ISIL人質事件でトルコに現地対策本部を置かなかったのは「原発ビジネスへの悪影響を懸念してのこと」との告発

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湯川遥奈さんと後藤健二さんが殺害されたISIL人質事件、なぜ人質救出の実績のあるトルコに対策本部が置かれなかったのか。その疑問に対して原発ビジネスに絡んでいるとの告発をVICE Newsが報じています。詳細は以下から。

湯川遥奈さんと後藤健二さんが殺害されるという最悪の結末を迎えたISILによる日本人人質事件。日本政府はヨルダンの首都アンマンに中山泰秀外務副大臣を本部長とした現地対策本部を置いていました。

しかしISILからの人質解放ということでは、トルコは同国の情報機関により2014年の9月に3ヶ月以上拘束されていたトルコ総領事を含む49人を救出したという実績を持っており、なぜトルコではなくヨルダンに現地対策本部を置かなかったのか、疑問の声が上がっていました。

トルコ、イスラム国拘束の49人救出―情報機関が作戦実行 - WSJ

実際、2月4日にトルコのチャブシオール外相はトルコ政府が解放に全力を上げており、人質2人の居場所を把握して日本政府に情報提供をしていたことを明かしています。

「人質の所在、日本に伝達」 トルコ外相が交渉支援明かす 一面 中日新聞(CHUNICHI Web)

なぜトルコではなくヨルダンだったか。その事情について、世界的に有名なメディアVICEが警察庁に近い関係者の匿名での告発を「Inside Japan's New War With the Islamic State」と題した記事に掲載しています。それによると、日本が手がけるトルコの黒海沿岸の原子力発電所の建設に悪影響が出ることを心配してとのこと。

"We wanted to set up the emergency hostage crisis headquarters in Turkey," a source close to Japan's National Police Agency who has had previous experience with international hostage situations told VICE News. "Turkey has successfully negotiated with ISIL to free hostages. They were the logical choice and the best choice… not Jordan. The Ministry of Economy, Trade, and Industry; MOFA; and the Cabinet office opposed our advice on the grounds it could negatively affect Japan's $22 billion deal with Turkey to build a nuclear power plant along the Black Sea. If things went wrong with Japan during the negotiations, Turkey might be reluctant to have new Japanese-built nuclear facilities on their soil for ISIL terrorists to attack."

警察庁に密接な関係を持ち、国際的な人質事件に関わった経験のある情報ソースがVICEに語ったところによると

「我々は現地対策本部をトルコに設置しようと考えていた。トルコはISILとの人質解放交渉に成功した実績があり、ヨルダンではなくトルコに現地対策本部を置くことは論理的かつ最善の選択肢だった。しかし、経済産業省と外務省、そして内閣府は我々の助言に反対した。

その理由は220億ドル(約2兆6000億円)を拠出してトルコの黒海沿岸に建設しようとしている原子力発電所への悪影響だ。もし日本と共にISILと交渉して成功裏に運ばなかった場合、日本製の原子力発電所に対してISILがテロ攻撃を行う可能性を考え、建設を渋るかもしれなかったからだ」

Inside Japan's New War With the Islamic State VICE Newsより引用・拙訳)


三菱重工などが手掛けるトルコ原発、2023年稼働予定=幹部 ビジネスニュース Reuters

あくまでこの告発は匿名のソースからのものであり、明確な真偽は判断できません。しかし、なぜヨルダンに現地対策本部を設置したのか、原発ビジネスを鑑みての判断だったのか、そしてこれに留まらず人質事件への政府の一連の対応は適切だったのか、しっかりと検証し、追求していく必要があるでしょう。

なお、2月2日にテレビ朝日の「報道ステーション」が「(安倍首相の中東訪問に関して)そもそも外務省関係者によれば、パリのテロ事件もあり、外務省は総理官邸に対し中東訪問自体を見直すよう進言していた」「外務省幹部によると、この内容(編集部注:エジプトで行われた総理の政策スピーチ)についても総理官邸が主導して作成されたという」と報じて外務省から「この報道内容は事実と全く異なるものです」との申し入れをされていますが、このVICEの記事では後者のスピーチに関する告発も扱われています。

2月2日放送 テレビ朝日「報道ステーション」の報道(総理中東訪問関連)に関する申し入れ | 外務省

そこでは外務省内部の匿名ソースからの情報として、外務省が作成したスピーチ原稿を安倍首相が使用せず、よりISILを刺激する強い文言を含んだスピーチを(日本語版、英語版ともに)作成して読んだとしています。

官邸が独走したにせよ、実際には外務省の作成したスピーチであったにせよ、ISILから日本人がテロ対象とされてしまうという最悪の事態を招いた原因のひとつとなっていることは否めません。こちらも併せて詳細な検証が必要と言えます。

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