祈りの言葉は「ラーメン!」空飛ぶスパゲッティ・モンスター教の信者が教会を設立

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ドイツにあの空飛ぶスパゲッティ・モンスター教の教会が作られました。詳細は以下から。

空飛ぶスパゲッティ・モンスター教という名前を聞いたことがあるでしょうか?これは宇宙は空飛ぶスパゲッティ・モンスターによって創造され、進化はスパゲッティ・モンスターの ヌードル触手によって推進されたと信じる教団。

ちょっと何を言ってるのか分からないですね…と思う人がほとんどかと思いますが、この宗教は実は1990年代にアメリカ合衆国の反進化論団体らによって唱えられた、「知性ある何か」によって生命や宇宙の精妙なシステムが設計されたという「インテリジェント・デザイン(ID説)」のパロディ宗教。

ID説は旧約聖書に基づく創造論から宗教色を可能な限り差っ引き、神を「知性ある何か」に置き換えることで、キリスト教以外にも支持を広げる一方、政教分離原則を回避して公教育に入り込んでダーウィンに始まる進化論に対抗させるために生み出された理論です。以前BUZZAP!で取り上げた、産経新聞が掲載した「サムシング・グレート」もその亜種のひとつと言えます。

産経新聞の記事にトンデモ科学の「サムシング・グレート」が登場 | BUZZAP!(バザップ!)

根本的な考え方としては「宇宙・自然界に起こっていることは機械的・非人称的な自然的要因だけではすべての説明はできず、そこには『デザイン』すなわち構想、意図、意志、目的といったものが働いていることを科学として認めよう」とするもので、プロテスタントの一部の強い聖書主義に基いており、聖書の記述に合致しない進化論を否定せんがための理論であることが明確に見て取れます。

もちろんID説は科学的には単なるトンデモ理論に過ぎませんが、この考え方が少なからず受け入れられている理由としては、2010年時点においてもアメリカ人の「進化論を信じるのは40%、創造論を信じているのは44~47%」という強い信仰心が挙げられており、「公教育の場でもID説を進化論と並んで教えられるべきだ」と父ブッシュ大統領が発言し、翌日報道官が取り消す騒ぎなども起こっています。

そうした状況の中で、2005年にカンザス州教育委員会は多数決の結果ID説の立場を採り、進化論を「問題の多い理論」として教える科学教育基準を採決したことへの異議申立てとして、オレゴン州立大学物理学科卒業生のボビー・ヘンダーソンから提唱されたのがこの空飛ぶスパゲッティ・モンスター教。

「ID説信奉者が、平等のために進化論のみならずインテリジェント・デザインも学校で教えるべきだと言うなら、平等のためにスパゲッティ・モンスターが人類を作ったという説も学校教育で教えるべきだ」


とID説信奉者らの主張を逆手に取り、世界的な話題となりました。その後空飛ぶスパゲッティ・モンスター教はインターネットミームとなり、フリーゲームなども生まれています。

FLYING SPAGHETTI MONSTER - THE GAME

そうしたパロディ宗教なのですが、世界中に熱心な愛好家が存在しています。彼らは自らをパスタファリアンと称していますが、ドイツのテンプリンという街にはひときわ熱心な愛好家、Rudiger Weidaさん(63歳)住んでおり、なんと教会を設立してしまいました。


彼は自らの教会で、祭日と定められた毎週金曜日の朝10時からミサを行います。基本的にはキリスト教のミサの形式を踏襲していますが、パンとワインの代わりにビールとスパゲッティを用い、祈りの言葉「アーメン」は「ラーメン」に変わり、最後には「ビア、ハレルヤ」を詠唱します。


この時Weidaさんは「Bruder Spaghettus」の別名を用い、黄色のローブとピンクのストールに身を包んで「Noodler」としてミサを取り仕切ります。

なお、Weidaさんは本当に空飛ぶスパゲッティモンスター教を信じているのかと尋ねたところ、答えは

「それはパスタファリアンにとっては難しい質問だ。我々は皆、内部で2つに引き裂かれている。もちろん我々は信じている。しかし、同時に空飛ぶスパゲッティモンスターが存在しないことも知っている」


と、非常に哲学的な答えが返ってきています。それでもWiedaさんは死後、ビールとストリッパーに溢れた天国に行きつけることを信じているとのこと。

なお、Weidaさんは空飛ぶスパゲッティモンスター教を公的に認めさせようとしており、既にTemplinのDetlaf Tabbert市長はWeidaさんに対して空飛ぶスパゲッティモンスター教の公的な標識を立てる許可を出しています。こちらがその教会を示す標識。


Weidaさんによると、ドイツでは主流の教会は政府からも手厚い保護を受けてある種特権的な地位を獲得しています。しかしそれらの権利は無神論者や無宗教者にまでは及んでおらず、空飛ぶスパゲッティモンスター教を認めさせることでそうした人々の権利も認めさせていこうと考えています。

Detlaf Tabbert市長はこの件に関して

「私達は寛容な場所に住んでおり、マイノリティに大して差別的な待遇を取るべきではない。また、人は批判精神とユーモアのセンスをうまく併せ持てるようになるべきではないか」


と述べています。

実際のWeidaさんと教会の動画は以下から。ドイツ語ニュース番組による紹介ですが雰囲気はよく分かります。

Gottesdienst fur eine Nudel - Kirche des Fliegenden Spaghettimonsters - YouTube


German Pastafarian Seeks Recognition for Church of the Flying Spaghetti Monster Oddity Central - Collecting Oddities

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