百田尚樹の新感覚ライト(right)ノベル「 #日本国紀 」の闇深い内幕が明らかに

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発売と同時にツッコミの嵐が巻き起こっているウルトラライト(Ultra-right)ないしオルトライト(Alt-right)ノベル「日本国紀」の興味深い内幕が明らかになっています。詳細は以下から。

昨日BUZZAP!が掲載した記事百田尚樹のトンデモ歴史本「 #日本国紀 」に各所からツッコミ多数、なぜか中央大学生協は絶賛販売が一晩足らずで週間ランキングトップに躍り出ましたが、それだけで終わるような百田作品ではありませんでした。

日本列島がトラックに撥ねられ異世界転生した並行世界で無双する歴史を描く、新感覚ライト(right)ノベルとして一部読者の血潮を熱く滾らせている本書ですが、話題となるのは本文内容だけではありません。

◆監修者の金谷俊一郎が「逃亡」?
「日本国紀」の監修は、当初は歴史コメンテーター、歴史作家、カリスマ予備校講師として知られる金谷俊一郎氏の起用が報じられていました。これは自称保守界隈御用達の「虎ノ門ニュース」にて、百田尚樹本人も出演している中で大々的に報じられています。動画は以下から。


ニュースの中では金谷氏が7月19日に「百田尚樹先生の「日本史」を監修するというありがたいお話をいただいた。本日第1稿をいただきまだ10分ほどしか読んでないが、作家の書く歴史はスゴい!「続きがよみたくなる」と思わせる工夫が随所にあるのだ。歴史を教える者に足りないのは、これなのではないかと思った」ツイート(削除済み)したことが読み上げています。

また、8月13日には以下のようにツイートしており、監修作業を行っている事は間違いありません。

魚拓

「日本史を教える者として絶対に書けない視点、内容」でありながら「感涙」にむせび、「まだ再校の確認があるが、早く世に出ることを願うばかり」と絶賛しており、カリスマ予備校講師としての経歴をかなぐり捨てる覚悟が感じられます。ですが、10月25日になると

百田尚樹先生の『日本国紀』を監修させていただきながら、「この部分で、このような批判が予想される」と正直、ページをめくるたびに思いました。末席ながら30年近く日本の歴史でご飯を食べているので。しかし今、必要なことは「議論のテーブルを設けること」であると考えました。

と一転して弱腰に。これに対して「虎ノ門ニュース」でもお馴染みの、編集を努める有本香がえぇー。仰っていただけたら…とリプライ。両者の認識に齟齬が生じていることが分かります。

その後金谷氏の名前は監修から外れたと見られ、10月27日に有本香は「日本国紀」について異なるお立場から内容の監修とアドバイスをしてくださった複数の先生方と金谷氏に触れずにツイートしています。

金谷氏も「日本国紀」絡みのツイートを削除してこれ以降一切同書についてはツイートしておらず、謝辞でも他の監修者と違い言及されていません。

◆新監修者はタレント竹田恒泰の団体幹部
そして、この直後の10月29日に監修者として登場するのが久野潤です。「有本香女史が編集、久野が監修をさせていただいた百田尚樹『日本国紀』」と明言しています。

10月25日まで金谷氏が監修者として扱われていたことを考えると実質4日で監修を行ったことになりますが、いったいどのような人物なのでしょうか?

魚拓

久野潤はツイッターのプロフィールによると「日本の国のかたちと伝統を守り、知的/文化的活動に生涯を捧げる歴史学者」で、竹田研究財団理事、京都竹田研究会幹事長、日本国史学会事務局長という肩書きも持っています。

「竹田?」と思われた方はご明察。いずれもサンフランシスコの慰安婦像に「鼻クソの刑を執行」したタレントの竹田恒泰氏が深く関わっています。

竹田恒泰氏は竹田研究財団の理事長であり、竹田研究会竹田恒泰を講師として、全国で定期的な連続講座を開催するための団体です。


また、日本国史学会はその名前とは裏腹に、日本歴史学協会に加盟しておらず、日本学術会議などによる「学会名鑑」にも登録していない極めて私的な団体。

設立の理由は唯物論的な経済史観、階級闘争史観とは異なった日本史観による、あらたな日本の国史を形成し、議論する場としての学会をつくらなければならないというもので、竹田恒泰は発起人のひとりに名を連ねています。

