「時間と予算を費やす必要はあるのか」とまで言われた同性パートナーシップ制度の予算を調べてみた

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昨年東京都渋谷区、世田谷区が相次いで導入したことで話題になった同性パートナーシップ制度。

しかし先日、杉並区議会で女性議員から「個人的趣味に時間と予算を費やす必要はあるのか」という声が上がったわけですが、それでは実際どれだけのコストがかかっているのでしょうか。詳細は以下から。

◆「同性愛は個人的趣味、本当に予算を費やす必要はあるのか」という発言が話題に
まず確認しておきたいのが、先日杉並区議会で行われた発言。次世代の党(現:日本のこころを大切にする党)などの推薦を受けた杉並区議会議員、小林ゆり氏によるもので、LGBTのT(トランスジェンダー)以外のセクシャリティを「個人的趣味」と断言した上で、地方自治体が時間や予算を費やすことに疑問を呈しています。

【発言全文】「同性愛は個人的趣味」 支援を疑問視する杉並区議の発言に批判

そのため、ここで整理をしておきたいのですが、レズ・ゲイ・バイは性的指向であるのに対し、トランスジェンダーは性的自認であり、医師の認定が必要である明らかな障害であると言えます。トランスジェンダーの方は法律的に保護する必要があり、世間的な目からの誤解を解かねばなりませんので、彼らの人権のために区が啓蒙活動をするのは問題ないと考えます。また、トランスジェンダーの方は、障害であると認められているからこそ、性別を変更できるなどの法的な救済策が定められています。
それに対し、レズ・ゲイ・バイは性的指向であり、現時点では障害であるかどうかが医学的にはっきりしていません。そもそも地方自治体が現段階で、性的指向、すなわち個人的趣味の分野にまで多くの時間と予算を費やすことは、本当に必要なのでしょうか。その前提に基づき、幾つか質問をしていきます。


「生産性の無いLGBTへの支援策は不要」とまで言い切った杉田水脈元衆議院議員のように、次世代の党関係者らしいスタンスであるとは思われますが、さすがに同性愛を個人的趣味とまで言い切るのは乱暴な話で、各所から非難の声が上がる結果に。

また、小林氏は過去にブログで「LGBT支援を叫ぶ人々は支持を得るために心にも無いことを言っている」といった独自の説を披露した際も、今回の答弁においても「LGBTの友達がいるので自分は何を言ってもいい」という、差別を正当化する典型的な論法を駆使しているところも気になるところです。

◆渋谷区、世田谷区が同性パートナーシップ制度に計上した予算は?
このように度々やり玉に挙げられ、「多くの時間と予算を費やすことは、本当に必要なのでしょうか」とまで言われた地方自治体によるLGBT支援ですが、実際同性パートナーシップ制度を実現するにあたって、どれだけの予算が費やされているのでしょうか。渋谷区、世田谷区のデータを調べてみました。

まずは(PDFファイル)平成27年度の渋谷区当初予算案。同性パートナーシップ制度を含む「男女平等及び多様性を尊重する社会の促進」事業として、予算190万円が計上。なお、渋谷区の平成27年度の予算総額は約858億円です。


同性パートナーシップ制度などに必要な予算・190万円はどれほどの規模なのかというと、スポーツセンターの空調整備などにかかる予算(2億5300万円)に遠く及ばないのはもちろん……


中学校の部活強化事業(410万円)や高齢者の口腔機能維持向上事業(600万円)などよりも圧倒的に少ない額です。



一般的に「人口の5%程度」と言われるLGBTの割合。渋谷区の人口が22万288人(平成28年2月1日時点)であることを考えると、同区が抱えるLGBT人口は1万1000人程度と考えられるわけですが、190万円で救われる人が出るのであれば、非常にコストパフォーマンスが良いのではないでしょうか。

ちなみに人口88万3776人(平成28年2月1日時点、推定LGBT人口約4万4000人)の世田谷区の場合、(PDFファイル)平成27年度の予算に同性パートナーシップ制度向けの予算は計上していませんが、男女共同参画の推進事業向けとして5589万円を計上。


そして(PDFファイル)平成28年度の予算には、男女共同参画の推進事業に同性パートナーシップ制度を含め、予算総額約770億円から1億2500万円を計上しています。


しかし「第二次男女共同参画プランの策定に向けたシンポジウムの開催」などの新規事業が含まれるほか、政府が女性の社会進出を推進していることを考えると、男女共同参画事業の予算も増額されていると考えた方が自然であるため、平成27年度から増額された分がそのまま同性パートナーシップ制度の予算ということにはなりません。

上記のデータから分かるように、そもそも多くの予算が割かれてすらいない同性パートナーシップ制度。「多くの時間と予算を費やすことは、本当に必要なのでしょうか」とまで言われてしまうことに、違和感を覚えざるを得ません。

LGBTも税金を納めている納税者であることや、同性パートナーシップ制度が比較的少ないコストで多くのLGBTを救うことができる可能性を秘めていることなどを考えると、ことさらに取り立てて否定するべきものではないと考えられます。

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