国民主権を否定した日本会議の伊勢崎市議、ついに日本国憲法自体が非合法とブチ上げる

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日本会議の本質がどこにあるのか明確に理解できる発言が相次いでいます。詳細は以下から。

数年前からその存在が広く知られるようになった極右懐古主義団体「日本会議」。多くの関連団体が存在し、活動も幅広いため、なかなか核の部分を計り知る事は困難でしたが、この上ないサンプルとなる地方議員が極めて重大な発言を繰り返しています。

◆伊勢崎市議が「国民主権」を完全否定
その地方議員とは群馬県伊勢崎市議会の伊藤純子議員。8月8日に「主権はまさに「国民」ではなく「国家」にあるのです」とツイッターで発言し、中学校の公民レベルの知識すら備えていないと大炎上しています。

魚拓

中学校の公民で習うように、日本国憲法は前文の最初の文で「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と明記しており、次の文では「これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」とまで記しています。非常に大切な部分なので前文の第一段落を引用します。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国憲法前文 - Wikipediaより引用)


◆「単なる馬鹿」ではなく「日本会議」所属議員
もちろんこれを「中学校レベルの勉強もできない単なる馬鹿」で済ませて嘲笑して済ませることは可能ですが、この問題はそんなにのどかで平和なものではありませんでした。

伊藤純子議員の経歴は公式サイトの略歴によると「オーストラリア国立メルボルン大学で政治学とイスラム史学を専攻、在学中に中華人民共和国立南京師範大学に留学、ヴィクトリア政府と同大学の斡旋を受けて、ヴィクトリア州議事堂立法部の研修生として従事」しており、「上毛新聞高崎支社報道部リポーター」として4年間勤務した実績もあります。


つまりは海外の複数の大学に通い、新聞社に勤めたこともある「才女」と呼んでも差し支えない経歴の持ち主であり「単なる馬鹿」ではなく確固たる思想を持っているということ。

戦史/紛争史研究家で日本会議 戦前回帰への情念の著者でもある山崎雅弘氏は伊藤純子議員のこの発言をただのもの知らずではなく「悪質な詭弁術」と断じて批判しています。


上記ツイートでも批判されているように伊藤純子議員は「『正論』路線を踏襲する真正保守」を名乗る自称保守界隈の人物。公式サイトの所属には「日本会議首都圏地方議員懇談会会員」「神道政治連盟正会員」といったガチな経歴が並ぶ上に、反LGBTデモを行った頑張れ日本全国行動委員会「群馬県支部顧問」まで努めています。


「頑張れ日本!全国行動委員会 群馬支部」に関しては、群馬県高崎市にある県立の都市公園「群馬の森」に建てられている、植民地時代に動員された朝鮮人の追悼碑「記憶 反省 そして友好」に対して全くの歴史捏造による謝罪と反省の言葉などと激しい攻撃を浴びせていたことをBUZZAP!でも以前報じています。

伊藤純子議員はその群馬支部の顧問を務めており、公式サイトからも直でリンクが張られています。


ついでと言ってはなんですが、「宇予くん」騒動で有名になり、トンデモすぎる独自の「改憲草案」を公表している青年会議所にも絡んでおり「伊勢崎青年会議所シニアクラブ会員」という肩書きも記されていることも指摘しておきましょう。

◆止まらない「暴言」と「失言」
伊藤純子議員はこの後も主権について、意味不明な詭弁を繰り返します。12日の以下のツイートについては日本語すらまともではなく支離滅裂で、ぼんやりと祖先崇拝の香りを感じ取ることしかできません。

魚拓

さらに「しかし日本は万系一世の皇室を戴いているので、護憲派の指摘するフランス革命流の『社会契約説+人民主権論』は馴染まない」とぶち上げます。

社会契約説は大まかには「社会・国家は、それを構成する個人相互間の、自由意志に基づく契約によって成立する」という日本国憲法を含む近代憲法の理論的な基礎です。伊藤純子議員が国民主権と共にこの社会契約説まで否定しに掛かっていることは押さえておかなければなりません。

魚拓

なお、このツイートには2箇所誤りがあります。特に「万世一系」を「万系一世」と言い間違えるなど、尊皇を掲げる国粋主義者は腹を掻っ捌いて詫びなければならないレベルの無礼ですが、大丈夫でしょうか?



