「違憲かどうかの議論意味無い」「考えるのは政治家」安倍政権から憲法を軽視する声が続々と上がる、新国立競技場問題でも

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安倍政権の憲法軽視が止まりません。憲法学者らの圧倒的な「違憲」の声に安倍政権は耳を貸すつもりはなさそうです。「違憲」問題は東京オリンピックにまで飛び火しています。

◆「たいていの憲法学者より私の方が考えてきた」
高村正彦自民党副総裁は11日、衆院憲法審査会での民主党の枝野幸男幹事長との激しい論戦の後、自らがたいていの憲法学者よりも考えてきたなどと発言。

私は、憲法の法理そのものについて学者ほど勉強してきた、というつもりはない。だが、最高裁の判決の法理に従って、何が国の存立をまっとうするために必要な措置かどうか、ということについては、たいていの憲法学者より私の方が考えてきたという自信はある。
自民・高村氏「たいていの憲法学者より私は考えてきた」:朝日新聞デジタルより引用)


憲法の法理そのものにおいては憲法学者に分があるとしながらも「最高裁の判決の法理に従って、何が国の存立をまっとうするために必要な措置かどうか」ということに関しては政治家である自らの方がたいていの憲法学者より考えてきたと述べています。

しかし、BUZZAP!でも既にお伝えしたように、集団的自衛権の行使容認については単にほとんどの憲法学者が「違憲である」との見解を明らかにしているだけではありません。

【追記あり】安倍政権が「戦争法案」を「合憲と確信」などと反論するも全方位から袋叩きに BUZZAP!(バザップ!)

10日の衆院特別委員会では高村副総裁が「集団的自衛権の行使は認められないとは言っていない」と、根拠として繰り返し持ちだす砂川判決についても、横畠裕介内閣法制局長官さえもが「集団的自衛権について触れているわけではございません」と明言。

さらに政府の引用部分が判決を導き出す論理には含まれない「傍論」の部分でしかないこと、さらには砂川判決以降も日本政府が「憲法9条のもとでは集団的自衛権の行使は認められない」との答弁を繰り返しており、根拠は完全に破綻しています。

この状態でどれだけ「違憲との批判は全くあたらない」と言ってのけようとそれは単なる強弁に過ぎず、憲法を軽視する姿勢を繰り返し強調しているに留まります。

◆「これ以上違憲かどうかの議論を続けていくことには、意味が無いのかなと思う」
同日の記者会見で稲田朋美自民党政調会長はこの問題に触れ、砂川判決を引きながら合憲か違憲かの議論を続けることに「そんなに意味が無いのかなと思う」などと絶句ものの見解を示しています。

一見明白に違憲というとき以外は、日本の存立にかかる安全保障については、国会と内閣に任されていると最高裁自身が判示している。その意味からは、憲法に違反するかどうかという議論を、これ以上続けていくことには、そんなに意味が無いのかなと思う。

違憲か否かの議論継続「意味無いのかなと思う」 稲田氏:朝日新聞デジタルより引用)


繰り返しになりますが、これだけの数の憲法学者が違憲であるとしている「戦争法案」について「一見明白に違憲」ではないとした上で、議論を続けることに意味が無いというのは傲慢以外の何物でもありません。「明白に違憲ではない」というのはあくまで高村副総裁の主張であり、しかもその根拠が崩れ去っている以上、単に憲法を煙たがっている以上の意味はありません。

なお、上記記事でも触れていますが、砂川判決は「マッカーサー駐日米大使(当時)が、同判決の破棄を狙って藤山愛一郎外相に最高裁への『跳躍上告』を促す外交圧力をかけたり、最高裁長官と密談するなど露骨な介入を行っていた」ことがアメリカ合衆国の公文書から疑いなく事実として既に判明しています。

日本の司法が外圧に屈した汚点そのものであるこの判決を根拠として、述べられてもいない集団的自衛権の行使の合憲性を強弁することは傲慢な上に恥知らずにも程があるでしょう。

この件に関してはジャーナリストの江川紹子氏が詳細かつ明快な批判を記事にしていますので以下にリンクを掲載します。

【江川紹子の事件簿】なぜ、今、「砂川判決」なのか──本当の問題点と珠玉の部分 - Mulan

◆新国立競技場問題への飛び火
安倍政権の憲法軽視は「戦争法案」だけには留まりませんでした。下村博文文部科学相が、東京都に対して建設費用など500億円の負担を求めたことに対して舛添知事が「地方財政法」に違反しているなどとして反発。

これに対し下村文科相は負担を求める方針を変えず、法律違反であれば新しい法律を作るとしましたが、これを舛添知事は「憲法違反だ」と批判。自らのブログで以下のように述べています。

私は、すぐに日本国憲法95条が頭に浮かんだ。95条には、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」とある。地方自治を守る観点から、憲法はそのように定めているのである。

この憲法の規定を、下村大臣は理解した上で、東京都のみを標的にした特別法を考えているのであろうか。

新国立競技場建設と憲法|舛添要一オフィシャルブログ Powered by Amebaより引用)


本件はもちろん「戦争法案」とは一切関係ありません。しかし同じ安倍政権に属する閣僚が、それ以外の場面でも平気で憲法に反する方針を口にする。むしろ一事が万事、安倍政権の憲法軽視の姿勢を象徴するできごとと言えるでしょう。

◆憲法99条の憲法尊重擁護義務
憲法99条は国務大臣、国会議員に対して憲法を尊重し、擁護する義務を課しています。国会議員である安倍政権のこうした面々が憲法を軽んじるような言動を繰り返すようであればそもそもの言動自体が「違憲」であるとされても全くおかしくはありません。それを「全く問題ない」「批判は全くあたらない」というだけで回避できると考えているのであれば、それは村上誠一郎議員が指摘するようにファシズム以外の何物でもありません。

自民党の村上誠一郎元行革担当相、安倍政権を「ファシズムの芽は摘まなきゃいけない」と真っ向から批判 | BUZZAP!(バザップ!)

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