雇用・労災保険の過小給付は2千万人に数百億円規模、厚労省の不適切な「毎月勤労統計調査」問題で

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規模、金額共に空前絶後の事態となっています。詳細は以下から。

◆15年に渡る「不適切調査」で過小給付は2千万人、数百億円規模に
厚生労働省が「毎月勤労統計調査」において、重大なルール違反を15年に渡って続けていた上に、データ改変ソフトまで作成して違反隠しの偽装まで行われていた事が大問題となっています。

「毎月勤労統計調査」は厚生労働省が毎月調査を行って公表している賃金や労働時間、雇用の動向を示す労働統計で、統計法で国の重要な「基幹統計」と位置付けられているもの。

雇用保険や労災保険はこの統計を基に給付水準が決まるもので、この15年の間にルール違反によって過少給付された人はのべ約2千万にのぼり、過少支給の総額は数百億円にも上る事が明らかになりました。

これは東京都内の、一般に給与水準が高めとなる約1400ヶ所の500人以上の事業所のうち、約500ヶ所しか実施していなかったため。規模の大きな事業所を本来の1/3強しかカウントしていないことで、統計の平均給与額などが実際よりも少なく算出されていたということになります。


◆厚労省は昨年1月にも「勤労統計」を歪めていた
朝日新聞はこの問題を報じる中で「昨年(編集部注:2018年)1月調査分から統計システムを変更。約500事業所を約3倍にして本来の調査対象数に近づける補正を始めた」という関係者の言葉を紹介しています。さらに

同統計をめぐっては、昨年1月分から調査事業所の入れ替え方法など算出の仕方を大きく変え、統計システムを大規模に改修した。厚労省が、このタイミングで補正を始めることも決めたという。不適切な手法の問題を以前から認識し、組織的に隠蔽しようとした可能性がある。補正は公表されず、前年同月との比較データなどが発表されていた。

保険の過少給付は2千万人、数百億円規模 不適切調査で:朝日新聞デジタルより引用)

としています。ここでもう一度2018年の9月30日にBUZZAP!で掲載したアベノミクス最重要統計の「賃金伸び率」水増し捏造が「統計委員会」に指摘されてしまう | BUZZAP!という事件を振り返ってみましょう。

厚労省は2018年1月、世の中の実態に合わせるとして「毎月勤労統計調査」で大企業の比率を増やして中小企業を減らすデータ補正を行ったものの、その影響を考慮せずに伸び率を算出。企業規模が大きくなった分「賃金が急伸する」という結果となりました。

本給や手当、ボーナスを含めた「現金給与総額」をみると、7月が正式の1.6%増に対し参考が0.8%増、6月は正式3.3%増に対し参考1.3%増となるなど、実態に近い参考値に比べると正式な数値は倍以上の伸び率を示しています。

そのため政府の専門的かつ中立公正な調査審議機関である「統計委員会」に「毎月勤労統計調査」の賃金伸び率が実態を表していないと公式に指摘されています。厚労省がデータ補正の問題を夏場までほとんど説明しておらず、統計委の西村清彦委員長も「しっかりした説明が当初からされなかったのが大きな反省点」と苦言を呈していました。

デフレ脱却を掲げる安倍政権の目玉経済政策であるアベノミクスにとって「賃金伸び率」は極めて重要な統計となるため、この時点で既に政策の成否に関する「印象操作」を越えた統計データの「水増し」が行われていたことになります。

◆国の統計が信頼できなくなってしまう
一方で2004年から続いていた今回の問題では、雇用保険や労災保険といった重要な社会保障に関する歳出が抑制される形でのルール違反が行われてきました。

ここを押さえるとなぜ2018年の「統計システムの大規模改修」の際にこの「補正」が行われたのか、そしてなぜその事実を統計委員会に指摘される夏までまともに説明してこなかったのか、ずいぶんすっきりと理解することができるのではないでしょうか。

厚労省は「毎月勤労統計調査」を、長年下方修正される形でのデータの抽出を行ってきて、2018年1月からは手のひらを返して賃金伸び率が急伸する形でのデータ補正を行うなど、不適切な調査結果を公表することが常態化していました。

中央省庁がその時々の都合に合わせ、税金の使い道や政権の成果に直結する形で統計を歪めてしまうのであれば、私たちは国の統計をまともに信じられなくなってしまいますが…?

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