五輪エンブレム問題で組織委・審査委は責任逃れで「国民の理解」のせいに、佐野研二郎氏には苛烈なネットリンチ

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五輪エンブレム問題が紛糾しています。組織委は責任の所在を明らかにしないままのらりくらりと逃げを打ち、一方デザイナーの佐野研二郎氏には「人間として耐えられない」ネットリンチが繰り返されています。

盗用疑惑で大炎上した五輪エンブレム問題。デザイナーの佐野氏に対し、ベルギーのグラフィックデザイナーがかつて作成した劇場のロゴマークに似ているとして訴えを起こしたことを発端に、2ちゃんねるを始めとしたネット上で過去の作品での「パクリ疑惑」が次々と噴出。

そうした中で8月29日にはエンブレム選考の際の使用イメージ画像での他人の作品の無断使用が指摘され、さらにはエンブレム原案が2年前に東京で開催された展覧会のポスターに似ていると指摘されたことがきっかけとなった形で9月1日に使用中止が決定されました。


◆エンブレムの模倣や盗用を否定
つまりはエンブレム自体に模倣や盗用があったか否かの判断ではなく、使用イメージ画像での無断使用問題をきっかけとして降ろされた形となっています。この件に関しては組織委も審査委も模倣や盗用はなかったとしており、佐野氏も自らのサイトに掲載した文章の中で「模倣や盗作は断じてしていないことを、誓って申し上げます」と断言しています。
WWW.MR-DESIGN.JP

◆国民の理解の問題にすり替え
9月1日の使用中止決定直前には組織委が佐野氏とデザインを選んだ審査委員代表の永井一正氏を呼んで対応を競技していましたが、その際も佐野氏は同様の主張を行った他、永井氏は

「デザイン界の理解としては佐野さんのオリジナルなものとして認識されます」「ここまでいろいろな形で問題になったときに一般の国民の方々が納得するかという点では今の説明では問題があるかもしれません」「自分のこのような説明は専門家の間では分かるかもしれないが、一般国民には分からないですね」

五輪エンブレム撤回:大会組織委と一問一答(1) - 毎日新聞

などと述べ、「専門家的には問題ないが一般国民には理解できないし、ここまで問題になっている以上納得してもらえない」との考えを示しました。結局のところ模倣や盗用ではなく、理解できない一般国民が騒ぐので仕方がないから取り下げるという姿勢です。

◆「責任はある」が責任者の処分はなし
組織委の武藤敏郎事務総長は記者会見の場で責任について

-誰に責任があり、どう責任を取るのか?国際的な信用失墜をどう考えるのか?

武藤:関係した三者三様に責任がある。事態に対処して、新しいエンブレムを選ぶことが我々の責任だと思っている。佐野さんは盗作したことはない、模倣したことはないと明言し、その上で取り下げるという決断をしたことで責任を果たした。国際的な信用失墜については、この状態を長く続けていくことの方が適切ではないと判断した。新たなものを作ると決断したということで、理解を得ていきたい。

-経済的損失をはっきりとさせ、責任者の処分もすべきではないか?

武藤:エンブレムの問題は、新国立競技場とは違う。我々に責任がないとは言っておらず、大変に申し訳ないと思っているが、今後、新しいエンブレムを作ることが我々の責任と思っている。佐野さんは虎ノ門(の組織委員会)に呼んだ。

五輪エンブレム撤回:大会組織委と一問一答(2) - 毎日新聞より引用)

と発言し、責任の所在を限りなく曖昧にした上で「事態に対処して、新しいエンブレムを選ぶことが我々の責任だ」などとして誰に対しても処分は行われない模様。

結局この結論では佐野氏は模倣や盗用をしていないとされ、組織委にも佐野氏にも審査委にも三者三様の責任はあると言いつつも、問題が大きくなって国民の理解を得られないとの理由でエンブレムのデザインが取り下げられて責任者の処分は行われないという、極めて日本的な「落とし所」に落ち着いています。

◆苛烈なネットリンチ
そうした中で佐野氏の過去のパクリ疑惑を次々と発見したネット民の一部は佐野氏に対して執拗に苛烈なネットリンチを繰り返し、佐野氏は以下のように述べています。

私個人の会社のメールアドレスがネット上で話題にされ
様々なオンラインアカウントに無断登録され、毎日、誹謗中傷メールが送られ、
記憶に無いショッピングサイトやSNSから入会確認メールが届きます。
自分のみならず、家族や無関係な親族の写真もネットにさらされるなどの
プライバシー侵害もあり、異常な状態が今も続いています。

もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状態だと思うに至りました。

WWW.MR-DESIGN.JPより引用)

今回のエンブレムの件は、ある意味組織委の武藤事務総長が述べたように、デザインした佐野氏だけでなくデザインを選んだ審査委や、発表から1ヶ月あまり撤回の判断を行わなかった組織委にも責任があります。

社説:五輪エンブレム 組織委の責任は重い - 毎日新聞

東京新聞 五輪エンブレム撤回決定 動かぬ組織委の責任重く 社会(TOKYO Web)

佐野研二郎だけの責任なのか? 東京五輪エンブレム問題で問われる永井一正審査委員長と電通CDの疑惑|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見

ですがネットリンチはひたすら分かりやすく叩きやすい佐野氏に集中しているのが現状。上記内容が本当であれば(これまでの繰り返された数々のネットリンチの歴史を見れば本当であることを疑う内容は特にありません)、もはや佐野氏の模倣や盗作疑惑へのまっとうな批判というレベルを大きく超えた文字通りの「私刑」でしかなく、家族や親族のプライバシーも侵害されている以上、深刻な人権侵害が発生しているのは明らか。。

森喜朗会長を始めとした組織委、審査委の責任を問うでもなく、嬉々として叩きやすい相手を匿名で四方八方から叩き続ける姿はどう見ても誇れるものではありません。

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