【追記あり】安倍政権の解散直前の「商品券バラマキ政策」に批判の嵐、GDPは東日本大震災時より悪化

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Photo by Chris Potter

解散総選挙を目前に安倍政権が打ち出した低所得者層向けに商品券を配布するという案にこれまでにない批判の嵐が巻き起こっています。詳細は以下から。

◆東日本大震災直後よりも国内総生産が悪化
消費税8%への増税の反動によるマイナスからの脱却が期待される中、先日内閣府が発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は年率換算で-1.6%となるマイナス成長。ちなみに4~6月期の数字も-7.1%から-7.3%へと下方修正されています。

東日本大震災直後(2011年1~3月期が-6.9%、4~6月期は-1.2%)を下回る数値となったことは「想定外」と大きな驚きをもって迎えられました。なお、2四半期連続のマイナス成長はマクロ経済学において「リセッション(景気後退)」と判断される指標で、経済上の失策にあたるという見方もあります。

東京新聞 アベノミクス空転 GDP連続マイナス 景気後退の見方 経済(TOKYO Web)

◆「商品券」配布に批判の嵐、地域振興券の再来か
これを受けてアベノミクスは失敗であったとの意見がこれまで以上に噴出していましたが、さらに火に油を注ぐことになったのが、昨夜安倍首相が発表した「商品券」の配布です。

首相、商品券配布で消費支援指示 低所得や省エネ住宅新築時 - 47NEWS(よんななニュース)

これは二期連続のGDPマイナス成長を受けた経済対策の一環ですが、「所得が低い人や省エネ住宅を新築した人に商品券などを配り、個人消費を直接支援する」というもの。

ネット上では「アベノミクス最後の矢がこれなのか」「ヤケクソにも程がある」「虚構新聞の記事じゃないのか」などと地獄の釜の蓋を開けたかのような批判の嵐となっており、普段であれば安倍政権を支持する意見の多いまとめサイトなどでも袋叩き状態となっています。

痛いニュース(ノ∀`) 安倍首相、商品券配布で消費支援指示 - ライブドアブログ

同様の政策としては1999年に公明党の発案で行われた地域振興券がありましたが、ほとんど消費刺激効果はありませんでした。なお、この時は自民党も「バラマキ政策である」と批判の声を挙げています。

地域振興券 - Wikipedia

ネットでは「所得の低い人向け」とされていることに関して「この商品券を使ったら自分が低所得層であることを近所中に宣伝して回ることになるので抵抗がある」「貧乏人発見機になる」など、プライバシーの問題に関して指摘がある他、「省エネ住宅を新築した人」への補償になるのは「家を建てることのできない人を無視して金のある人を支援するのか」などの声も。

民主党政権時代の高校無償化や子ども手当などに対して、自民党からは「バラマキだ」との批判が相次いでいましたが、アベノミクスの最後にやってきたのがこのようなあからさまなバラマキ政策であるというのはなんとも皮肉なもの。

まさになりふり構わぬ感がありますが、2日前の11月16日に行われた沖縄県知事選で、官房長官や政調会長、小泉進次郎復興政務官を投入してまで自民党が応援した現職候補が新人候補に圧倒的な差を付けて敗れるなど、すでに旗色が悪くなっていることも背景にあると思われます。

◆商品券配布は単なる「買収」ではないのか
また、安倍首相は衆議院の解散総選挙を12月14日に実施する考えを固めているため、この商品券の配布は「うちわ」どころではない有権者に対する露骨な「買収」なのではないかという意見も。


法的な意味で「買収」に当たらなかったとしても、この商品券配布が選挙に向けた有権者へのアピールを目論んでいたとすれば完全に裏目に出た形と言えそうです。

◆いきなり解散総選挙の流れになった背景は?高齢者へは負担増を見送る形でバラマキ済み
そしてそもそも「どうしていきなり解散総選挙の流れになったのか」が気になるところですが、これはおそらく内閣府が7~9月期のGDP速報値を発表する前に、政権内に「予想よりも大幅に悪くなる」という情報がもたらされたことを受けたもの。

つまり突然降って湧いたかのように見える解散総選挙は、相次いだ「政治とカネ」の問題に加え、景気後退の責任追及で求心力を失ってしまうことを避け、ある程度の支持率を維持できている(=比較的傷が浅いうち)に総選挙を行い、再び政権与党となることで「国民の信任を得た」という形を作るためと考えざるを得ないわけです。

また、与党が解散総選挙に舵を切ったことを受け、今月11日に厚生労働省が高齢者にも医療保険料の負担増を求めることを盛り込んだ「医療保険制度改革試案」の公表を直前で見送ることを表明。しかし毎年1兆円ずつ膨らみ、2013年には39.3兆円に達した医療費への対策は、長引く不景気に苦しむ若年層への負担増を避けるためにも必要不可欠です。

にもかかわらず見送りを強行した背景には、「若者よりも圧倒的に大きな票田である高齢者層からの支持を失いたくない」という与党の思惑が見え隠れしているわけですが、これも一種のバラマキと言えるのではないでしょうか。

高齢者負担増の試案、厚労省が直前で公表見送り : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

◆消費税10%は1年半延期、ただし今度は「必ず増税する仕組み」を検討
なお、安倍政権は消費増税を2017年4月まで1年半延期する構えですが、同時に財務省からの強い要請で経済状況を見極め、増税するかどうかの最終判断を、政府が行うことを定めた「景気条項」を削除することも検討。

今回の解散総選挙で自民党が勝利すれば17年4月の増税が今後の景気の善し悪しに関わらず確定することとなりそうです。

時事ドットコム:「景気条項」削除を検討=消費再増税先送りで-政府

・2014年11月21日追記
時事通信社の報道によると、自民・公明両党は20日付けで3兆円規模の緊急経済対策を政府に申し入れたとのこと。これは景気回復の遅れや円安、エネルギー価格高騰を受けた対応で、自治体が発行する地域商品券に対する補助を盛り込む形に。

両党は緊急対策の一部を次期衆議院選挙の公約にそれぞれ盛り込む方針で、政府は衆院選後、2014年度補正予算案の編成に着手するとされています。

時事ドットコム:地域商品券に補助金=3兆円規模想定-自公が緊急対策

「景気落ち込みで苦しむ人々への支援を公約に掲げて支持を集めたい」という意気込みが見て取れる今回の緊急経済対策。

しかしそもそも異次元緩和で円安を進め、景気条項を無視して消費税率引き上げを断行して消費を落ち込ませたのは誰なのか……ということを考えると、自らの失策の尻拭いでしかないのが現状です。

あわよくば支持に繋げることをもくろんでいるのであれば、いささか「マッチポンプではないのか?」という気がしなくもありません。

(Photo by Chris Potter

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