京都のクラブで風営法コメディ、笑の内閣「65歳からの風営法」観劇レポート

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これまでも世間を賑わせている時事ネタを披露してきた京都発の劇団「笑の内閣」の今回のターゲットは風営法。しかも京都を代表するクラブ、Metroでの公演と実にエッジの効いた攻めの姿勢。アフタートークを含めてレポートします。

深夜1時以降のダンスを踊らせる営業を禁じるのナンセンス法律『風営法』を笑い飛ばす」とされた笑の内閣の最新作「65歳からの風営法」。これまでも青少年健全育成条例改正などに鋭く切り込んでいましたが、今回は風営法がテーマ。


内容については公式HPを読むと



あらすじ:
中村巡査が所属する京都府警本部生活安全部保安課査察係は、馴れ合っている所轄の生活安全課に代わり、厳しく違法風俗店を取り締まっていた。
 そんな査察係の本日のターゲットは、木屋町にあるクラブペガッサを客を踊らせた風営法違反の疑いで摘発する事。1時の突入に備え、12時より潜入捜査に入った中村巡査であったが、そこには地元仙台に住んでいるはずの妹の亜久里が。亜久里は仙台でDJ活動をしていて、この日は特別ゲストで呼ばれてペガッサに来ていたのだ。亜久里の出番は午前1時、しかもその日のの取締は経営側だけでなく突入時にDJブースにいたアーティストも客を踊らせた幇助罪で逮捕する方針だったのだ。
 このままでは可愛い妹が逮捕されてしまう。中村は職務そっちのけで、亜久里を1時に舞台に上げないために説得に回る。果たして兄妹の運命は?




とあるように、去年風営法で摘発を受けた京都の繁華街のクラブや会場であるMetroを思わせるクラブが舞台。

警察官である中村巡査を中心に、京都府警本部生活安全部保安課査察係、所轄の「鴨川署」の警察官、クラブの店長、イベントの主催者、イベントに出演するDJやミュージシャン、風営法で摘発されたクラブ経営者の弁護を担当する弁護士など、実に現在のダンス規制による摘発から風営法改正に関わる一連の問題に関わる人々がオールスターと言ってよいほど登場。それぞれが自らの立場と意見を持ち、舞台の上で戦わせます。

素晴らしいのはその意見への評価がどちらか一方だけに偏っておらず、さらには非常に深く練りこまれていること。これまで風営法改正問題に関わった人やダンスカルチャーに触れてきた人は「朝まで踊りたい、踊らせたい人」の意見に深く頷くことになる一方、警察側の代表する意見に対し、真摯に答えていかなければ法改正に至るのが難しいことも同時に思い知らされます。

そしてこの演劇は、風営法問題だけに留まることなく、深く現在の日本社会に潜んでいる時代精神を浮き彫りにしています。劇中で語られる

他人の自由を認めることが最終的には自らの自由を担保することになる
おかしな法律でもルールだからと闇雲に従うのは『法律への土下座』だ

といった言葉(正確な台詞ではありません)は多くの社会問題への日本人の姿勢を痛烈に突いています。

作・演出の高間響さんは風営法問題に興味を持つ1年ほど前まではクラブに行ったことはなく、ダンスの楽しさに関しても「多少、楽しさはわかりますが、はっきり言いまして、この問題をつきつめるとどっちでもいいです」というのが本音だとのことですが「どっちでもいいからこそ、そのせいで朝まで踊れなくて困ってる人がいるなら、こんな無意味な規制はなくせばいいじゃん」と述べます。


このようなニュートラルな立場からのアプローチだったからこそ、ダンス側にも規制側にも偏らず、多方面からの意見を集約したような舞台になったと言えるのではないでしょうか。

なお、筆者が訪れた14日17時半からの公演のアフタートークには風営法問題に詳しい福山哲郎参議院議員が訪れ、風営法についてのトークが行われました。現在国会議員の間では風営法改正に向けた超党派の議連が立ち上がっており、福山哲郎議員もこれに関わっています。



