格安高速バスの過酷さを明かした「とうりゅう観光(土江産業)」、倒産していた

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東京~大阪間を1000円台で移動できるようになるなど、格安高速バスの競争が激化する中、旅行会社の下請けとなっているバス会社側の過酷な現状を明かした「とうりゅう観光」が倒産していたことが明らかになりました。

詳細は以下の通り。



◆格安高速バスの過酷さを初めて明るみにした「とうりゅう観光」
格安高速バスの過酷さが初めて大々的に明らかになったのは、2007年4月に放送された「NHKスペシャル 高速ツアーバス 格安競争の裏で」という番組。

バス業界は2000年に行われた規制緩和で、道路運送法に基づいてJRや私鉄各社が運行する「路線高速バス」に加え、旅行業法に基づいて旅行会社などがバス会社からバスをチャーターし、「高速ツアーバス」として都市間を運行する業者が急増したことを受け、競争が激化しました。

そして同番組では、下請けのバス会社がどれだけ過酷な状況に置かれているのかが兵庫県のバス会社「とうりゅう観光(土江産業)」への密着取材の形で取り上げられ、バスのチャーター料金が公示運賃を下回るのが常態化する中、安全性を確保するためにチャーター料金値上げを申し出ても応じられないなど、厳しい内容が明かされています。

NHKスペシャル|高速ツアーバス 格安競争の裏で


夜9時、大阪駅から1㎞程離れた民間の駐車場が突如変貌する。およそ40台の超大型バスが頻繁に発着する。春休みの学生、単身赴任のサラリーマンなど千人を超える乗客が路上にあふれ出す。ここは東京、九州などへ旅立っていく「都市間ツアーバス」のターミナルだ。
2000年に行われたバス業界の規制緩和で高速バス界は大きく変貌した。「ドル箱路線」と呼ばれ、最も激しい競争が繰り広げられる大阪-東京路線。かつては8000円台だった片道運賃が格安競争により半額以下に減少した。とりわけ成長著しいのが、規制緩和によって参入したバス会社を傘下におさめる旅行会社だ。徹底したマーケティング戦略、さらにインターネットを駆使し、客の争奪戦を繰り広げる。その一方で、下請けのバス会社は、激しい車体の消耗と安いバス代に苦悩しながら、安全運行の努力を続けている。
急成長を続け業界の覇権を握ろうとする旅行会社。激しい安売り競争の中で揺れる下請けのバス会社。そして新興の「都市間ツアーバス」に対し、安全面での警鐘を鳴らす老舗の大手バス会社。一年で一番賑わう春の観光シーズン、各社はどう動いたのか。規制緩和がもたらした苛烈な競争の舞台裏を描く。


◆とうりゅう観光は2008年に倒産
NHKスペシャルではとうりゅう観光が別の旅行会社を通じてウィラー・トラベルからバスの手配を受けていたものの、ウィラー・トラベル側が旅行会社を通さず、バス会社と直接契約するように方針転換したため、チャーター依頼が来なくなったことが報じられていました。

そしてその放送から約1年半後の2008年9月、企業の倒産情報などを取り扱う日本商工リサーチ 九州地区本部の公式ページに掲載された「全国倒産速報」に「とうりゅう観光」の運営会社、土江産業が掲載され、同社が自己破産申請準備を行い、事業を停止した旨が記されています。

(Internet Archive)日本商工リサーチ九州地区本部


ウィラー・トラベルの社長、村瀬茂高氏は「安全というのはイコールお金がかかるということではない」ということを持論にしており、とうりゅう観光が求めたチャーター料金値上げに応じていませんでしたが、4月29日に群馬県藤岡市の関越自動車道で発生し、乗客7人が死亡した高速ツアーバス事故などを考えると、本当に「安全」と「低価格」は両立しうるものなのかどうかについては疑問符がともります。

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