強行採決後の3連休、国民は自民党の予想通り「戦争法案」を忘れたのか?

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7月15日と16日に行われた「戦争法案」の強行採決。自民党は三連休を挟めば反対や怒りの声も和らぎ、忘れてゆくだろうと予想していましたが、実際はどうだったのでしょうか。検証してみます。

7月15日に衆議院特別委員会で、そして翌日16日には衆議院本会議で「戦争法案」の与党単独による強行採決が行われました。

「戦争法案」が衆院特別委員会にて強行採決 | BUZZAP!(バザップ!)

安倍政権の支持率と不支持率が報道各社の世論調査で軒並み逆転するなど自民党にとっては厳しい状況の中での強行採決でしたが、自民党幹部らは「強行採決しても3連休を挟めば来週以降空気が和らぐ」「支持率も下がるだろうが国民は時間がたてば忘れるだろう」などと楽観的な見通しが示されていました。



では海の日の3連休で国民はどれだけこの強行採決を忘れ、空気が和らいだのでしょうか?もしくはその予想は裏目に出ることとなったのでしょうか?

まずこの強行採決に対しての激烈な反応はSEALDsらの主催した3日連続の国会前の大規模な抗議行動。台風11号による悪天候の影響の中、15日から17日までそれぞれ10万人、6万人、11万人(主催者発表)を集め、テレビを始めとしたメディアに大きく取り上げられることとなりました。この直後から3連休が始まります。



◆7月18日
連休初日である18日の13時には作家の沢地久枝さんやジャーナリストの鳥越俊太郎さんらが呼びかけ、日本全国で一斉に「アベ政治を許さない」と書かれたプラカードを掲げるアクションが行われました。このプラカードは第二次世界大戦でトラック島に赴任した経験を持つ95歳の大俳人、金子兜太さんが書いたものです。


さらにこの日は大阪では1万人、京都でも4000人規模の「戦争法案」に反対するデモや集会が開催されています。

毎日動画:大阪:安保法案反対 「1万人」集会 - 毎日新聞



「アベ政治許さぬ」、怒りの声うねる 京都で安保法案反対集会 (京都新聞) - Yahoo!ニュース


また、この日東京大学法学部の石川健治教授はビデオニュース・ドットコムの番組で7月15日と16日の「戦争法案」の強行採決が法学的に「クーデター」であると指摘し批判しています。

VIDEO NEWSあれは安倍政権によるクーデターだった ≫

◆7月19日
19日には大阪でSEALDs KANSAISADLが主催するデモに8200人が集まった他、広島市、高知市、奈良市、福岡市などでも「戦争法案」反対デモが行われています。


安保関連法案:戦争アカン…関西で広島で高知で若者や主婦 - 毎日新聞

安倍晋三から日本を守れ!~福岡「若者憲法デモ」に400人

こうした動きに有名人も呼応、瀬戸内寂聴さんは京都市の寂庵で法話を開き、「安倍(晋三)さんや今の政治家は戦争を知らず、恐ろしさを知らない」「法案を覆さないと、あなたたちのかわいい孫や息子がまた(戦場に)連れて行かれてしまう」として廃案を求めました。

安保関連法案:寂聴さん法話「覆さないと孫や息子戦場に」 - 毎日新聞


また、シンガー・ソングライターの長渕剛さんはフジテレビの番組に出演し、ダウンタウンの松本人志さんと語る中で

「オレたち、銃持って(戦争に)行くんですか?行かないのに、大義でもって論争してるってことが、僕には少し心が苦しくなりますね。僕らが議論すべきはね、どの時代でも、戦争になった場合、未来と称されている自国の子どもたちが銃を持って(戦争に)行くんです。僕ら(戦争に)行かない人間が語るべきことは、やっぱり、絶対にこういうことをしないようにするには、どうしたらいいかっていうことだと思うんですよ。そこに怒りの刃をやるべきで、松本君はお笑いでやってもらいたいよ。僕は銃をギターに変えてやるから」

長渕剛 異例のコメンテーターで熱弁!“炎上”には弱気「布団かぶる」 ― スポニチ Sponichi Annex 芸能 より引用)


と熱く持論を語っています。

この日、自民党の高村副総裁はNHKの番組で「支持率を犠牲にしてでも、国民のために必要なことはやってきたのがわが党の誇るべき歴史だ」と発言。さらに参議院に送られて60日以内に議決されなければ衆院で再可決できる「60日ルール」については「使う必要がないようにしっかり審議し、結論を出してもらいたい」として、必要ならば使うとの認識を明言しています。

