見もあります。また、23%もの高い非雇用率や後退を続ける景気に対してなんらかの対策になるのではないかと考える人もいます。地元の農場労働者のマリオ・アモーロス氏は「兵役に行って以来マリファナは吸ってなかったよ。でも、マリファナ農場で働こうと思ってる。だってもうこの2年仕事がないんだ。」と訴えます。


スペインの大麻愛好家クラブは大麻の栽培と所持、使用が合法であるなら、このようなクラブを組織するのは違法ではないと主張しています。「マリファナの使用は私たちの社会で既に定着し、受け入れられている現実だ。私たちはこの現実に目を背けず、よりよくマリファナを統制し、責任ある使用を奨励し、未成年者が手に入れられないようにすることに力を注ぐべきだと考えている。私たちの組織はこの基礎の上で活動しており、税金を払い、雇用を創出し、人々がブラックマーケットに向かうのを止めようとしているのだ。」とバスク大麻連邦のマルティン・バリウソ氏は説明します。

なお、ラスケラ町議会はABCDAとの契約に基づき、既に「安全性とリスク統制」に関する協定を作成するための委員会制定に同意しています。近々にもこの試みの結果を知ることができるかもしれません。

なかなか日本では想像できない事の進み方ですが、スペインの地元の人々が集うカフェやバーでは、オープンテラスの片隅からタバコでない芳ばしい香りが漂ってくることも珍しくありません。そのような法律や歴史背景があってこその展開と言えるでしょう。もちろんスペインでも大麻の売買は禁じられているため、誰かから買ってしまえば違法になります。ゆめゆめ勘違いなされぬよう。

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