自民党、国会質疑での「戦争法案」との批判的表現に対して議事録修正を要求する異常事態に

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自民党が国会での質疑の中での批判的な表現を「レッテル貼りだ」として議事録の修正までも要求していたことが大きな批判を呼んでいます。

国会議員の国会での発言の中での政府への批判的な表現に対し、議事録の修正という異例の要求が行われました。

自民、異例の議事録修正要求 福島氏の「戦争法案」発言:朝日新聞デジタル

◆反論にとどまらず議事録修正要求
問題とされたのは4月17日の参院予算委員会において、社民党の福島瑞穂議員から安倍晋三首相への質問の中での表現。

福島議員は政府が提出をめざす安全保障関連法案に対して批判的な文脈で「戦争法案」だと表現。これに対して安倍首相は「レッテルを貼って、議論を矮小(わいしょう)化していくことは断じて甘受できない」などと反論しましたが、それだけでは済みませんでした。

この発言をに対して自民党の岸宏一予算委員長は「不適切と認められるような言辞があったように思われる。(予算委)理事会で速記録を調査の上、適当な処置をとる」と発言、その後自民党の堀井巌予算委理事が福島議員に直接面会し、「戦争法案」という言葉を「戦争関連法案」あるいは「戦争につながる法」に修正することを要求しました。

なお、この際に「鉄面皮」という表現についても修正するように求められたということが福島議員がBlogosに執筆した記事から明らかになっています。福島議員は記事の中で、これまで複数回使われてきた「戦争法案」という言葉が今回に限って議事録修正という対応が要求されたのかについて、過去の記録を詳細に引用しながら疑問を呈しています。

戦争法案という言葉は、これまで国会内の会議で24件使われています。鉄面皮と言う言葉も50件ほど使われています。今年の2月3日、参議院の予算委員会で、私は、「戦争法案」と言う言葉を使い、また3月4日参議院憲法審査会でも「戦争法案」を使っています。そしてその時は何も問題にされず、もちろん議事録として正式にアップをされています。したがって、なぜ、この段階になって、4月1日の予算委員会での発言を修正したうえで、議事録を作らなければならないのでしょうか、全く理解ができません。

1999年の周辺事態法案の審議では、共産党議員が、周辺事態法案を戦争法案法案と批判をしました。当時の小渕首相は、「御党から言えば、戦争法案と言うことであると思うが」と答弁をしています。修正や削除の要求はされていません。

「戦争法案」という言葉に修正要求が!!より引用)


◆政治的な心情からの表現を「不適切」?
これまで国会発言を議事録から削除や修正するのは、国会の権威や人権を傷つける、事実関係を誤認するなどした例が大半であり、政治的な信条に基づいた表現を「不適切」として「議事録修正」を要求するのは極めて異例。

違った思想信条を持つ議員が国民の選挙によって選ばれて議論する国権の最高機関たる国会において、政策に対する真っ向からの議論が行われるのは極めて正常なことです。野党議員が政府に対して批判を行うのも全く当たり前であり、むしろそれがなければ存在意義がないと言われても致し方ないもの。

そうした国会での議論において政府見解に反する批判の表現を「不適切」として議事録という公的な資料上で修正させようとすることは異常事態と言う他ありません。福島議員は法案の位置付けと表現の自由に関して同記事の中で以下のように主張します。

そもそも、ある法案をどう見るかということが、政治の思想信条に基づく極めて重要な点です。戦争法案と位置づけ批判をしたり、議論したりすることが大変重要です。

なぜ、野党の議員が与党から、法案の位置づけや呼び方についてまで、指図を受けなければなないのでしょうか。

この法案は、私が委員会で、何度も指摘している通り、違憲である集団的自衛権の行使を認めるものであり、海外の戦場で他国防衛を理由に戦争をすることに他なりません。また、後方支援と言う名のもとに、戦場の隣で米軍に弾薬を提供することは、まさに戦争支援法 です。

こうした戦争法案を「戦争法案」と言えなくなる国会こそ問題です。使うなと言われる社会こそ問題です

こんなところから、表現の自由が制限されていくことが決めて問題で、重要な課題だと思います。

「戦争法案」という言葉に修正要求が!!より引用)


なお、福島議員が指摘する安全保障関連法案には「国際平和支援法」として戦場での後方支援を行う活動も想定されています。これは「他国の軍隊に食料や燃料を補給する活動」という、いわば兵站の重要な任務である「補給」を意味しており、前線で戦闘行為をしなかったとしても「戦争」への参加と批判されてもおかしくない行為と言えます。

◆行政府からの各方面への圧力
これまでBUZZAP!では安倍政権によるメディアへの圧力、そして高浜原発再稼働差し止めに関する司法判断の軽視などを相次いで報じてきましたが、ここに来て内閣という行政府が司法、メディアに続いて立法府にまで露骨な圧力を掛けていることが明らかにされたことになります。

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このままでは行政が立法や司法に優越するという悪しき前例を作ってしまうことになるのではないでしょうか。

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