【動画あり】前川氏の講演に圧力をかけた「安倍の愛弟子」池田議員、日本青年会議所(JC)会頭時代に作った「歴史修正アニメ」を文科省に採用させていた

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池田議員が文科省に食い込み始めたのは第1次安倍内閣時代のことでした。詳細は以下から。

◆雲隠れした池田議員
文部科学省が名古屋市教育委員会に対して前川喜平・前文部科学事務次官の中学校での講演内容について録音データの提出や詳細を報告を求めた問題で、自民党の文科部会長代理を努める池田佳隆衆院議員が繰り返し執拗な「照会」を行ったことは既に報じられているとおり。

池田議員は質問文の「添削」も行っており、これによって「金額はいくらか」「動員等が行われた事実があったか」などの文言が加えられ、天下り問題についての言及も足されることになった事も判明しています。

教育基本法の基本理念に大きく反するこの行為は到底容認できるものではありませんが、当の池田議員はなんら釈明することもなく雲隠れ。遂には公式サイトまで抹消される(編集部注:3/21午後に再度閲覧可能な状態になりました)という徹底した遁走っぷりを見せているところ。


日本青年会議所(JC)も批判された途端に「宇予くん」のアカウントを即刻抹消しましたが、リアル宇予くんの池田議員も同様に「抹消」してしまったということなのでしょうか?

◆JC会頭時代に歴史修正アニメを制作
この池田佳隆議員がかつて日本青年会議所(JC)のトップである会頭という地位にあったことは前記事で説明したとおり。


池田議員がかつて会頭を努めていたのは2006年のことでした。この年の7月、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際に面会した安倍官房長官(当時)に「日本は大丈夫ですよね」と聞いて「安心してください。日本は私たちが必ず守ります」と返されたことに感動して池田氏は政治家を目指すことになります。


※上記の件で当初「編集部注:この面会はサマコン06での対談を指すと思われる」と報じましたが、安倍首相の証言を見るにサマコン06での対談とはまた別枠でインタビューが行われた模様です。お詫びして訂正致します。


この出来事に先立つこと1ヶ月、池田氏は6月7日の第164回国会の教育基本法に関する特別委員会に参考人として出席していました。

池田氏は「教員組合のイデオロギー」によるいわゆる「自虐史観」を批判し、JCが「純真無垢な愛国心」を醸成しようとしていることを蕩々と語ってみせます。

教員組合のイデオロギーのもとで贖罪国家意識を植えつけられてきたせいか、いわゆる敗戦のトラウマによって祖国日本への愛情を抱くことさえできず、こんな国に生まれなければよかった、そう言って嘆く子供たちが毎年毎年どんどん増殖している現実に、悲しみを通り越して恐怖さえ感じています。

 何とかして子供たちに、ふるさとを大切にしていこう、愛していこう、生まれた国日本を大切にしよう、愛そう、日本という国に貢献できるようなそんなすばらしい人になっていこう、愛する祖国日本を世界平和に貢献できるそんなすばらしい国にしていこう、そういった純粋な、また純真無垢な愛国心の醸成を図り、この国に生まれて本当によかった、そう言える子供たちがどんどんふえるような、道徳心あふれた市民あふれるそんな日本国を一日も早くつくらねばならない、そんな思いを今強く我々JCは抱いているところであります。

第164回国会 教育基本法に関する特別委員会 第11号(平成18年6月7日(水曜日))より引用)


そのJCが画策する近現代史教育プログラムの中核と位置づけるのが問題の「誇り~ 伝えよう この日本のあゆみ ~」というわけです。

実際に入間青年会議所が2007年2月18日にこの歴史修正アニメをもちいてフォーラムを開催していた記録が公式サイト(魚拓)に残されており、池田氏も講演していることが分かります。

◆歴史修正アニメ「誇り~ 伝えよう この日本のあゆみ ~」
タイトルからして嫌な予感しかしませんが、内容はこころという女子高生が「日本の近現代史を勉強している」青年の雄太から「本当の日本の歴史」を学ぶというもの。


