日本の核燃料サイクル完全崩壊へ、フランスが高速炉実証炉「ASTRID」の開発を凍結

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もんじゅの廃炉に続き「ASTRID」の凍結で、核燃料サイクルの出口がなくなりました。詳細は以下から。

◆フランスの次世代原子炉開発が凍結
フランスと日本が共同で進めており、日本も既に約200億円を投じていた次世代原子炉開発について、フランス政府が2020年以降は計画を凍結する方針を日本側に伝えました。

フランス政府は2019年で研究を中断し、2020年以降は予算を付けない意向で、事実上の研究開発の中止となります。

これまでフランス政府は2019年までに10億ユーロ(約1200億円)を投じ、2020年代半ばまでに建設可否を判断する姿勢を示していましたが、建設コスト高騰のため2018年6月に計画の縮小方針を日本側に伝えていました。

◆日本の核燃料サイクルが完全崩壊
問題は、この次世代炉が高速炉実証炉ASTRIDであるということ。高速炉は先に廃炉の決定した高速増殖炉「もんじゅ」とは違い、プルトニウムを生み出すことはなく効率的にプルトニウムを消費することが主眼となった技術です。

日本政府はもんじゅ廃炉決定時に、今後は高速増殖炉に変わって高速炉の開発にスイッチしていくことを確認。その際に挙げられたのがもんじゅの前段階の高速実験炉「常陽」の活用とフランスの高速炉実証炉「ASTRID」を巡る共同研究でした。

「常陽」の活用はもんじゅからの後退に他ならず、唯一の現実的な頼みの綱であった「ASTRID」が凍結されたことで、日本の核燃料サイクルはどこにも出口のない袋小路に入り込んでしまいました。

核燃料サイクルの構想自体が原爆6000発分にも相当する使い道のないプルトニウムを保有することへの国際的な批判をかわすための理由ともなっており、一般の原発でプルトニウムを使用するプルサーマル発電も愛媛県の伊方原発3号機でしか稼働していないため、高速炉計画がなければプルトニウム大量保有の説明が付かなくなります。

また、無限のエネルギー源となるはずだった使用済み核燃料が行き場を失うことにもなります。核燃料サイクルが破綻すれば、青森県は六ヶ所村の再処理工場から「使用済み核燃料を全国の原発に送り返す」という方針を示しており、日本中の原発の核燃料プールが使用済み核燃料でいっぱいになり、原発が動かせなくなるという糞詰まりが発生します。

今回の「ASTRID」凍結で、核燃料サイクルの破綻どころか効率的にプルトニウムを消費するための、いわば廃物処理の技術すら成立の目処が立たなくなったということになります。

再利用の方法も、最終処分場もなく、効率的に消費することも適わない原爆6000発分のプルトニウムを抱えたまま、日本の「トイレのないマンション」と呼ばれた原発政策は事実上のゲームオーバーを迎えました。

いったい誰がこのケツを拭くことになるのでしょうか?もちろんそれは私たち日本人です。

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