【追記あり】建築前から「負の遺産」確定?3000億円超えも囁かれる新国立競技場の見切り発車に日本中から怒りの声が吹き荒れる

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整備費が2520億円という莫大な金額ながらも代替案を選択せず、しかもこの予算すらもさらに増えるとの予測もある中、森喜朗元首相を始めとする有識者会議のブレーキ無しの見切り発車にネット上では怒りの声が渦巻いています。

当初予定1300億円の2倍近くとなる2520億円かかるとされる新国立競技場の建設問題。大幅な予算オーバーと未だに資金繰りの目処も立っていないというあり得ない異常事態は連日大きなニュースとなっています。

そうした中で総工費の内訳から経緯までを詳細に説明するとして7月7日に日本スポーツ振興センター(JSC)の有識者会議が開催されました。

これには東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相、遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣、舛添要一東京都知事らが出席。しかしBUZZAP!が先日取り上げたデザインコンペ委員長の建築家、安藤忠雄氏はなんとこの会議を無責任にも欠席。ですが、会議の結果はそれに輪をかけて無責任の極みとなっており、ネット上から報道機関までが一斉に怒りの声をあげています。

2520億円の新国立競技場、コンペ責任者の安藤忠雄が当初案ゴリ押しを画策していたことが暴露される | BUZZAP!(バザップ!)

◆有識者会議でいったい何が決まったのか?
この有識者会議で決まったのは、一言で言うのであればこの計画にゴーサインが出てしまったということ。これまで出された多くの疑問、批判、代替案は一顧だにされず、2520億円の費用をかけ、765億円の「キールアーチ」もそのままに建設が決まってしまいました。

また、オリンピック・パラリンピック後にサッカー男子ワールドカップ招聘のためには予定されていた1万5000席分の簡易着脱式の観客席を、開催基準を満たすために常設化すること、さらには音楽イベントなどの開催のために開閉式の屋根を設置するために190億円程が必要となるとの試算が示されており、オリンピックまでに限らない総工費は3000億円に限りなく近づいています。

もちろんこの新国立競技場、建設後にも膨大な維持管理費がかかることとなり、50年間に必要となる修繕費はこれまでの試算の656億円から1046億円にも跳ね上がるとのこと。建設前から次の世代に莫大な負担を強いる「負の遺産」となることが明々白々という燦々たる有り様です。これより酷い「負の遺産」は福島第一原発くらいしか考えられないのではないでしょうか。

新国立競技場改築費 2520億円で決定 NHKニュース

◆この莫大な建設費の財源は?
しかもこの見切り発車は最低限必要なはずの2520億円の財源の目処も立っていないうちに行われてしまいました。現時点では国費から390億円あまり、スポーツ振興くじの売り上げによる収益が110億円、そして本来であれば選手強化などのために使うはずだったスポーツ振興基金から捻出する125億円の計625億円程度。この時点で立派なスタジアムのために、そこでメダルを狙う選手たちに使われるはずだったお金が消えてしまうという間抜けすぎる本末転倒が起こっています。

そして625億円ではキールアーチ分の建設費にすらなりません。そこで国が東京都に求めて大問題となっているのが500億円の負担金。舛添都知事は憲法違反であるとまでしてこの動きに反対してきましたが、6月18日に森喜朗元首相から「これを食べて、甘くなりなさい」と、森元首相の故郷である石川のハチミツを渡されて本当に口を封じられてしまいました。

この500億円の根拠にしても、森元首相は「石原都知事時代から要請してきた」としていますが、石原元知事は東京新聞の取材に「(森氏と)話したことはない」と明言しています。なお、金額については

「折半から『東京都は3分の1ぐらいかな』という話が、今でも何となく500億(という話)で残っている」


として、要請してきたはずの石原都知事も知らないと明言する中で「なんとなく」東京都民に500億円を負担させようという、全くもって看過できない馬鹿げた話になっています。

新国立、折れた都知事 森氏がハチミツ渡し「甘くなれ」:朝日新聞デジタル

東京新聞 新国立の都負担500億円根拠は 「何となく」 社会(TOKYO Web)


もちろん東京都が本当に500億円をぽんと拠出してもまだ財源は全然足りないのですが、その際に検討されているのがネーミングライツ。これを200億円で売却しようとしていますが、過去の日本のネーミングライツで最も高額なのは年間5億円で契約した「福岡ヤフオク!ドーム」で、新国立競技場はこの40倍という値段。現実的とは言えません。

新国立競技場の命名権売却しても970億円不足 社会 スポーツ報知

そして問題はここまでしても財源は2520億円の半分でしかないということ。この状態で見切り発車に踏み切ったことはまさに狂気の沙汰としか言いようがありません。

◆報道機関が軒並み厳しく批判
この決定に報道機関は軒並み怒りの社説や意見記事を掲載。毎日新聞は

見積もりの甘さから総工費が招致段階の2倍近くまで膨らんだ計画はとても誇れるものではなく、コスト削減を図るIOCの五輪改革の精神にも反する。

いまだ責任の所在もはっきりしない状況で、50年後の夢を語られてもむなしく響く。現実を直視して、必要ならば変更に踏み切る決断も求められる。このままでは「負の遺産」の象徴として語り継がれかねない。

