裁量労働制の拡大、デタラメ資料しか作りようのない欠陥法案であった事を自民党の橋本岳厚労部会長が激白

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野党に要求されてデタラメ資料しか作れないのであれば、それはどこからどう見ても欠陥法案でしかないということです。詳細は以下から。

◆デタラメ資料の現員を野党に責任転嫁
3年に渡って不適切なデータで「裁量労働制の拡大が必ずしも長時間労働につながるわけではない」と強弁し続けたものの、データの余りのデタラメぶりと資料隠蔽の発覚によって撤回に追い込まれた裁量労働制の拡大。

この大問題に関して自民党の橋本岳厚労部会長「(資料を)執拗に要求したのは野党で、繰り返し問い詰められ、(厚労省が)やむを得ず作成した」魚拓)などとアクロバティック責任転嫁をしていたことを共同通信が報じました。

これは橋本議員が自身のフェイスブックに7日付で投稿したものですが、問題なのは橋本議員が不適切データを野党側に提示した当時の厚労政務官というガチの当事者であるということ。

つまりは自分の関係する重要法案に関する致命的な不祥事の責任を野党に転嫁して叩こうとしたということになります。

橋本議員は5月8日に共同通信の取材に「明らかに事実と違うとか、不適切なことがあれば教えてほしい。真摯に受け止めて対応していきたい」と述べ、5月9日には冒頭に謝罪を付け加えて訂正しています。当該投稿は以下の通り。

(5月9日朝追記)
昨日共同通信さんの取材をうけ、下記の報道がありました。
https://this.kiji.is/366557726777787489
これを受けて読み直したところ、文中に、自分の主観のみを根拠として特定の方を中傷したり...

橋本 岳さんの投稿 2018年5月7日(月)

魚拓

橋本議員は訂正版の投稿の中でも以下のように述べています。

もちろん、全ては厚労省の責任(であり、当時政務官の僕の責任も免がれるとは個人的には思いません)です。注もなしに数字を計算により算出し、「平均的な者」なる不思議な概念の説明も、最長時間を回答させていたことの説明もなく、本来比較不可な数字を並べて書いていた。全てあまりにも雑で不適切です。ただ当時の印象から思うに、この資料は寝不足で過労気味の担当者が、野党の皆さんの要求になんとかして応えたいという一心で、アクセス可能な数字や表から資料を捻り出した結果であり、そしてその上司も、チェックしなければならない沢山の提出予定資料の一枚としてこれを見て、「ま、いいか」と思ってしまった結果なのではないか(または全く気づかなかった結果)と僕には思えるのです。厚労省の教訓は、いくら要求されても、無い数字を無理に作って提出するようなことはしてはならない、ということでしょう。

(上記投稿より引用)


つまりは過労の厚労省担当者が野党の要求に応じようと頑張って数字をひねり出した結果、政府にとって都合のいい「雑で不適切」ではまったく済まないデタラメ資料が提出されてきたということ。

こんな無理筋の塊のような論が野党への攻撃や厚労省の擁護になっていると考えられる事がそもそも不思議でならないレベルです。

◆厚労省の「忖度」までも示唆
それどころか橋本議員は堂々と厚労省の関係者による「忖度」があったのではないかと示唆してしまいます。

政府として裁量労働制の拡大を目指すという閣議決定が既にある以上、厚労省の関係者がそうした方向になるといいなと思っていたことそのものは不思議ではないのであり、それが「誰かが意図した捏造」という証拠になるかというと、決定的ではないでしょう。

(上記投稿より引用)


つい先日も17万人の現役自衛隊員が所属する「隊友会」が日本会議と連携し、改憲署名運動を推進していた件で引用しましたが、憲法第15条2項によって「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定されて政治的中立性が求められており、厚労省の職員も当然ながらこれに該当します。

「政府として裁量労働制の拡大を目指すという閣議決定」があったとしても、厚労省の関係者が「そうした方向になるといいな」と思い、政府に都合のいい資料を作成したのであれば、それは決定的に政府という「一部」への「忖度」であり「意図した捏造」と言うしかありません。

実際問題として2015年7月以降、塩崎恭久・前厚労相や加藤厚労相は国会でこの調査に度々言及して「裁量労働制の拡大が必ずしも長時間労働につながるわけではない」と説明する根拠にしてきています。

問題発覚の原因となった安倍首相の今年1月29日の衆院予算委員会での「平均的な方で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」という答弁もあるように、このデタラメ資料が裁量労働制の拡大を目論む政府に都合のいい方向性での「デタラメさ」だったことは火を見るよりも明らかです。

◆結果的にデタラメ資料しか作れない欠陥法案であることを白状
このどうしようもないエピソードから導き出される結論は何でしょうか?それは「裁量労働制の拡大」が野党の要求に対してデタラメな資料しか作りようのない欠陥法案であったという厳然たる事実です。

裁量労働制の拡大によって本当に働く人の負担が減り、労働時間が短縮されて「働き方改革」に繋がるのであれば、いくら寝不足で過労気味であろうと「小学生とは言わないが、高校生なら分かる間違い」でしかないようなデタラメまみれの資料などを捏造する必要はありません。

正確なデータを取り、正当な比較を行い、ドヤ顔で堂々と野党に提出すればよいだけの話です。それができずにデタラメ資料を提出して法案の根拠としてきた以上、なにをどう取り繕おうと「裁量労働制の拡大」は正面から論じる意味すらない欠陥法案に過ぎません。

自民党の厚労部会長からこうした告白が飛び出した以上、同じ「働き方改革関連法案」の高度プロフェッショナル制度についても拙速な成立を認めるわけにはいきません。

高度プロフェッショナル制度の有り余る危険性と問題についてはBUZZAP!でも既に『裁量労働制拡大』の今国会断念でもしぶとく生き残る『残業代ゼロ法案』の片翼『高度プロフェッショナル制度』の恐怖という記事の中で詳細に論じています。


「働き方改革」が企業にだけ有益な「働かせ方改革」でしかないという批判が各所から噴出し続けている現状で、これらの声に向き合わず、デタラメを並べて採決を強行するのであれば、そのような政府は国民から完全に乖離していると言わざるを得ないでしょう。

「野党が執拗に求め作成」と投稿 不適切データで自民・橋本岳氏 | 2018/5/8 - 共同通信

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