また、この日本国史学会は2015年まで竹田研究会と同一住所に事務所を置いていたことも指摘されており、その近さが伺えます。

久野潤自身の歴史観としてはツイートで戦後日本のリーダーらは危機意識が欠けてボケていると評し、「本来の歴史の観方を取り戻さねばならない」としています。

魚拓

自称保守界隈の論者らしい、いわゆる「自虐史観」からの脱却を目指すものですが、同様に南京大虐殺、従軍慰安婦を「戦後になって「作られた」歴史」とするなど、歴史修正主義的な主張も。

魚拓

加えて日本は「自存自衛」のために戦った。|久野潤チャンネルブロマガというブログポストでは「支那事変(日中戦争)拡大も日米開戦も、特定勢力による謀略・工作活動によるところが大である」との陰謀論を披露しつつ「自存自衛」のための戦争だったとの認識を示しています。

もしその理屈が事実だとして、世界規模で物事を動かせる「特定勢力」とやらはマンガやアニメに出てくる秘密結社レベルの強大さ。

その思惑にまんまとノセられ、兵站を無視した野放図な戦線拡大を行った当時の日本は相当なマヌケということになりますが、そのあたりにどう折り合いを付けるのかが気になるところです。

また、日本歴史学協会などに加盟していない、第三者の検証を経た研究結果があるのかすら分からない団体の関係者が歴史に関する本を監修すること自体どうかと思う人も少なくないはず。

しかしそんな懸念をよそに「世の歴史学者は本書の枝葉末節を批判する前に、ぜひ見習ってほしい」とまで発言しています。多くの人々が検証を積み重ねてきた学問を一体何だと思っているのでしょうか。

また、竹田恒泰と極めて深い関わりを持つ人物であることは上述しましたが、男系をつまり父親が天皇であると間違って主張する百田尚樹の文章を校正することなく出版させています。

この理屈に従うなら、近しい関係にある竹田恒泰(もちろん父親は天皇ではありません)が売りにしている「明治天皇の玄孫(やしゃご)」の血統を根底から否定してしまうことになるわけです。

◆改元は来年なのに帯で「平成最後の年」と宣伝
監修のゴタゴタに加え、読者の目に最初にとまる帯にも致命的な間違いがあります。それは「当代一のストーリーテラーが、平成最後の年に送り出す、日本通史の決定版!」というもの。


これは小学生でも分かることですが、2018年は「平成最後の年」ではありません。平成最後の年は2019年の平成31年であり、5月1日から新元号となります。

今年が「平成最後の年」となるのは、年内に今上陛下が崩御される場合に限りますので、まっとうな保守思想の持ち主からすれば絶対に許せない不敬の極み。本物の保守思想の持ち主を踏みにじる暴言を堂々と吐いていることになります。

「男系」に関する大間違いや、天皇陛下のお言葉を聞かずに生前退位について語ったことなどと相まって、百田尚樹に皇室について何かを語る資格は「永遠の0」と言えるでしょう。

◆Cコード分類は「日本歴史」ではなく、やはり「日本文学、評論」
最後に、ネット上で指摘されているのが「日本国紀」の分類です。出版元の幻冬舎の公式サイトによると「日本国紀」の日本図書コードの分類コード(Cコード)は0095で、「日本文学、評論、随筆、その他」となります。


「日本歴史」であれば0021のはずですが、コードが違うのはおそらく問題となった時に「これは歴史書ではなく文学なんです!随筆なんです!」と逃げ切るため。

しかし学術的な裏付けゼロの「ぼくがかんがえたさいきょうのれきし」を「日本通史の決定版!」と帯で謳う幻冬舎の不誠実な態度は、もはや噴飯ものと言わざるを得ません。

やはり本書については、歴史本ではなく「日本列島がトラックに撥ねられ異世界転生した並行世界で無双する歴史を描く、新感覚ライト(right)ノベル」と判断したと考えるのが妥当ではないでしょうか?

先の記事のコメント欄ではこの新ジャンルを「ウルトラライト(ultraright)ノベル」「オルトライト(alt-right)ノベル」と呼ぶ案が示されていましたが、どちらも捨てがたいぴったりのネーミングと言えそうです。

・22時15分追記
◆真剣に読むと作者にバカにされます
さらに興味深いのが「同じ本の中で矛盾する記述がある」という点。「日本の歴史に大虐殺はあった→なかった」と変遷しており、「自分が書いたことすら覚えていられないのか」「仮にも出版社が出す本なのに編集も校正もザルなのか」と心配になるレベルです。

しかしそんな指摘でめげる百田大先生ではありません。なんと「文学的修辞が読み取れないバカがいるとは思わなかった」と責任転嫁した挙げ句、読者をバカ扱いしてきます。歴史書に修辞って必要なんですかね……。

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