働き方改革さらに改悪へ、維新が中小企業(全企業の99.7%)の残業時間上限規制を骨抜きにする「配慮」を求める

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野党のふりをし、庶民の味方のふりをする維新の会が完全に国民を殺しに来ています。詳細は以下から。

与党がどうしても今国会で成立させようと必死の働き方改革関連法案。裁量労働制の拡大は厚生労働省のデタラメ資料によって撤回に追い込まれましたが、未だに「残業代ゼロ法案」の片翼である「高度プロフェッショナル制度」は生き残っています。

◆維新は中小企業への残業時間上限規制の「配慮」を求める
それに加えて極めて危険な状況が日本維新の会によってもたらされています。それが5月11日に始まった自民党と日本維新の会による働き方改革関連法案の修正協議です。

自民党の森山裕、維新の遠藤敬両国会対策委員長が国会内で会談、その中で維新は、法案が時間外労働の上限が最大でも年間720時間以内、月100時間未満としていることなどについて「人手不足が指摘されている中小企業から、対応できるか不安という声も出ている」と指摘。


今後維新は中小企業への適用を遅らせるなど一定の配慮を求める見通しとなっており、遠藤議員もは会談で「特に大阪は中小零細企業が多い。国民に理解を得る法案にしたい」と述べています。

一見維新の会の主張は中小零細企業の状況に配慮し、国民に優しい提案のように見えてしまいますが、残念ながらその真逆です。どういうことか説明しましょう。

◆下請け孫請けの中小企業従業員の完全な「奴隷化政策」
まず第一に、中小企業庁が2018年4月に提出した「最近の中小企業・小規模事業者政策について」という公式資料を見てみましょう。

これによると、日本の全事業者382万のうち99.7%が中小企業であり、従業者で見ても約70%が中小企業に就業しています。

つまり、維新の修正協議が通ればやっと決められた過労死ラインを20時間も超える「残業時間上限100時間未満」という規制すら99.7%の企業、70%の従業員らへの適用が回避され、これほど完全な骨抜きは見たことがないというレベルで残業規制が有名無実化されることになります。


また、日本で働く社会人ならば誰でも知っていることですが、中小零細企業の多くが大企業の下請けや孫請けとして仕事をしています。

現時点でも「下請けいじめ」という言葉があるように、クライアントである大企業に安い金額や無茶な仕事量・納期で仕事を振られ、立場上断れずに無理をして仕上げざるを得ないという状況が全国的にまかり通っています。

中小企業が働き方改革の残業時間上限規制で対応できるのかという心配の多くは、こうしたクライアントからの苛烈な要求に応え続けられるのかということ。応えられなければ切られて廃業に追い込まれる可能性も十分にあるため、その企業にとってはまさに存亡の危機ということになります。


もちろん「それじゃあしかたない」という話では断じてないことは言うまでもありません。過労死ラインをはるかに超えた長時間労働をしなければ対応できないような仕事を求めること自体が極めて非人道的な行為であり、「働き方改革」として改めなければならないはずのところ。

そうした構造を残業時間上限規制の適用を猶予させることで温存させるようでは、もはや働く人の立場に立った「働き方改革」は名実ともに完全に瓦解することになります。

◆ではいったいどうすればいいのか?
「対案を出せ」といつものように言う人もいそうですが、この件については立憲・国民、共産の野党各党も対案を提出しています。

いずれの党の対案も高度プロフェッショナル制度の創設は盛り込まず、退社から次の出社までに一定の時間を空ける「勤務間インターバル規制」の導入などを明示しています。

残業時間の上限規制では国民は政府案と同じ「月100時間未満、複数月の平均で80時間以内」ですが立憲は「月80時間未満、複数月の平均で60時間以内」と厳格化。共産案ではさらに厳しく「週15時間、月45時間、年360時間を労基法に明記」としています。



詳細については各政党の公式サイトから閲覧できますのでチェックしてみてください。

「安心労働社会実現法案」を衆院に提出 _ 国民民主党(DPFP)公式ウェブサイト

「人間らしい質の高い働き方を実現するための法律案」を衆院に提出 - 立憲民主党

「働かせ方」大改悪をやめさせ、まともな働き方改革を実現するために_日本共産党の労働基準法等改正大綱_2018年5月11日 日本共産党国会議員団


行うべきは働く人が過労死をしない残業時間の上限規制であり、過労死ラインを超えた働き方でしかやりくりのできない状況の温存ではありません。あくまでも経営者や大企業の都合を第一とした改革であれば、それは今も揶揄されているように「働かせ方改革」でしかありません。

働き方法案、自民・維新が修正協議入り 会期内成立狙う:日本経済新聞

自民と維新 「働き方」法案 時間外上限など修正是非含め協議へ _ NHKニュース

働き方改革関連法案、修正協議へ 自民と維新が一致、中小企業配慮 - 共同通信


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