風営法のダンス規制問題のヒアリングが規制改革会議で行われ「ダンス自体が問題ではない」ことが確認される

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11月22日に行われた規制改革会議の第13回創業・IT等ワーキング・グループの議事概要が先日公表され、風営法でのダンス規制問題について行われた議論の概要が判明しました。詳細は以下から。

BUZZAP!では今年11月27日に「ダンス文化推進議員連盟」がクラブの深夜営業を認めることなどを求めた中間提言をまとめたことをお伝えしましたが、それに先立つ11月22日に規制改革会議で行われた第13回創業・IT等ワーキング・グループにて扱われた風営法に寄るダンス規制問題についての議論が公表されました。

第13回 創業・IT等ワーキング・グループ 議事概要(1ページから21ページまでがダンス規制問題のヒアリングに該当)

この中で行われた会議では主に4号営業許可に関わる日本ダンススポーツ連盟、ラテンワークスコーポレーション、3号営業許可に関してレッツダンス推進委員会にも関わりの深い齋藤弁護士、クラブとクラブカルチャーを守る会、そして近隣住民の立場から六本木商店街振興組合の3者の立場からのヒアリングが行われました。

まず4号営業について、警察庁は社交ダンスの一部に問題があるとして「ダンススポーツは問題がないと思っているけれども、社交ダンスとの区別がつかないから、ダンススポーツならよいとは言えない」とされ、問題が明確で具体的に見えないために全体を規制するという方針によって規制のあり方に無理が出ていて、多大な影響があるという状況が発生しています。

具体的には「JOC の選手強化事業として例えば世界のトップ選手を呼んでコーチしてもらうことも、警察庁が認める教師資格を持っていないわけですので、違反になってしまう」「『風俗』というイメージダウンや、法の規制で大手企業の参入が取りやめられる」といった弊害が起こっています。

そうした中でも、個別事例として問題なしとされる場合もあるのですが、「原則全て禁止しておいて、実質大丈夫だから見逃すという判断は、現場でトラブルが絶えない」というのが現状とされています。

また、ダンスを公的に教える資格である「4号教師資格」については、これを遵守するならサルサやタンゴなどの比較的新しく日本で広まりつつあるダンスを合法的に普及できないと指摘しています。



4号教師資格の矛盾として、警察庁で、平成10 年には昔の社交ダンスしか想定していなかったということがあると思います。実際に、社交ダンスの全国組織でないと4号の資格発行ができません。

したがって、未だ全国組織ができないサルサとか、タンゴほか、新たなダンスは、日本全国組織ができるまで、無償で教えて普及させるということをしないと、教師資格発行団体が作れませんので、無許可営業をしないと現実問題として普及ができないということです。

つまり、現在政令が変わっているものの、日本では社交ダンス以外のダンスを法的には普及できないことになります。




結果として、「風営法の存在そのものによって、無許可営業という罪をつくり出してしまっている」という現実が生まれ、さらには「風俗の名前により、グレーエリアには優良企業が入りにくいとか、逆に暴力団が入りやすくなる」という弊害が現在の歪みを生み出しているとのこと。

そしてクラブカルチャーと密接に結びつく3号営業に関しては、ダンスと飲食が結びついているのが最早クラブシーンだけではありません。



カフェやバー、いろいろな飲食店、レストランなどでDJ が良質な音楽を流して、お客さんが音楽と一緒に食事を楽しむ場だったり、あるいは企業のレセプションパーティーといったところで、いろいろな音楽をかけながら、いろいろな人がアイデアやビジネスの意見交換をする

いろいろな企業のレセプションパーティーですとか、何らかの会合の2次会的な交流の場としてダンスパーティーが行われる




という文化が最近はメジャーになりつつありますが、こうした会場となるおしゃれなレストランやカフェ、バーなどの飲食店に関しては「風俗営業ということになると、外からお店の中が見えてはいけないという制限があったり、入り口に『18 歳未満出入り禁止』という看板を掲げなければいけない」などの要件を満たさなければならないため、実質的に風営法の3号営業許可を取ることは不可能になってしまいます。

また、風営法に寄るダンス営業規制全体に関しても、風営法の目的と照らしあわせた上でも帰って逆効果になる可能性が指摘されています。



風営法の目的は、「善良の風俗と清浄な風俗環境の保持」「少年の健全育成」「風俗営業の健全化、適正化促進」、この3つがあるのですけれども、風営法のダンス営業規制によって営業をグレーゾーン、あるいは違法にしてしまうことによって、かえってこの目的が阻害されているのではないか

グレーゾーンゆえに、コンプライアンスの観点から、優良な資本は正面から入っていくことができない状態になっておりますし、実際に入ってきたけれども、撤退していく企業が後を絶たない反面、グレーゾーンで商売をできるような、ちょっと遵法意識に欠けるような店舗が入ってきやすいという法律の状況になっております