この作品は徹頭徹尾大日本帝国を欧米列強からの「解放者」と位置づける歴史修正主義で貫かれており、大日本帝国が帝国主義列強の一角として行った侵略戦争や植民地支配における加害の側面については一切語られません。

例えば韓国併合「日本は朝鮮半島の近代化を促し、共にアジアの仲間としてロシアに対抗しようとした」と表現され、太平洋戦争は当然のように「東アジアの白人からの解放を大義目的」とした「大東亜戦争」と紹介してみせます。

特攻に関しても「国土が破壊され勝ち目がなくなると、日本軍は捨て身の作戦に出て行く。戦闘機や魚雷に乗って若い兵隊が敵艦に体当たりする特攻と呼ばれる作戦だ」という、勝ち目無しの負け戦で無駄に若者を死に追い込んだ愚策中の愚策であることを認めつつも「彼ら特攻兵はただ守りたかったんだよ。この国と、故郷にいる自分の愛する家族たちを」などと勝手に特攻兵の心情を代弁します。

そして中盤で雄太とこころは靖国神社を参拝。東京裁判は不当であると異議を唱え、GHQが日本人を洗脳したことで、「本来日本人が美徳として培ってきた文化・風習までもが悪いものという意識を日本国民が持つようになってしまった」と指摘。


雄太は「愛する自分の国を守りたい、そしてアジアの人々を白人から解放したい。日本の戦いにはいつもその気持ちが根底にあった気がする」という、まともに「日本の近現代史を勉強している」人間からは絶対に出てこない感想を漏らし、GHQの洗脳によって日本人から自信と誇りが奪われたと認識します。


「誇り~ 伝えよう この日本のあゆみ ~」は現代日本に流通している極右歴史修正主義者らの言い分を25分にまとめたという意味においては非常に参考になる作品ではありますが、もちろん閲覧注意です。動画は以下から。

誇り~ 伝えよう この日本のあゆみ ~ - YouTube


◆この歴史修正アニメを文科省が採用
ここまでなら単にJCの右傾化がこの時点で愛国カルトの域にまで達していたというだけの話ですが、残念ながらそれでは終わりませんでした。池田氏は上記の委員会で以下のようにも述べて歴史修正アニメを含めた近現代史教育プログラムを教育現場に持ち込むために国会議員にバックアップを要請しているのです。

戦後植えつけられた贖罪国家意識を払拭するために、現在、日本青年会議所は、近現代史教育プログラムを作成しております。東京裁判とは一体何だったのか、日清、日露戦争とは一体何だったのか、アメリカの掲げたオレンジ計画とは何だったのか、日中戦争がなぜ起こったか、国家戦略のなさが引き起こした大東亜戦争とは何だったのか、そんな戦争の総括も含め、近現代史を検証できるようなそんなプログラムをつくっているところです。

もちろん、決して戦争を肯定したり美化したりしてはいけないのは当たり前です。ただ、子供たちには客観的な歴史認識を教える必要があると我々は考えています。今の教科書では、そのほとんどが自虐的過ぎる。そこで、そこのところを教育現場が放棄するのであれば、我々JCが買って出よう、そういうことでそういうプログラムを今つくっているわけであります。

悪いことは悪いと言えばいい。この新しいプログラムは、来年からぜひとも教育現場に持ち込みたい、ぜひとも先生方のバックアップをいただきたい、この場をおかりしてお願い申し上げる次第でございます。

第164回国会 教育基本法に関する特別委員会 第11号(平成18年6月7日(水曜日))より引用)


「戦争の総括も含め、近現代史を検証できるようなそんなプログラム」の中心にあるのが上記の歴史修正アニメである事は言うまでもありませんが、このプログラムは実際に文科省の2007年度の新教育システム開発プログラムの委託事業として採用されます。JCの以下のポストの最も古い魚拓の日付は2007年5月2日となっています。


「新教育システム開発プログラム」は「あるべき新しい教育システムを提言するための調査研究をおこなう」として文科省が2006年度に始めたもので、研究内容を公募して採択された団体に委託費を提供するもの。2006年度の予算総額は15億円となっています。

