正社員と非正規社員の待遇差は「不合理」と最高裁が初の判断、しかし大きな懸念も囁かれる

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同一労働同一賃金に関して大きな判断が下されました。詳細は以下から。

同じ仕事をしている正社員と待遇に差があるのは、労働契約法が禁じる「不合理な格差」にあたると訴えた訴訟の上告審の判決が6月1日に最高裁第二小法廷で下されたことを朝日新聞が報じています。

◆同一労働なら待遇の差は不合理との判断
最高裁の山本庸幸裁判長は、正社員に支給されている無事故手当や通勤手当などを契約社員に支給しないのは不合理だと判断。二審判決を支持して会社側に会社側にきこれらを支払うよう命じました。

最高裁が同一労働同一賃金に関し、正規雇用者と非正規雇用者の間の待遇差という争点に判断を示したのは初めてのことで、極めて大きな判例となります。

この訴えは浜松市の物流会社「ハマキョウレックス」でトラック運転手として働く契約社員が正社員に支給されている無事故手当、作業手当、給食手当、住宅手当、皆勤手当、通勤手当などが契約社員に支払われないことを不服として起こしたもの。

一審の大津地裁彦根支部は通勤手当について「交通費の実費の補充で、違いがあるのは不合理だ」と認定し、二審の大阪高裁はこれに加えて無事故手当と作業手当、給食手当を支払わないのは不合理だとの判断を下していました。

最高裁は二審が認めた4つの手当に加えて皆勤手当についても「不合理」と判断。裁判が進むにつれて不合理さがより広く認められていく結果となりました。

なお、住宅手当については正社員と契約社員では転勤の有無などの差があることから不合理とは言えないとの判断を下しています。

◆懸念される「正社員の待遇悪化」
ですが、現代日本ではこの判決は手放しで喜べるものではありません。なぜかというと、企業側が「同一労働同一賃金」の実現のために「正社員側の手当を廃止したり待遇を悪化させる」という事が起こるからです。

既に2018年4月の時点で日本郵政グループという巨大グループが、日本郵政グループ労働組合の正社員だけに認められている扶養手当や住居手当など5つの手当を非正規社員にも支給しろという要求に対し、正社員側の手当を廃止するという決定を下しています。

BUZZAP!でも当時詳しく報じましたが、日本郵政グループ側は「正社員の労働条件は既得権益ではない」として一部の正社員を対象に住居手当の廃止を逆提案。これに加えて寒冷地手当や遠隔地手当も削減されることになりました。

極めて残念ながら、この判決を受けて企業側がこれ幸いと正社員の手当を廃止し、待遇を引き下げるという決定を行う事が十分に考えられるということ。これは企業からすれば人件費を抑制しつつ同一労働同一賃金を達成できる一石二鳥の方針。

既にネット上ではこうした懸念が示されていますが、正社員も非正規社員も幸せにならず、企業のみが丸儲けといういくらなんでもあんまりな状況が今後社会のあちこちで見られることになるかもしれません。

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