裁量労働制を不当に適用して残業代払わずただ働き、野村不動産に是正勧告

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現在話題になっている「裁量労働制」ですが、日本でたがが外れるととんでもないことになりそうです。詳細は以下から。

厚生労働省東京労働局は12月26日に、裁量労働制を適用が認められていない社員に対して不当に適用し、残業代を支払わずにただ働きさせたとして不動産大手の野村不動産に是正勧告を出したことを明らかにしました。

是正勧告を受けたのは東京の本社と、関西、名古屋、仙台、福岡の4支社。さらには宮嶋誠一社長に対して、是正を図るよう25日付で同労働局長から特別指導も行いました。

労働局によると、野村不動産は本来裁量労働制の適用が認められない社員に対して、全社的に不当に裁量労働制を適用し、営業などの業務をさせていたとのこと。

これによって違法な時間外労働が発生していたものの残業代を支払っていなかった社員が一部にいるとして、未払い残業代の存在を認めました。

裁量労働制は、仕事の進め方や時間配分をある程度自分で決められる働き手に、あらかじめ決められた「みなし労働時間」に基づいて残業代込みの賃金を支払う制度ですが、成果報酬とはまた別物である事には注意が必要です。

裁量労働制によって労働が時間ではなく成果で計られるというミスリードが推進側や一部メディアによって行われていますが、これは個別の契約によっていくらでも変わり得るもので、一律に裁量労働制と成果報酬をイコールで結びつけられるわけではなく、単に残業代を払わず便利に社員をただ働きさせるための口実にされることが危惧されてきました。

現代日本では「みなし労働時間」すら勘案されないサービス残業もいまだに蔓延していますが、裁量労働制がこうしたサービス残業の合法的代替手段になるというわけです。

今回はそもそも裁量労働制の適用が認められない社員に対して不当に適用していたということで、上記懸念以前の違法行為が是正勧告を受けたことになります。

野村不動産側は「対象者の労務時間について精査のうえ適切に対応する。当社では既に裁量労働制の廃止を決定しており、速やかに実施する。今回の是正勧告・指導を厳粛に受け止め、適切な労務管理に努めるとともに労務時間の短縮を目指す」とコメントしており、裁量労働制の拡大に待ったが掛かった形になりました。

今後も裁量労働制が広がれば同様の摘発は相次ぐことになりそうです。

野村不動産に是正勧告 裁量労働制を不正適用 (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

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