問題はこの「新教育システム開発プログラム」の有識者会議のステアリング・コミッティーメンバーに池田氏が入っていること。つまりは選定者の立場にありながら自分がトップを務める組織のプログラムを採用したということを意味します。

通常ならば税金を投入する公的な事業に対し、選定者が自分の関連組織の事業を選べば公平性が担保されていないと批判されても仕方のない話です。ですが池田氏は自分が関係しているどころかトップに立つ組織の歴史修正アニメを中心とした近現代史教育プログラムの採用に「荷担」したことになります。

なお、この問題が曝露されたのは第1次安倍内閣の2007年5月17日の衆院教育再生特別委員会での共産党の石井郁子議員の質問によるもの。これに続く6月6日の質疑では伊吹文科相(当時)も自分の団体が採択の対象になっているときは、その会議を中座するとかあるいは遠慮するとかいうのは、これは人間として当たり前のことと批判しています。

なお、日本青年会議所の広報誌「We Believe」2006年12月号によると、池田氏は安倍首相と対談して「誇り~ 伝えよう この日本のあゆみ ~」のDVDを贈呈し、受け取った安倍首相が「教育再生の参考にぜひ拝見させていただきましょう」と話しています。

このやりとりは石井郁子議員の5月17日の質疑中で安倍首相も確認していますが、安倍首相は

存じ上げておりますが、まだ私も見ておりません。

突然そのときの会話を持ち出されて、私もよく覚えておりませんが、青年会議所の皆様が、教育再生また教育に大変熱心に取り組んでおられる、また、そういうDVDをつくられたことに対しまして敬意を表したことを記憶いたしております。


という、どこかで聞いたようなつれない答えをしていることは改めて指摘しておきましょう。

◆浮かび上がる疑問
さて、ここまで述べてきて浮かび上がる疑問があります。当時の伊吹文科相をして「遠慮するのが人間として当たり前」と言わしめる、歴史修正アニメのお手盛りによる「新教育システム開発プログラム」採用はなぜ起こったのでしょうか?

石井議員は池田氏が選ばれた理由について、国会での質疑の中で官邸からの指示があったのではないかという可能性を示唆しています。

ひとまずここで2006年9月26日から2007年9月26日まで続いた第1次安倍内閣と池田氏の動きを時系列にまとめてみましょう。

2005年10月31日:安倍晋三議員が内閣官房長官就任
2006年1月:池田佳隆氏が日本青年会議所(JC)会頭となる
2006年4月6日:池田氏が新教育システム開発プログラム有識者会議第1回にメンバーとして出席
2006年6月7日:池田氏が国会の教育基本法に関する特別委員会に参考人として出席
2006年7月:池田氏と安倍官房長官が対談、感動して政治家を目指すきっかけに
2006年7月23日:池田氏がJC主催のサマコン06で安倍首相と対談
2006年9月26日:第1次安倍内閣発足
2006年12月:池田氏と安倍首相が対談、歴史修正アニメDVDを安倍首相に進呈
2007年2月18日:入間青年会議所が歴史修正アニメDVDを用いてフォーラム開催、池田氏が講演
2007年5月:歴史修正アニメDVDが文科省の2007年度「新教育システム開発プログラム」に採用
2007年5月17日:共産党石井議員が歴史修正アニメDVDの「新教育システム開発プログラム」への採用を国会で追求
2007年9月26日:第1次安倍内閣総辞職


極右思想を持ち、活発に活動する愛国カルトJCのトップが安倍首相と近づき、「遠慮するのが人間として当たり前」のはずなのに、なぜか「新教育システム開発プログラム」の有識者会議メンバーとしてJC謹製の歴史修正アニメを文科省に採択させる。

しかし国会で野党に歴史修正アニメの内容と採用プロセスを糾弾されると安倍首相は「DVDは見ていない」「良く覚えていない」と逃げる。

どこかで見たような構図がここにも表れている事が分かります。もしかしたら、気付いていないだけで同様の事案は私たちの想像以上に日常的に発生していたのかもしれません。

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