また、グレーゾーンとされることで、本来行われるべき警察や地域との連携、自主規制の徹底も進まないという面もあります。

違法営業ということで、なかなか業界団体も組成できないという形になっています。

治安維持の観点からも、警察と連携をとりながらやらなければいけないということなのですが、深夜酒類提供飲食店、あるいは飲食店として届出をして営業していくということになるのですが、そうすると、警察としても業態の実態の把握ができなく、日ごろから指導、監督していくことがなかなか難しいのかなという印象を持っています。

もう一つ重要なのが、地域との連携です。違法営業ということになると、地域となかなかコミュニケーションがとれなくて、地域と一体となって安全に営業していくことができなくなってしまっている


これに関しては、クラブとクラブカルチャーを守る会は地域や警察からもアドバイスを受けながら自主規制基準を作成中であることが説明されました。

加盟事業者というものが自主規制基準を遵守しているかどうかを互いに監督、監査し合う。営業内容の似通った店舗等を潜在的な加盟事業者と捉えて、そこへ働きかけ加盟を呼びかける。

さらに、新しく似たような営業形態、私、先ほどから申し上げている営業形態というのは、部屋がありまして、そこで音楽をいわゆる大音量でかけて、その中でお客さんが飲食をしたり、自由に踊ることが認められている営業形態になるのですが、そういった営業を始めたいという新規参入の事業者には適切な指導をして、自主規制基準を守らせるように働きかけをする

ダンスと飲食を同時に提供する営業形態というのは、必ずしも1つのくくりには入らないと思いますので、その他の事業者の方たちも出てくると思います。そういった方たちは、また異なる自主規制基準を持った業界団体を組成していくというようなイメージ


この件に関しては事業者のみならず、アーティストやクラブファンらも無関係ではありません。現在クラブ側が客に示している規制事項なども必ずしも守られず、トラブルになっている例もあることから、クラブファンの意識改革も必要ですし、アーティスト側からのアプローチなどもあって然るべきでしょう。

また、これに対し、風営法のダンス規制の緩和や撤廃に反対の立場から六本木商店街振興組合からのヒアリングが行われました。

この中では六本木という街の持つ繁華街、ビジネス街、住宅街が複合的に密集しているという環境の持つ問題点が語られました。それらの多くはクラブなどのダンス営業が原因とは言い切れないものですが、

クラブに来る方たちが、クラブに入る前にお金がかかるから、場合によってはコンビニの前である程度お酒を飲んで、ほろ酔い加減になってから行くために、街を汚してから行ったりとか、または、帰りがけに店で飲んできたショット瓶を持ったまま外に出て、それを不法投棄していったりとかいうことがある


といった近隣問題は内容や程度に多少の差はあれ、間違いなく日本各地で発生しています。そして、こうした問題の解決に関してはダンス営業がグレーゾーンであることから



1時までしか営業してはいけないのが、現実問題、朝まで営業している。これがもう実態です。その中で、本来いけない中で営業しているものだから、そこで起きた問題を隠蔽したりとか、警察と連携した商売ができないという状態になっている




というのがやはり大きな弊害であるというのが共通の認識となっています。ただし、こうした問題と関連してダンス営業自体を規制するという方針に関しては

ダンスそのものを法律で管理している、取り締まっているということは、やはり世界的に見ても、これは我々もある意味、言葉が適切かどうかわかりませんけれども、ナンセンスなのかなと思っています。ですから、ダンスそのものを開放していくという動きに関して、街の人間としても何ら異論はないところ


とのこと。このヒアリング全体を通し、規制改革会議の圓尾専門委員から



先ほどダンスの関連の方のお話を伺っていても、やはりダンスが問題ということは全然感じない

騒音だったら騒音を取り締まればいい話であって、それから歩行飲酒が原因でいろいろな問題が起きているのであれば、区によっては、歩行喫煙を完全に禁止しているところもありますし、同様に禁止すればいい話だ

1個1個の問題をつぶすように対応していけばいいはずであって、風営法でダンスを全般に取り締まれば解決する話でもない




との意見が出されました。

ダンス営業規制という風営法の方針に関しては現代の実態にそぐわず、どの立場からもおかしいという意見が出されているのが特徴的です。実際にこの規制によってグレーゾーンが生み出されており、治安の悪化を招くと同時に風営法の目的を却って阻害し、ダンス文化とそれに伴う経済的なチャンスを損なわれているという可能性は見過ごせません。

原則禁止としておきながら運用面では個別に見逃し、何かあれば摘発するというスタイルは取り締まる側からすれば便利ではありますが、状況の曖昧さがもたらすストレスやリスクが健全な文化や経済を損ねるとすれば、何らかの改正が必要だと言えそうです。

記事の頭にもリンクを掲載しましたが、興味のある方には非常に濃密で有益な内容となっておりますので、年末のちょっとした時間にでも全文を読んでみることを強くおすすめします。

第13回 創業・IT等ワーキング・グループ 議事概要(1ページから21ページまでがダンス規制問題のヒアリングに該当)



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