新国立競技場:総工費増大2520億円 有識者会議が了承 - 毎日新聞


として見積もりの甘さと責任の所在の不明確さ、そして変更に踏み切れない決断できなさを厳しく批判、「負の遺産」になると警告します。

読売新聞も社説で「負の遺産」の言葉を使いながら愚かで無責任と厳しく非難。

財源のメドすら立たないまま、建設へと突き進む。あまりに愚かで、無責任な判断である。

工費膨張の最大の要因が、2本の巨大アーチを用いた特殊な構造にあることは、はっきりしている。なぜ、コスト削減のために、基本構造を見直さなかったのか。いったん決まったら、止まらない公共事業の典型と言えよう。

工費や工期、工法を巡る迷走について、下村文部科学相は「責任者がはっきり分からないまま、来てしまったのではないか」と、とぼけている。JSCを所管する文科相こそが責任者だろう。

新国立競技場 代償伴う愚かで無責任な決定 社説 読売新聞(YOMIURI ONLINE)より引用)


と、JSCを所管する下村文科相の責任を厳しく指摘すると同時に巨大公共事業の典型的な危うさが現れていると指摘しています。

産経新聞は「主張」で無責任さを指摘します。

デザイン案を強く推した建築家の安藤忠雄氏は、7日の有識者会議を欠席した。選定にかかわった責任者として、一言も説明がないのは残念だ。

JSCの河野一郎理事長は「国民一人一人の財産になる」と述べた。ずさんな計画の責任を国民に転嫁するつもりか。「新国立」は50年先、100年先も国民に親しまれる財産となるべきで、負の遺産にしてはならない。

計画を見直す、これが最後の機会であると危機感を持ってほしい。

【主張】新国立競技場 この建設計画は無責任だ - 産経ニュース


安藤忠雄氏が有識者会議を欠席したことを批判すると同時に、こちらも「負の遺産」との言葉を使い、計画の見直しを主張しています。

朝日新聞は少し毛色を変え、2520億円という金額がどれほどのものかを指摘。

保育園や幼稚園に通う5歳児の保育料の多くが無料になるかもしれない。政府は昨年、5歳児のうちで認可保育園か幼稚園に通う約99万人を無償化するには2797億円かかると試算した。年収680万円未満の世帯に限れば1273億円で実現できる。

東日本大震災で被災したJR大船渡線と気仙沼線。津波対策などを施したうえで鉄路を復旧するには、計1100億円が必要だとJR東日本は見積もっている。同社は公的支援を求めているが、国は難色を示す。

開門をめぐって混迷している国営諫早湾干拓事業(長崎県)の総事業費は2530億円。

新国立競技場工費 2520億円あったら何ができる?:朝日新聞デジタル


この大金があればどれだけの社会保障や震災復興ができるかという視点で批判しています。

日本経済新聞は日経BPネット上で5ページにも渡る記事を掲載し、詳細に批判。

新国立競技場自体が壮大な無責任の集積である点に最大の問題があると指摘する。設計者に問題があるのか、審査員に問題があるのか、施工業者に問題があるのか、JSCやJOCに問題があるのか、JSCの監督官庁である文部科学省に問題があるのか、答えはいまもってわからないという。

2520億円を承認した有識者会議になんと、コンペの責任者である安藤忠雄氏は欠席している。こんな無責任な振る舞いは許されないし、これ自体が、新国立競技場建設の無責任体制を象徴しているとも言えるだろう。

新国立競技場の建設費問題 JSCが承認した2520億円の巨費は誰が負担するのか nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BP


有識者会議を欠席した安藤忠雄氏を無責任体制の象徴と批判し、まさに「壮大な無責任の集積」こそが問題であるとします。

◆ネット上でも怒りが爆発
ツイッターを始めとしたネット上でも著名人らが怒りや違和感を次々と表明。数多くリツイートされ、怒りの共感が広がっています。


また、国内の他のスタジアムや歴代オリンピックのスタジアムの建築費と比較して膨大な新国立競技場の建築費を示すツイートも多く拡散されています。


先の記事でも国民の8割が見直しを求めていることはお伝えしましたが、報道機関も軒並み反対している中で、オリンピック選手強化にも使われるはずだったスポーツ振興基金まで使い込んで建設されるこの巨大な箱物は一体誰のためのものなのでしょうか?そして、誰のためのオリンピックなのでしょうか?

このまま建設がオリンピックに間に合わず、選手の強化にも失敗するような事になれば、日本が世界中の笑いものになるのは火を見るよりも明らか。インパール作戦にも例えられる今回の決定は今からでも覆し、コンパクトな復興五輪を目指すべきでしょう。

【追記】
読売新聞のアンケートで、新国立競技場を現行案で建設することに反対する意見が95%にも上りました。やはり国民のためのオリンピックではないことは明らかなようです。

新国立競技場、現行案で承認…反対95%、賛成5% まとめ読み「NEWS通」 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

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