そして「日本国憲法には『天皇奉戴』が明記されている」という大嘘から「左翼・反天皇思想こそ、憲法に反しています」というトンデモ論がここに極まります。続いて「日本人の感覚に「主権」という言葉は合わない、むしろ煩わしい」と叫び、「脈々と継承される立憲君主制を守るためにも、再度、帝国憲法の誕生に注目し、改憲に臨まれることを期待したい」と結びます。

魚拓

当然ながら日本国憲法には「天皇奉戴」など記されていないため直後に訂正と謝罪をする事になります。もちろん日本は立憲君主制でもありませんがこちらは華麗にスルー。


◆ついに「日本国憲法自体が『非合法』」と気付いてしまう
ここまでで既にお腹いっぱいでウンザリという方も多いかも知れませんが、最後に極めつけの一発が放たれます。それが「日本国憲法自体が「非合法」だということにも気付かされました」というところ。

魚拓

法律が違憲ということはありますが、上位法たる憲法が「非合法」ということは構造上あり得ません。これを含め、中学校の公民レベルの厳然たる法律上の事実さえも平然とねじ曲げてみせて恥じない態度には慄然とさせられます。

発言の問題となった部分を抜粋してみましょう。

・主権はまさに「国民」ではなく「国家」にある
・人民主権=国民が偉いわけでも、無条件で与えられるものでもなく、先人から受け継いだ権利
・日本は万系一世の皇室を戴いているの
・フランス革命流の「社会契約説+人民主権論」は馴染まない
・日本国憲法には「天皇奉戴」が明記されている
・左翼・反天皇思想こそ、憲法に反しています
・日本人の感覚に「主権」という言葉は合わない、むしろ煩わしい
・脈々と継承される立憲君主制を守るためにも、再度、帝国憲法の誕生に注目し、改憲に臨まれることを期待したい
・日本国憲法自体が「非合法」だ


法学上は完全に支離滅裂の嘘八百がずらりと並ぶ極右懐古主義の垂れ流しですが、いわゆる自称保守界隈の論客ですらここまで極論を振り回す事例は稀です。しかしストレートであるからこそ、日本会議を筆頭とした極右懐古主義を振りかざす自称保守界隈の思想や求める社会像が浮き彫りになっていると考えられるのです。

もすかしたらこれを「推論からの決めつけ」「論理の飛躍」と感じる方もいるかもしれませんが、探っていくと状況はより深刻なものであることが分かります。

◆伊藤純子議員が論拠とする関野通夫とは何者か?
さて、伊藤純子議員は「日本国憲法自体が『非合法』」というトンデモの限りを尽くしたアイディアの出所を関野通夫の「続・日本人を狂わせた洗脳工作 いまなお蔓延るWGIPの嘘 (自由社ブックレット6) 」から得たものだと明言しています。

魚拓

この関野通夫なる人物の経歴は著作を取り扱うローチケでのプロフィールによると以下の通り。

昭和14年鎌倉市生まれ。昭和39年東京大学工学部航空学科卒業後、本田技研工業(株)入社。工場勤務後、フランス5年半(技術部長)、イラン2年(合弁会社の本田代表者)、アメリカ9年(ホンダ関連会社現地法人、執行副社長、社長)駐在。その他、東アジア、ブラジルの海外生産活動の責任者。平成13年退職、実務翻訳に従事

『続・日本人を狂わせた洗脳工作 いまなお蔓延るWGIPの嘘 自由社ブックレット』より


ということで、歴史学を専門として研究した実績のない門外漢であることが分かります。Facebookアカウントもあり、その自己紹介は以下のようなもの。同一人物である事は間違いありません。

入社後暫くは工場で製品(主に二輪車)のテストに従事、ある時から自動車の海外
法規(安全や「排気ガス)の調査などに従事、海外と縁ができ、一番長くやったのは
海外生産の企画、推進でした。海外は3か国合計17年駐在、最後はアメリカに9年い
て、サラリーマンを引退、しばらくボケ防止に実務翻訳に従事、途中から、日本の歴
史教科書のあまりの自虐ブリに、これでは孫子が正しく育たないと「新しい歴史教科書
をつくる会」に参加して活動中です。


お分かりでしょうか?退職して暇をもてあました高齢者が「自虐史観」への怒りから右傾化し、「新しい歴史教科書をつくる会」という自称保守界隈のど真ん中に参入した様子が手に取るように分かります。

「つくる会」は顧問に田久保忠衛日本会議第3代会長が就任しているなど、日本会議と密接に関係しています。伊藤純子議員の発言が日本会議の思想の核の部分の流出だと指摘せざるを得ないのは、こうした巨大な自称保守界隈のサークルが存在し、その中で危険な極右懐古主義思想が膿のように膨れあがっているという現実があり、関野通夫の著作はこの系譜の中で捉えざるを得ないものだからです。

◆伊藤純子議員の発言は、ほんの数年後の日本の姿たり得る
繰り返しになりますが、伊藤純子議員の暴言・失言をもって「中学校の公民レベルも分からない馬鹿」と軽んじるのは極めて危険です。

まさに伊藤純子議員の馬鹿げた暴言・失言こそが日本会議を中心とした自称保守界隈が目指す未来の青写真に他ならず、実際に改憲の発議が早ければ今年の臨時国会で行われる可能性すらあるのが現状です。

もしかしたら、東京オリンピックまでに伊藤純子議員が望んだとおりの国に日本は変貌しているのかもしれません。

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