これに先立った17日には自民党は「批判される姿がメディアで映ると参院審議に影響が出る」などとして街頭演説を封印。国民に丁寧に説明すると繰り返し強調した安倍首相の発言とは真逆の決定となっており、高村副総裁の発言は国民が理解せず、支持されなかったとしても、再び強行採決を行ってでも成立させるとの決意表明となります。

◆7月20日
こうした状況で20日にはノーベル賞学者の益川敏英京都大名誉教授らが呼びかけ人となった様々な専門分野の学者ら「安全保障関連法案に反対する学者の会」が「強行採決は国民の意思を踏みにじる立憲主義と民主主義の破壊だ」とする11279人の共同声明を発表。

その中では安倍晋三首相が「国民の理解が進んでいない」と認めていることを挙げて「現政権が国民世論を無視した独裁政治であることを明確に示している」と厳しく批判しています。

時事ドットコム:学者1万人超が抗議声明=強行採決「民主主義の破壊」-東京

また、この日も滋賀や熊本でもデモが開催されて1000人規模が集まるなど、海の日の3連休最終日でも批判は収まる様子を見せません。

安保関連法案:熊本のデモ…合流で開始時の倍1000人に - 毎日新聞

1300人、安保法案「NO」 大津で県民集会 (京都新聞) - Yahoo!ニュース


こうした状況の中、安倍首相はフジテレビの「みんなのニュース」に出演し、1時間半にわたって熱弁を繰り広げました。しかしその中でも「生肉」と失笑をかった模型を用い、これまで散々批判され尽くしてきた火事の比喩を使って戦争法案を説明するなど、完全に逆効果。3連休の最後の最後に「戦争法案」に対して膨れ上がった疑念をもう一度掘り起こすというオウンゴールを決めた形となっています。

番組はFNNslineが11本の動画にしてアップしており、以下リンクから全て閲覧可能です。

安倍首相、みんなのニュース生出演 国民のギモンSP その1 - YouTube


離れ、振り込め詐欺、生肉…安倍首相の安保法制説明がワケわからなさすぎで失笑! フジテレビへの生出演は逆効果|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見

◆支持率さらに急落、不支持率は過半数超え
以前BUZZAP!では安倍内閣の支持率と不支持率が報道各社の世論調査で軒並み逆転したことをお伝えしましたが、「戦争法案」の強行採決を経て国民の支持は一気に離れています。

共同通信社調べでは支持率は6月の47%から37%に急落した他、不支持率は51%と過半数を超えました。

東京新聞 47→37% 内閣支持率 急落 不支持が逆転、51% 政治(TOKYO Web)

毎日新聞の調査でも7月4,5日調べから7ポイント下落して35%。不支持率も8%上昇して51%とやはり過半数を超えています。

本社世論調査:内閣支持率急落35% 不支持51% - 毎日新聞

さらには安倍政権に比較的好意的と目される事の多いFNNの調査でも6月から7ポイント近く下がって39.3%と初めて4割を切り、不支持率も10ポイント上昇して52.6%とやはり過半数が不支持を明確にしています。

安倍内閣支持率39.3% 第2次政権発足以降最低に FNN世論調査

これらの調査はいずれも安倍首相が新国立競技場の見直しを明言した17日から19日の間に行われたものであり、支持率回復を目論んだ白紙撤回も完全に見込み外れに終わったことも読み取れます。

高村副総裁と同様に安倍首相も「戦争法案」について「支持率のために政治をやっているのではない。やるべきことはやっていきたい」と述べていますが、民主主義国の政府が支持者の賛同を得ずに、やりたいことを「やるべき」として政治を行うのであれば、それは「学者の会」が指摘するように独裁政治となります。

また、9割を超える学者から違憲とされる「戦争法案」を閣議決定し、強行採決によって衆議員を通過させたことは立憲主義に反しており、石川教授が「国民を置き去りにした状態で法秩序の連続性を破壊する行為」とした「クーデター」と言われてもやむを得ないもの。

安倍政権が何度も批判を浴びて「論破」されたものと同様な、国民を納得させられない答弁をまた参議院でも繰り返し、60日ルールを用いて再び強行採決を行うようなことになれば、日本では「第二次世界大戦後70年目にして独裁政権によるクーデターが起こった」といつか歴史に書かれることになるのかもしれません。

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