福山議員:
今回の公演では風営法に対するあらゆる角度からの人の意見が全部盛り込まれていて素晴らしかった。現在、政治の場でもこうした多様な意見があり、難しいところだ。

Let's Danceを始めとするダンス規制撤廃に対する想いに非常に共感できる一方、地域住民からのクラブに対するクレームや、より大きな犯罪への住民の不安を理由とした警察の規制撤廃への反対も無視することはできない。

国会では与野党を超えてダンスの文化を維持しようという議連ができて副会長をしており、色んな話を聞いてどのように進めていくか考えていく。ただし法律を改正するというのはシステムを変えることだから抵抗は激しい。相当説得力がないとなかなか法律は変わらない。

ダンスは時代によって変わってきていると思う。戦後の風営法の規制とならざるを得なかったようなダンスと今のクラブ文化のダンスは法律の想定している絵が違う。法律は、時代によって状況が変わることによってそもそもその法律が想定していない事案が出てくる。

暴力事件のようなひどい犯罪に対して警察は個別法ではなく風営法で「客を踊らせた」というコメディにしかならないような理由で摘発をした。問題の本質はそれを全体の網をかけるように使用していることだと考えている。




公演は15日、16日にも予定されており、最終回の16日20時からの回にはLet’s DANCE 署名推進委員会呼びかけ人の中村和雄弁護士のアフタートークが行われます。公演情報の詳細、チケット購入は以下から。



公演情報

公演名:第17次笑の内閣『65歳からの風営法』
作・演出: 高間響
出演:伊藤純也(劇団オレと松本)/小林まゆみ(KAIKA 劇団 会華*開可)
   /しゃくなげ謙治郎(劇的細胞分裂爆発人間和田謙二)/ 高間響
   /田中浩之(Will be shock Entrance gate)
   /髭だるマン(劇的細胞分裂爆発人間和田謙二)
   /廣瀬愛子(劇団ソノノチ)/藤井麻里
   /丸山交通公園(月面クロワッサン)/ 由良真介 他
エキストラ:あたる/ 黒亀履唖/ 山下みさと
スタッフ: 演出補_由良真介、マネジメント_前田瑠佳、
      管理_眞野ともき / 嵯峨シモン、
      音響_神田川雙陽(劇団粋雅堂)、照明 _山本恭平
      衣装_藤井麻里、宣伝美術_ほっかいゆrゐこ(劇団ソノノチ)
      料理_臼田泰如、方言指導_鈴木ちひろ、
      押し掛け振り付け_HIROFUMI、下人_川崎一輝
会場:METRO
京都市左京区川端丸太町下る 恵比寿ビルB1F

公演日時:
15日(月)15時 20時
16日(火)15時 20時 アフタートーク:中村和雄氏(弁護士)

料金:早割2000円 前売り2500円 当日3000円
15、16日の15時の回は・・・平日昼間料金
1500円 前売り2000円 当日2500円

新入生は割引 全ステージ一律1000円
(高校、大学、専門学校問わず)


公式HP:
笑の内閣warainonaikaku

チケット購入:
65歳からの風営法 笑の内閣 [演劇公演紹介] 演劇、ミュージカル等のクチコミ・チケット情報ポータル★CoRich 舞台芸術!


今回クラブという空間で風営法に関する演劇という試みが行われたのは非常に画期的なこと。Metroはこれまでにもメトロ大學という名前で講演会や映画の上映会、トークイベントなどを行なってきましたし、本劇中でもあっと驚くようなクラブの使い方が提案されています。これからのクラブシーンをどうしてゆくのか、「65歳からの風営法」には考えてゆく上でとても多くのきっかけやヒントが詰まっています。



踊ってはいけない国、日本 ---風営法問題と過剰規制される社会
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